こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「リーダーシップに必要な能力は何ですか?」
そう尋ねられたとき、あなたは何と答えますか。

判断力・伝達力・分析力・決断力…
一言で言い表すのは、難しいかもしれません。

私は、リーダーシップの本質は人を育てる力」と考えています。
どんなに人を惹きつける力があって、優秀な上司でも、チームが育たなければ成果は続きません。

「リーダーが不在のときに機能しない」
そんな状態では、強いチームとは言えないのです。

逆に、人が育ち、力を発揮できる環境をつくれる上司は、
どんな時代や環境の変化にも揺らがず成果を出し続けます。

今回は、心理学と自己承認力(=自分を認め、信じて、前に進める力)の視点から、
人を育てるリーダーに共通する5つの要素をお伝えします。

もしあなたが今…
「自分のリーダーシップに自信が持てない」
「部下との関わり方に迷っている」
こんな風にお感じになっているとしたら、この5つの要素がヒントになるかもしれません。
それでは、一緒に見ていきましょう。


1. 自己理解力:自分をどれだけ知っているか?

リーダーシップの出発点は、“自分を知ること”です。
あなたは何が得意で、何が不得意ですか?
どんなことで怒りが湧き、どんなことに喜びを感じますか?

客観的な視点で自分を分析することは、感情のコントロールに役立ちます。
自分の感情や行動パターンを理解している上司ほど、部下から信頼を得ます。
感情をコントロールできない上司のもとでは、部下は安心して働けません。

「なぜあの時あんなに怒ってしまったのか」
「どういうときに判断がぶれるのか」

自分の中の“思考や感情の癖”を知っておくこと。
心理学ではこれを自己認識力(Self-awareness)と呼びます。

苦手な人がいてもいい、怒っても、迷ってもいいのです。
一旦、否定せず受け止めて、自分の本心を分析していきましょう。

・馬鹿にされたようで嫌だった
・大事にされたかった
・失敗が怖かった
・恥ずかしかった

こういった本心が見えてきたら、あとはそんな自分をねぎらうだけです。
自分を理解できる人は、他者を理解できるようになります。

リーダーが自分を理解し、整えているほど、チームは安定します。
自分を見つめる時間を、少しだけでも持ってみましょう。


2. 共感力:相手の心情を想像しているか?

部下と話をするとき、相手の心情を想像しながら話を聴いていますか?
あなたの話をどう受け取るのか?相手の心情を想像しながら、言葉を選んでいますか。

同じ価値観、同じ思考の人はいません。
相手を理解しようとする姿勢が大事なのです。

人は、「この人は自分を理解しようとしてくれている」と感じた瞬間、信頼の扉が開きます。

部下が落ち込んでいるときに、むやみに励ますのではなく、
「落ち込むよね」「悔しかったよね」と一度、感情を受け止めて寄り添う。

共感とは、「相手を理解しようとしている姿勢」そのもの。

上司が“わかろうとしている”ことを見せるだけで、部下の心は動きます。
「この人になら本音を言っても大丈夫」
そう思える環境をつくることが、リーダーの最初の役割です。

3. 支援力:他者の成長のプロセスを喜べるか?

人を育てるとは、“出来ていないところを指摘すること”ではありません。

恥ずかしながら、私は「部下のダメなところをなおす」ということばかりを考えていた時期がありました。
ダメ出し=指導、それを続けることが教育だと思っていたのです。

しかし、それはまったくの間違いでした。
教育とは・・・
「望ましい人間像に向けて、身心両面に計画的に働きかけ、知識・技能・人間性を育て、その人の能力を伸ばす営み」辞書の言葉をまとめるとこんな意味です。

つまり教育とは、“相手の可能性を広げること”なのです。

「全然だめだ、まだ足りない」ではなく、
「ここまで出来るようになったね。次はこれも出来そうだね」と伝える。
この視点の違いが、部下のモチベーションを左右します。

上司の言葉が、部下の「自己効力感(=自分ならできる)」を育てていきます。
「少しずつ良くなってきたね」「前回より説明がわかりやすかったよ」
日常の細やかな承認の積み重ねが、部下の“挑戦する心”を支えます。

部下は、上司の“見てくれている”という安心感で育ちます。成果だけでなく、プロセスを承認する。
それが育成力のポイントです。


4. 信頼構築力:関係を育てる力

「信頼関係を築きたい」
そう思ったとしても、一度の面談や食事会で築けるものではありません。
信頼は、“ゆっくりと育てていくもの”です。

  • 約束を守る(締切りや時間を守る、「また明日話そう」と言ったら必ず話す)
  • 感謝を言葉にする(「助かった」「ありがとう」「見てたよ」)
  • 感情をぶつけるのではなく、落ち着いて伝える

こういった積み重ねこそが、信頼の土台になります。

そして、自己承認力の講座や研修でもよくお伝えしている「自己開示」
信頼関係は、“完璧さ”よりも“誠実さ”から生まれます。

上司が失敗や短所を隠さず、正直に「実は私もミスもするし、これが苦手なんだ」と言えるほど、
部下の安心感は高まります。リーダーシップとは、上に立つ力ではなく、一緒に歩く力とも言えるのです。


5. 自己承認力:自分を信じ、他者を信じる力

最後、5つめの要素は、リーダーシップの根幹となる「自己承認力」。
自分を認め、信じて、前に進める力です。

自分に厳しく、自己否定をしながら成長してきた方には、違和感を感じるかもしれません。
しかし、人間関係を築く上では「自分との関係」が最も重要なポイントとなります。

自己否定を続けていると、気付かないうちに他者否定が強くなっていきます。
・あの人のせいで
・あの人が悪い
・あの人に変わってほしい

ついそんな発想をしてしまうようになるのです。
私も経験しましたが、他者を信じることが難しくなります。

部下を信じて育てるには、上司自身にエネルギーがないと難しい。
だからこそ、“常に自分で自分を励ませる力”を持つことが大切です。

「今日もやりきった」
「うまくいかなくても、次の糧になった」
そんな自己承認の積み重ねが、心の安定を生みます。

リーダーの自己承認力は、チームの安心感を支える土台となります。
“自分を育てること”が、“人を育てる力”へとつながるのです。


まとめ

いかがでしたでしょうか。リーダーシップに必要な能力は、“人間力”です。

自分を理解する力(自己認識)
相手に寄り添う力(共感)
成長を支える力(支援)
信頼を育む力(関係構築)
そして自分を信じる力(自己承認)

これら5つを日々少しずつ磨いていくことで、
部下との関係も、チームの雰囲気も、必ず変わっていきます。

リーダーシップとは、まず「人の力を信じられる自分になること」

あなたが自分を信じて、前に一歩進むとき、
その姿が部下にとっての見本になります。

一緒に挑戦していきましょう。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)