こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
部下から「ちょっと相談いいですか?」
その一言を受けたとき、こんな気持ちがよぎったことはないでしょうか?
- 「今、手が離せないんだけどな…」
- 「これは上司である自分が答えるべきなのか?」
- 「何を求められているんだろう…」
余裕がないときや面倒に感じることもありますよね。
忙しい中でもいつも完璧な上司、ではなかなかいられません。大変よくわかります。
しかし、ここで一つだけ、忘れてはいけないことがあります。
それは、「相談=信頼の証」ということ。
部下からすると、「信頼できない上司」には相談はしたくないし、あまり関わりたくないと思うものです。
「相談がある」と言われた時点で、それは相手からの信頼がある証です。
だからこそ、その時の対応ができれば信頼が深まり、逆に対応を間違えると距離が生まれてしまうのです。
今回は、上司としての8つの対応をご紹介いたします。

まず知っておきたい!相談は3タイプに分けられる
「ちょっと相談良いですか?」
この部下の相談には、大きく分けてこの3タイプがあります。
タイプ | 目的 | 適した対応 |
---|---|---|
ティーチング型 | 正解が欲しい | 明確な指示・答えの提示 |
カウンセリング型 | 話を聴いてほしい | 共感・傾聴・受容 |
コーチング型 | 考えを整理したい | 問いかけ・伴走・気づきの支援 |
上司側がこの「分類」を知らないまま、一律の対応をしてしまうと、うまくいかないケースが多くなります。
たとえば、気持ちを聴いてほしかっただけの部下に、いきなり指示やアドバイスをすると、「全然わかってくれない!話を聞いてくれなかった」と受け止められてしまうことも。
まずは、「相手が何を求めているのか?」を冷静に見極めるところからスタートです。
信頼を得る!上司の8つの対応
ここからは、部下の相談にどう対応すれば、信頼を築けるのか。
ポイントを8つご紹介していきます。ご自身の普段の対応を確認なさって見てくださいね。
①「話してくれてありがとう」と伝える
先ほど紹介したどの相談であっても、「自分を信頼して声をかけてくれた」
そのことに違いはありません。感謝の気持ちを持ち、伝えていきましょう。
・「話してくれてありがとう」
・「確認大事だよね、ありがとう」
・「相談してきてくれて嬉しい」
こうした言葉は、相談内容そのものより「あなたに話したいと思ってくれたこと」への承認です。
② 忙しいときは時間調整をする
本当に忙しい時は、相談に乗る時間がないときもありますよね。
そんなときの対応の仕方も重要です。
「え?今?忙しいんだけど」と、嫌な面倒そうな顔をしてしまうのはNG。
・「今は手が離せないから、10分後でも大丈夫?」
・「〇時に時間とるから、そのときでもよさそう?」
・「お昼ごはん食べながら、ゆっくり話そうか?」
目の前の業務も大事だし、あなたのことも大事。
一度受け止めてから時間調整する姿勢を見せるようにしましょう。
NG対応:
忙しいときについやってしまいがちなのは、作業をしながら対応してしまうこと。
例えば、パソコン画面を見ながら「で、何?」と片手間で対応をすると、いくら耳では話を聴いていても印象が悪くなってしまいます。
③ 最後まで聴く、共感する
部下が話している途中で口を挟まず、最後までしっかり聴く。
話を聴くことで、その部下に合った対応をすることが出来ます。
話を聴く流れは、「聴く→共感の言葉を伝える→質問をする」
これが信頼を築く基本ステップです。
よくあるNG:
すぐに結論を言ってしまう。話の腰を折る、遮る。
→ 相談の本題に入る前に、気持ちを受け止めてもらえなかったと感じられてしまいます。
④ すぐに答えを出そうとしない
相談=答えを求められている、とは限りません。
ときには、「聴いてくれただけでスッキリしました」と言われることもあります。
人は誰かに話しをすることで、思考が整理されて、自ら気付きを得ることも多いのです。
こちらが焦って正解を探すよりも、聴いているサインを出しながら、「この人は、私の話をきちんと聴いてくれる」と思ってもらえることが大事です。

⑤ 「どう思ってる?」と問いかけてみる
特にコーチング型の相談には、問いかけが有効です。
・「〇〇さんは、どう考えているの?」
・「〇〇さんは、何が一番引っかかっている?」
・「〇〇さんは、どうなったらいいと思う?」
部下が自分で考え、自分で気づき、自分で行動に移す。話を聴くことで、上司がそのサポートをするのが理想です。
⑥ 秘密は守る、信頼を裏切らない
「他の人には言っていないんですけど…」
この言葉が出たときは、慎重な姿勢を意識しましょう。
・「秘密は守るよ」
・「大丈夫、他の人には話さないよ」
・「安心して話してくれていいよ」
この“約束を守る姿勢”が、信頼を確固たるものにします。
⑦ アドバイスではなく“共に考える”
「教える」「指示する」よりも、「一緒に考える」姿勢が、部下の成長を促します。
・「どうしたらうまくいくか、一緒に考えてみようか」
・「こんな視点もあるよね。〇〇さんは、どう感じる?」
部下が「上司から信頼されている」と感じられるこういったアプローチは、部下の自己肯定感・自己効力感を高めます。
⑧ 相談後の“フォローの一言”を伝える
相談を受けたときの対応と同じくらい、実は大切なのが「その後のフォロー」です。
相談されたその瞬間ではなく、「その後どう接するか」で信頼は定着していきます。
「〇〇さん、あの後どうなった?」と声をかけることを忘れずに。
・「この前の件、進捗どんな感じ?」
・「気になっていたんだけど、落ち着いた?」
この細やかな対応が信頼関係の継続につながっていきます。
部下は「上司がちゃんと見てくれてる」「自分を気にかけてくれてる」と安心を覚えるのです。
フォローのタイミングは、「忙しさが落ち着いたころ」「1on1の場」「朝のあいさつのついで」など、日常の中に組み込むのがコツです。たった10秒でも、言葉を交わすことが信頼につながります。
ポイントは、“相談をただのイベントにしないこと”。
「その場限り」ではなく、「その後の関係性に続くもの」として扱う意識が、上司としての器を大きく見せてくれます。
まとめ:最重要なのは「上司自身の余裕」
最後に、もうひとつ大切なお話をさせてください。相談対応スキルはもちろん大事ですが、実はそれ以上に問われるのが「上司自身の余裕」です。
どんなに知識やテクニックを持っていても、自分に余裕がなければ、相手に優しく接することはできません。そして、その余裕を生み出す“源”になるのが、「自己承認力」です。
自己承認力とは、「自分を認め、自分を信じて、前に進める力」のこと。
自分を責めすぎず、他人と比較しすぎず、今の自分を受け止めながら一歩を踏み出す力です。
私がこれまで多くの管理職の方々とお会いする中で、「相談されやすい上司」には共通点がありました。
それは、“常に余裕があるように見える”ということ。
実際は、多忙なのに「余裕を感じる」のです。
- 忙しいときも「ごめん、今手が離せないけど、あとで時間つくるね」と、穏やかに言える
- 困っている部下に、焦らず耳を傾けられる
- 「上司として完璧でなきゃ」と思わず、自然体で接することができる
この余裕こそが、自己承認力の積み重ねから生まれているのです。
自己承認力を高めるには…
まずは、自分自身をねぎらうことから始めましょう。
「今日もよく頑張った」
「正解は分からなくても、まず聴こうとした自分はえらい」
「忙しい中でも、部下の話をちゃんと聴けた。すごい、自分」
こうした小さな声がけを自分にすること。
これが、心に余白をつくる第一歩です。
そして、部下からの相談には「話してくれてありがとう」と一言添えること。
その小さな行動が、あなたの上司力を確実に育ててくれます。
一緒に前に進んでいきましょう。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)