こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

今回は「部下の育て方7選」として、デキる部下を育てるための王道スキルをまとめてご紹介します。
そもそも部下育成とは?については、こちらのコラムでご紹介しています。

とはいえ、どんな育成スキルも「上司である自分自身」が整っていなければ、うわべだけで終わってしまいます。 本を読んでも研修で学んでも、スキルを活かしきれないのは「土台」がぐらついているからかもしれません。

本日は、「部下育成の王道スキル」と「自分と向き合う土台作り」両面からお伝えしていきます。
それでは、さっそく見ていきましょう!

以前ご紹介した「部下指導方法で大切なこと」のコラムもぜひご覧ください。


目次
  1. 1.【観察する】部下を知ることが育成のスタート地点
    1. ①:まずは自分の“相手を見る目”に気づこう
    2. ②:自分の態度・表情・声・言葉を観察せよ!あなたは見られている
  2. 2.【目標を共有する】部下と一緒に未来を描く
    1. ①:自分の仕事の「目標・目的」を明確にする
    2. ②:上司自身がワクワクしない目標は、部下にも響かない
  3. 3.【伝える】曖昧な指示はNG!明確な言葉が行動を生む
    1. ①:自分の“言葉のクセ”を把握せよ。主語・期限・目的を明確に
    2. ②:感情を乗せずに、穏かに話せる練習をする
  4. 4.【承認する】部下の「当たり前」に感謝を伝える!
    1. ①:人を認めるには、まず“自分を認めること”から
    2. ②:「言わなくても伝わっている」は、ただの思い込み
  5. 5.【聴き、認める】部下の話をよく聴いて、受け止める
    1. ①:「自分が話したい」を脇に置く
    2. ②:すぐに否定しない。“受け止めてから”がスタートライン
  6. 6.【部下の成功体験をつくる】“やればできる”を積み上げる
    1. ①:部下を信じているか?
    2. ②:あなた自身が自分を信じて、新たな挑戦をしているか?
  7. 7.【伝え方を工夫する】事実と未来で語るフィードバックを
    1. ①:「いや」「でも」「だけど」否定語を意識的に減らす
    2. ②:「こうしたらもっと良くなる」未来視点で伝える
  8. まとめ:「自分と向き合う力」が高い上司は強い!

1.【観察する】部下を知ることが育成のスタート地点

部下の言動に「理解できない」と思った瞬間があったなら、“観察”スタートです。
部下育成の第一歩は「知ること」。部下の表面的なスキルや行動だけではなく、その背景にある価値観・性格・クセに目を向けてみましょう。部下と対話をしながら、相手の反応をよく見ることも重要です。日常の観察は、上司の“人を見る力”を育てます。

部下を理解しようとする姿勢は、必ず相手に伝わります。「ちゃんと見てくれている」この安心感が、育成の土台になるのです。

①:まずは自分の“相手を見る目”に気づこう

「観察力」をつけたいなら、まず先に自分を観察すること。
あなたは自分自身のことを知っていますか?
例えば、部下の同じ言動であっても、自分が好ましく感じる部下には甘くなり、そうでない部下には厳しくなっていないか。自身の「相手を見る目」にバイアスがかかっていないか。観察をする前には、自分の目を「フラットな目線」になるよう整えておきましょう。

②:自分の態度・表情・声・言葉を観察せよ!あなたは見られている

上司の影響力というのは、本人が思うよりも大きいものです。部下は、上司の空気を感じながら仕事をしています。イライラしているときの表情、忙しいときの返事のトーン、足音やため息…そういった何気ない“態度のクセ”が、部下には強烈に伝わっています。

今日の挨拶はどんな表情で、声で、姿勢で「おはようございます」と伝えたでしょうか。
自分の出している空気を観察し直すだけで、部下との関係は驚くほど変わります。「部下を観察する上司」である前に、あなたは「部下に見られている上司」なのです。


2.【目標を共有する】部下と一緒に未来を描く

部下に仕事をお願いするときに、「とりあえずこれお願い」
こんな指示を出していませんか。もちろん業務指示は必要ですが、目的や目標地点を共有しない伝え方は、部下の「やらされ感」を強めていきます。
育成のために重要なのは、“目標や目的を一緒に考え、共有する”ことです。

「なぜこの作業をするのか」「この経験が将来にどうつながるのか」
こうした背景を共有することで、部下の主体性がぐっと引き出されます。
部下と未来を共有しながら、日々の業務を進めていく。育成とは、その繰り返しなのかもしれません。

部下への仕事の任せ方については、こちらのコラムで紹介しています。

①:自分の仕事の「目標・目的」を明確にする

部下に対して指示を出す際に、「目的を伝える」のが苦手な上司は少なくありません。そもそも上司自身の中で“目的が整理されていない”からです。
上からの指示は全てYES。そんな働き方をしてきた方は、「この仕事はなぜするのか?」「誰のため?何のため?」そんなことを考える暇もなく走って来たことと思います。
しかし、今は部下を育てるお立場です。部下の仕事のやりがいを引き出すためにも、業務の意味や価値を伝える必要があります。


②:上司自身がワクワクしない目標は、部下にも響かない

部下に熱量がないと感じたとき、実は上司自身が「この目標を達成するぞ!」とワクワクしていないことが多いです。「これ達成したら、面白いよね」「やってみたら意外と成長につながるかも」 そんな前向きな空気を上司が率先して出していきましょう。
上司の影響力が広がって、部下の表情も取り組み方も変わっていきます。目標を共有するとは、ただ話し合うことではなく、 “未来を一緒に信じる力”を持つことなのです。


3.【伝える】曖昧な指示はNG!明確な言葉が行動を生む

「ちゃんとやっといて」「なるべく早めにお願いね」こんな“曖昧な指示”を日常的に使っていませんか?
全ての答えは自分の頭の中だけ。部下にはまったく伝わっていない…。これが、育成の場で起きる“すれ違い”の典型です。
「ちゃんと」は、どんな行動?どのレベルでしょうか?
「なるべく早く」は、30分?3時間?3日間?
部下がスムーズに動けないのは、能力のせいではなく、上司の指示が曖昧なことが多いのです。
「何を・いつまでに・どんなレベルで」やるのか、できるだけ明確に伝えることが必要です。


①:自分の“言葉のクセ”を把握せよ。主語・期限・目的を明確に

指示が伝わらない原因は、“あなたの無意識の言葉のクセ”にあるかもしれません。
「早く」「しっかり」「ちゃんと」これらは、具体的には何も伝えていない言葉です。
たまに理解が早い部下の方もいらっしゃいますが、それはただ単に「その方の推測力が高いだけ」です。
感覚で抽象的に指示を出すのは、やめましょう。誰が聞いてもわかる指示を出せる練習をしておくことをおすすめします。

②:感情を乗せずに、穏かに話せる練習をする

焦ったとき、忙しいとき、イライラしたときに伝えた言葉は、たいてい「きつく」「短く」「曖昧」になります。「だからやっておけって言っただろう!早くやってくれ」こんな感じです。
こんな指示を受けた部下は、委縮して動きづらくなり、仕事のパフォーマンスも低下していきます。

私がおすすめするのは、感情がブレたときに「深呼吸」を3回すること。
それでも不安・焦り・イライラが収まらないときには、3分~5分待ってから、言葉を発信する。
「落ち着いて、事実ベースで、相手の立場に立って伝える」 という練習を、普段から意識しておきたいものです。

これまで部下育成に悩んできた方に読んでいただきたいコラムはこちらをチェック。
「挑戦型」「固定型」「放置型」あなたはどのタイプ?


4.【承認する】部下の「当たり前」に感謝を伝える!

チームの仕事が何事もなく進むのは、それぞれが自分の業務をしてくださっているお陰です。
皆さまの日頃の業務に「ありがとう」「助かるよ」「いつもよくやってくれてる」と伝えていますか。
上司からの承認の言葉は、部下の心を大きく支えます。

“日々の小さな積み重ね”を見てくれているかどうかで、部下のモチベーションはまったく違います。
「見ていてくれている」「ちゃんと気づいてくれる」そう思える上司がいるだけで、部下は新たなことに挑戦する勇気を持つことも出来るのです。

①:人を認めるには、まず“自分を認めること”から

「今日もよくやった」「いつも頑張ってる」こういった自分を労う言葉をかけていますか。
周りの方を承認するには、自分にも目を向ける必要があります。頭や心の中がいつも忙しい状態だったら、他者の良いところを見つけて承認する余裕なんてないですよね。
お風呂の時間に、寝る前に、「今日一日で自分がやり切ったことは?」「 よくやったと思うところは?」と自分を労う癖をつけていきましょう。自分を認められる方は、他者への承認の言葉も自然と出てきます。

②:「言わなくても伝わっている」は、ただの思い込み

「部下が頑張っているのはわかっている」「私は部下を評価している」
これらは言葉にして初めて伝わります。意識して態度で伝えていたとしても、言葉であらためて伝えることが重要なのです。
「ありがとう」「今日も助かったよ」 このひと言が、部下の“自己肯定感”“自己効力感”を育てるきっかけになります。思っているなら、伝える。それが、信頼関係をつくる第一歩です。


5.【聴き、認める】部下の話をよく聴いて、受け止める

会議でも面談でも、部下の方は「上司にちゃんと話を聴いてもらえた」と思っているでしょうか。
部下育成の場で“聴く力”が求められるのは、単に情報を得るためではありません。 部下に「受け止めてもらえた」という感覚を持ってもらうことが大事なのです。

相手の話を途中で遮ったり、すぐにアドバイスをしたりしていませんか?
まずは「そう思ってるんだね」「そう感じたんだね」と一度受け止めてから。その上で必要があれば、次のステップを一緒に考える。この流れが、“安心して話せる上司”をつくります。

①:「自分が話したい」を脇に置く

大半の人は、話を聴くことよりも“自分が話すことが好き”です。部下の話を聴いているときに、「あ、これ言いたい」「アドバイスしたい」「自分の経験を伝えたい」そう思ったことはありませんか。
そんな思いが浮かんだときこそ、一呼吸置きましょう。
話を聴くときには、相手の話に集中してください。自分の頭に浮かぶ雑念をその都度横に置きながら、部下の話の世界に戻っていくイメージです。
コミュニケーションの講座や研修では、最初に学ぶベースとなる基礎力です。
とにかく、聴く・聴く・聴く。一緒に練習を重ねていきましょう。

②:すぐに否定しない。“受け止めてから”がスタートライン

「それは違うよ」「でも、それってさ」
せっかく心を開いてくれた部下も、上司からこの言葉が出た瞬間に、扉がスッと閉まります。
どんな内容であっても、一度は受け止める。そこから上司の意見を伝えることで、対話は前向きになります。部下は、同じ会社・同じチームにいる「仲間」です。同じゴールを目指しているのですから、意見をぶつけ合うのではななく、認め合いながら同じ方向をみたいですね。

6.【部下の成功体験をつくる】“やればできる”を積み上げる

育成で最も重要と言えるのが「成功体験」をつくることです。出来た!という経験をすることで、自信が育ち次のステップに進むことが出来ます。
難しい仕事にいきなり放り込んで、失敗を重ねるよりも「このくらいならできそう」と思える仕事を任せて、「やってみたらできた!」という実感を積ませる方が、はるかに成長につながります。
部下の今の成長段階に合わせた「少し上のレベルのチャレンジ」を設計しましょう。

①:部下を信じているか?

部下に仕事を任せるときに、「大丈夫?できるか?」とつい声をかけたくなりませんか。
もしそうだとしたら、部下への信頼が足りないかもしれません。上司の不安は、部下に伝染します。
「大丈夫!あなたなら出来るよ!」と任せてくれる上司がいると、部下の成長はぐんと早くなります。
この言葉は、普段よく部下を見ていて、適切に次のチャレンジを設定する上司だからこそ言える言葉なのですよね。部下のフォローをする覚悟がある器の大きな上司の言葉です。

②:あなた自身が自分を信じて、新たな挑戦をしているか?

あなたは自分のことを信じていますか。「自分ならできる」「どんなことも乗り越えられる」と思えているでしょうか。お仕事やプライベートで最近、何か「新たな挑戦」をしましたか。上司がチャレンジ体質で、成功経験や失敗経験を部下に伝えていくのです。
自分は何年も同じ業務・同じ生活を続けていて、部下にだけチャレンジしてくれというのはおかしな話ですよね。挑戦する上司のかっこいい姿をみせていきましょう。

7.【伝え方を工夫する】事実と未来で語るフィードバックを

「何回言ったらわかるの?」「ちゃんとしてよ!」
そんな言葉が出そうになったら、少し立ち止まって深呼吸。
部下の成長を願って伝えた言葉が、相手を傷つけ、萎縮させてしまうことは少なくありません。本当に伝えたいのは、怒りではなく“期待”のはずですよね。 その思いを届けるためには、「事実」と「未来」を軸にして伝えることが大切です。「今回はここのミスがあったね。では、次はこうしてみるのはどう?」 そんな伝え方が、部下の背中を優しく押します。

①:「いや」「でも」「だけど」否定語を意識的に減らす

「いや、それは違う」「でも」「だけど」
この3語、つい口癖のように使っていませんか。私は使っていました…
「自分が正しい」と思い込んでいた私は、部下から出てくる意見をとことん否定する癖があったのです。
恐ろしいことに、当時は無自覚…
自分の言葉の癖を知るために、自分の話し方を録音をしていたとき気がついたのです。まぁ驚きました。

部下からの相談や意見は、「そうなんだね」と一旦受け止めて、理解しようと努める。
「私はこう思うよ、どうかな?」たったそれだけで、伝え方の印象はまるで変わります。

②:「こうしたらもっと良くなる」未来視点で伝える

改善点を伝えるときに意識したいのは、「未来につながる表現」かどうかです。
「ここがダメだった」ではなく「次はこうしよう」
「足りない」ではなく「こうするともっと良くなる」


部下は、未来を信じてくれる上司に信頼を寄せます。「成長前提の声かけ」を意識しましょう。


まとめ:「自分と向き合う力」が高い上司は強い!

いかがでしたか?育成スキル7選を一気にご紹介してきましたが、どれも根底にあるのは「自分自身を整えること」から始まるものばかりです。

スキル要点
観察する自分と部下の言動・態度を見つめる
目標を共有する目的を伝えて、主体性を引き出す
伝える曖昧な指示を避け、明確に伝える
承認する「言わなくても伝わる」は思い込み
聴き、認める否定せず、まず受け止める姿勢を
成功体験をつくる“やればできる”を積み重ねる設計
伝え方を工夫する事実と未来ベースで伝える習慣

相手を変えようとする前に、自分と向き合う。
部下育成とは、実は“上司自身が育つプロセス”だと私は考えています。

今回のコラムが、あなた自身の「気づき」と「前進」のきっかけになれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)