こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「人材育成で効果的な方法は?」

日々、部下に注意したいことは山ほどある。
部下に直してほしいところもたくさんある。
自分は本も読んだし、研修にも出ている。

しかし、いざ現場に戻ると、
「目の前の部下に、どう関わればいいのか分からない」
そんなモヤモヤを抱えたまま、日々が過ぎていく方もいらっしゃると思います。

人材育成は、決して「一部の才能ある人だけができる特別な仕事」ではありません。
ただ、感覚や自己流だけでやろうとすると、どうしても限界が来ます。

今日は、私自身の現場での失敗や試行錯誤も交えながら、
上司の立場の方が「すぐに試せる人材育成の手法」を10個に整理してお伝えします。
では早速、見ていきましょう。

1.良いところ探しをして、“毎日ひとつ”は伝える

部下の良いところを複数挙げられますか?育成の出発点は「承認」です。

承認の言葉は、大きな成果を上げたときや
目標を達成したときといった“結果”だけではなく、

・取り組み方
・姿勢や努力
・気づかい
・会話の仕方
こうした日常の様子を丁寧に観察して、具体的に言葉で伝えましょう。

「来客に気づくスピードが速かったね」
「備品補充してくれたんだ、ありがとう」
「報告が丁寧で、とても助かったよ」

普段から承認の言葉を伝えることは、こちらの「視野」も広げてくれます。
見る目が変わると、関わり方も自然と変わっていきます。

2.承認 → 改善 → 承認のサンドイッチで伝える

ダメ出し=指導ではありません。
ダメ出しばかりしていると、部下の心は閉じてしまいます。

まずは承認から入り、改善点をひとつ伝える。そして最後にまた承認の言葉を添えて締める。

「〇〇さん、ここがよかったよ」
「次はここだけ意識してみるのはどう?」
「全体的にしっかり取り組んでくれていたね」

この“安心感のある伝え方”は、部下にとって大きな助けになります。

3.アドバイスや任せる仕事は“1つだけ”に絞る

気になるところが多いと、つい一度に全部伝えたくなりますよね。
しかし、アドバイスが多すぎると、部下は混乱し、動けなくなることも多いです。
「言ったのにやっていない」という部下が生まれるのは、指示が多いパターンがほとんどです。

私が心掛けているのは、「一時に一事」一回で伝えるのは1つのことだけ。

気づいたことが10あっても、ぐっとこらえて、その中で最優先事項だけを伝える。
ひとつならすぐに行動できます。それが終わったら、次の指示を出せばいいのです。

伝えることを「増やす」のではなくて、まずは「減らす」
上司が“引き算”できると、部下の動きがぐっとスムーズになります。

4.“聴く”ことを優先する

育成を含め、コミュニケーションは、話すより「聴く」時間を増やした方がうまくいきます。
「どう感じた?」
「どこがやりにくかった?」
「何を工夫していく?」

このように相手に問いかけ、相手の意見を受け止める。
聴いてもらえたと感じた瞬間、人は前向きになります。
さらに、上司は部下の意見を聴くことで、相手の価値観や得意・不得意を知ることができる。

アドバイスは、そのあとでも十分に間に合います。

5.成功体験を積んでもらう

人が次のステージに進むやる気が出るのは、「できた!」と感じたとき。
目標を達成したり、出来栄えがうまくいったり、誰かから褒められたり、誰かに影響を与えたことを実感できると「成功した!」と感じます。

こういった成功体験を部下にたくさん積んでもらうために、上司はさまざまな「挑戦の場」を与えることが重要です。

大小関わらず新たなことに挑戦し、成功体験が積み重なると、「自分はできる」という自己効力感が育ちます。「できる」と思えるからこそ、また一歩前に進める。おのずと主体的な行動も増えていきます。

6.仕事の“意味”を伝える

あなたが日々こなしている仕事には、どんな「意味」があるでしょうか?
なかなか部下が動かない原因の多くは、「意味が見えていないこと」にあります。

「あなたがどれだけ大事な仕事を担っているか」を部下に意識的に伝えていますか?

例えば、
・お客様にどんな価値が伝わるのか
・チームにどんな影響があるのか
・その人自身の成長につながる理由は何か

意味が見えると、部下のモチベーションは大きく変わります。

「言われたからやる」ではなく、「意味がわかっていてやる」へ。
これは育成の大きな分岐点です。

7.行動や仕事の“基準”を共有する

上司は広い視野で物事を見ていて、外部の情報も多く得やすいため、
上司の中にある「当たり前」が、部下には見えていないことが多いです。

行動や仕事の基準
・どこまでがOKなのか
・どこからがNGなのか
・期待している基準はどのレベルか

これを丁寧に共有するだけで、部下の迷いが減り、行動が安定します。

8.一緒に“振り返る”時間をつくる

指示を出したあと、ただ部下からの報告を待っていませんか?
人材育成は「やりっぱなし」では育ちません。

・何ができたのか
・どこを工夫したのか
・次はどうしたいか

こうした問いを投げながら、一緒に振り返る時間を持つことが大切です。

振り返りは、部下の自己肯定感を育み、確実に“成長のスピード”を上げてくれます。

9.感情のケアに目を向ける

能力があるのに動かない・動けない部下は、“感情”がストッパーになっていることが多いです。
不安、緊張、遠慮、失敗への恐怖…
誰でも感じるネガティブな感情ですが、うまくケアできない部下もいます。

私自身、自分で感情に対処できずにすべて抱え込んでしまい、メンタル不調に陥った経験があります。
責任感が強いからこそ、動けない方もいるはずです。

「どこか不安な要素はありそう?」
「やりにくいところがあったら、言ってね」
「何か考えることがあったら、いつでも聞くから」

上司のこんな一言が、部下の心を軽くします。

10.価値観の違いは“自分を育てるチャンス”と捉える

価値観の違う相手ほど、育成は難しく感じます。
反発されたり、行動が合わなかったり、苦労することも多いです。

しかし、価値観の違いこそ、上司自身が成長するための大きなチャンスです。
この自分を育てる育成にも意識を向けていきましょう。

価値観の合わない相手は、
・伝え方のクセ
・受け止め方の偏り
・相手への期待値のズレ

こうした“自分の未熟さ”に気付かせてくれる存在でもあります。

私は、ある先生に「自分がカチンときたときは、人としての器の音が鳴っていると思ってください」と言われたことがあります。相手と同じ大きさの器だと、お互いがぶつかってカチンと音が鳴る。対策は、自分の器を広げて、相手を受け入れること。
部下育成をする中で、しょっちゅう相手にカチンときていた私には衝撃の学びでした。

価値観が合わない相手を育てる経験は、上司としての器を必ず広げてくれます。

育成の本質は「上司自身の在り方」

いかがでしたでしょうか。育成は、部下を動かすテクニックではありません。

上司として、
・相手を信じる姿勢
・自分と向き合う姿勢
・人としてどう在るか

ここが整っているほど、自然と部下は育ちます。

自己承認力が高い上司ほど、
相手の良いところも見つけやすく、
対話も柔らかく、
信頼関係が深まりやすいものです。

最後に、今日からすぐに実践できることを3つご紹介いたします。

1.部下の良いところをひとつ見つけて伝えてみる
2.アドバイスは1つに絞ってみる
3.いつもより1分だけ長く“聴く”

大きな変化は、小さな一歩の積み重ねから生まれます。

あなたなら、必ずできます。
これまで悩みながらも真剣に部下と向き合ってきた、その姿勢こそが価値です。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)