いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。

今回は、「部下の成長をサポートする方法と気を付けたいこと」についてお話ししていきます。

まずはじめに・・・
日々部下育成に取り組まれている上司のお立場の皆様!本当にお疲れ様です。

ご自身の業務を抱えながら、チームのバランスを考え
部下の方ひとりひとりに向き合うというのは非常に大変なことです。

特に現在は、上司部下お互いに
言葉のかけ方一つにも気を配る時代ですから
「自分が育ってきた教育法」がそのまま使えない・・・
そんな方も多いのではないでしょうか。

このコラムをお読みくださっている方は、
・部下に成長してほしい
・部下の個性を伸ばしたい
・部下育成のコツが知りたい
こんな思いがある、熱心に部下育成をされている方だと思います。

そんなあなたのお役に立つべく!
私がこれまで人材育成に携わる中で「一緒に働く部下を成長させるポイント」と感じたことをまとめましたので、一緒にみていきましょう。


部下の成長を止めてしまう「他者との比較」の危険性

部下の成長をサポートしようと相手とのコミュニケーションをとっていく中で、
上司として気を付けたいことの一つに「他者との比較」があります。

この他者比較は、悪気がなくついやってしまう上司の方も多いです。
ちょっとした言葉でも、繊細な部下の方は深く傷つく場合もありますので一度確認をしておきましょう。

他者比較とは、例えばこういった言葉です。
「同期のAさん、昇進したらしいよ。〇〇さんも頑張れ!」
「新しく入ったBさんが活躍してるから、〇〇さんも負けてられないね」


成長スピードは人それぞれです。
性格はもちろん得意分野も違えば、働くスタイルも違います。

こうした発言は、上司は部下の方を鼓舞しようと声をかけていますが、部下にとっては「自分はまだそのレベルに達していない」という劣等感や、他人と比較されているというプレッシャーを感じさせてしまうことがあります。

劣等感やプレッシャーによるストレスで、仕事の質が落ちてしまっては逆効果。
部下の方ご本人を見るようにしましょう。

反対に、部下の方が自ら「自虐的に他者比較」の表現をすることもあります。
「同期のAさん、昇進したらしいですね・・・俺なんて全然ですよ」

こういった自虐には、乗らないことです。
「そうだよ、君もがんばれよ!」なんて冗談でも言うのはNG。

「確かにAさんもすごいし、〇〇さんもうちのチームに十分貢献してくれてるでしょう?全然じゃないよ」
ぜひ上司として評価している部分をお伝えになってください。


部下を成長させるために「他者と比較しない姿勢」が鍵

先ほど、他者比較をする危険性をご紹介いたしました。
部下の成長度合いを確認するために、
比べるのはいつも「その部下自身の過去の実績や行動」です。

例えば、新入社員の方でしたら成長度合いを測るのは、「入社したての本人」です。
1日目は、何もできなかったはずです。
それが数か月たつと、出来ることがこんなに増えた。
着実に、成長している証拠です。
人間関係も初日と比べたら、かなり良好に築けていますよね。

この目線を上司が常に持っておくと、
「成長しない部下なんていない」ということに気付かれるのではないでしょうか。

これはベテランさんであっても同じなのです。
数年前はイライラしやすかった人が穏やかになっていたり、文句ばかり言っていた方が素直に話を聴いてくださるようになったり。意見を言わなかった方が、アイデアを提案してくれたり。
人は環境や導き方でどんどん変わっていきます。

私は同期に比べて3~4年役職が付くのが遅かったのです。当時は、上司からの指示もないのに勝手に動いてしまったり、悩みやすかったり、すぐに泣いたり、辞めると言い出したり、問題社員だったなと思います。頑張り方もわからずに、頑張っていたのです…
(数年後地区担当の上司に、君は大変だったと言われましたw)

そんな私でしたが、直属の上司が他者と比べることなく、長い目で成長を見守ってくださったお陰でなんとか仕事を続けられました。今思えば同世代の方は数か月で役職がついていたので、本当にマイペースだったなぁと感じます。


部下自身が成長を実感できる「自己承認」を促す方法

上司の方がいくら他者比較をやめたとしても、部下の方ご自身が他者比較するのが癖になっている場合もあります。自己承認力が低く、自信がなく、焦ったり不安になるタイプです。

「あの人は自分よりも優れている」
「あの人よりも自分が優れている」
気持ちはよくわかるのですが、こんなことを考えても仕方がありません。

上司として重要な役割は、この比較の癖がある部下の方に対して
「誰とも比べなくていいよ。あなたはここまで成長している」と伝えることです。

部下の方が感じる劣等感や優越感の感情は「そう思うこともあるよね」と否定せず、まずはその気持ちに寄り添いましょう。

さらに、「他者と比較するのではなく、見るべきは過去の自分自身」というメッセージを繰り返し伝えることです。思考の癖なので、少し時間はかかりますが伝えて続けます。
部下の方の自己承認力を高めていくイメージで接してみてください。

上司が部下の成長を認めながら接していくことも重要ですが、最終的には部下の方ご自身が自分の成長を認め、自己承認できるようになることが理想です。自己承認ができるようになると、部下は他者と比較することなく、自分自身の成長に集中できるようになります。

自己承認のサポートとして、フィードバックやコミュニケーションの中で、部下が自分の努力や成長を意識できるような環境を作ることも大切です。たとえば、定期的に一対一の面談を設け、部下自身に自分の成長を振り返る機会を与えることが効果的です。

「〇〇さんは、この1か月でこんなことが出来るようになったね」
「半年前に〇〇さんだったら、この資料は作れなかったよね。すごい成長だね」

こんな風に、本人が自覚しにくい成長や経験を上司の立場から伝えることをおすすめいたします。


部下を成長に導くチームをつくる5つのポイント

部下の成長を促すためには、1対1の上司と部下の間だけでなく、チーム全体で「個人の成長を評価し、互いにサポートし合う環境」を整えることが重要です。部下一人ひとりが自分らしく成長できる職場を目指したいものです。ここからは、部下を成長に導くチームづくり5つのポイントをご紹介いたします。


1.フィードバックは「過去の自分」と比較する内容にする

フィードバックを行う際は、部下を他の同僚や同期と比較するのではなく、過去の部下自身の成果と比較しながら、成長点や改善点を具体的に伝えましょう。

「△△の部分が前回よりも確実に良くなったね」
+「次回は、▢▢に挑戦してみようか?」


現状を認めながら、未来へのアドバイスや次のステップを伝えていきましょう。

2.目標設定は個々のペースに合わせる

部下それぞれの成長ペースを尊重し、個別に目標を設定しましょう。無理なハードルを設定するのではなく、適切な目標を立てることで、部下がモチベーションを維持しやすくなります。

目標も人それぞれ。「業績アップ」という数字目標の部下がいても良いですし、「デスク整理」という業務効率向上の目標を持つ部下がいても良いのです。

上司の機嫌をとるために、「無理な数字目標を立てて、未達成」ということを繰り返してしまうと部下の方の自信はどんどん失われますので要注意です。←あるあるエピソードです。

3.他者との比較発言を避ける

無意識な比較発言はないだろうか?と、まずは確認することが大事です。
気がつくことが出来れば言葉を選ぶことが出来ます。
部下を褒めるために、他の人を引き合いに出して下げる発言をすることもNGです。

×「〇〇さん、本当すごいね!他部署のCさんはまだ出来ないから君は優秀だよ。」

比べるのはいつも過去の本人。個別の努力や成果を認めましょう。
「他者と比べない」は上司ご自身にも言えることです。他の上司や管理職と自分を比べない。

4.自己承認力が高まる言葉がけをする

チームの中で労いの言葉をかけあい、
お互いの仕事に感謝しながら、功績を認め合います。

長時間の面談・会議をするよりも、日ごろの承認の言葉の量を増やす方が大きな効果が表れます。

「メールありがとうね!」
「ミーティングで出してくれた意見良かったです」
「準備カンペキ!助かりました」
「今日も業務お疲れ様でした!ゆっくり休んでね」

こんな言葉が行きかう職場は、雰囲気も明るくなり、自分の意見も言いやすくなります。
相手の良いところを見ながら言葉をかけていく。その工夫がそれぞれの自己承認力を高めていきます。

5.信頼関係を築き、サポートを惜しまない

自己承認・他者承認をするチームの環境をつくると、部下の方との信頼関係も築きやすくなります。
部下の成長のサポートは、部下の様子を見ていないと出来ません。

いつもあなたが目の前の仕事に追われている状況であれば・・・
一刻も早く脱して、チームの環境づくりに取り組むことをおすすめします。
余裕のない上司が部下育成できるはずがありません。
ご自身の役職にしかできない仕事に最優先で時間をつかっていきましょう。

部下を成長させる「自己承認・他者承認のチカラ」

いかがでしたでしょうか。
今回は部下の成長させる環境づくりについて触れてみました。

部下の成長に関して、悩まれることも多々あると思います。
私も人材育成で多くの方に関わってきましたが
「人それぞれタイプが異なる」というのが難しいところであり、面白いところです。

上司の褒め言葉ひとつとってみても、
「誰が言うか」「誰に言うか」「どんな風に言うか」で受け止め方は変わります。

表情、声のトーン、姿勢、場所、伝えるタイミング・・・
あれこれ試して部下の方とコミュニケーションをとってみてください。

部下の成長は、上司の成長です!

自己承認ができるから、他者承認ができる。

一緒に挑戦していきましょう!
本日もあなたを応援しております!
では、また次のコラムで(^^)/