こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みくださりありがとうございます!

管理職の方の大半がプレイングマネージャーとして、日々の仕事をなさっていることと思います。実務と管理のバランスが難しいお立場ですよね。部下の育成も上司のお仕事ですから、皆様の個性と向き合いながら試行錯誤している方も多いのではないでしょうか。

管理職の方からご相談をいただく悩みの中で、仕事を頼んだときや目標設定において、すぐに「それはできません」「無理です」と発言をする部下の方に困っている、というものがあります。

「すぐにできないって言うなよ」「仕事なんだから指示にしたがってくれよ」
指示出しをする上司として、イライラの感情が出てくる方も少なくないはずです。全員が素直に指示やアドバイスを聞いてくれたら、どんなに楽か・・・。

しかし、ここで一旦考えてみましょう。本当に最悪なのは、いつも上司の顔色を窺って本音を口に出せずに、「わかりました」しか答えられない部下にしてしまうことではないでしょうか。

上司に対して意見を隠さずに言ってくれる、そんな部下との関係が築けている、ともいえると思うのです。「できない」「無理」という発信の中は、部下の方からのメッセージが含まれています。

今回は、「できない」と発言する部下に寄り添いながら、彼らをサポートする方法について一緒に考えてみましょう。


部下が「できない」と言うのはなぜ?気持ちに寄り添うことの重要性

実は私もかつて、「できません。私には無理です」と伝えて、仕事の状況を説明しました。そうしたら、不機嫌そうな様子の上司から「はぁ、できない理由探すなよ」と言われたことがあります。そのとき、私はどう感じたと思いますか?・・・「うるさい、うざい、この人わかってない」ですw(ごめんなさい)

当時の私は、仕事量・自分の力量・プレッシャー・孤独感で悩みを抱えていて、毎日目覚めるのが辛いくらいに仕事を辞めたいと思っていました。目の前の仕事をこなすので精いっぱい。そんな中で、上司に新たな仕事に挑戦をするように指示を出され、キャパオーバー。冒頭の「できません。私には無理です」という発言につながったのでした。

普段から「できない」という言葉がでるタイプなのか、あまり弱音は吐かないタイプなのに今回は「できない」という言葉が出てきたのか。これによっても全く対応の仕方が変わりますよね。

安易に「やる気がない」と判断したり「上司に口ごたえしてきた」なんて捉えてしまうと、関係性がこじれる可能性があります。部下の方の「できない」という発言の言葉の裏には、一体どんな感情や背景があるのか​​を理解しようとすることが大事なのです。

例えば、こんな場合が考えられます。

  • 経験不足による不安:新しい仕事や難しい課題を任されたとき、自分にはまだそのスキルや知識が足りないと感じ、不安に押しつぶされそうになっている場合があります。
  • プレッシャー:上司や周囲の期待に応えたいと思うあまり、「もし失敗したらどうしよう…」という恐れが先立つことがあります。このようなプレッシャーは、ミスを避けたい気持ちや自己防衛の姿勢につながり、「 「できません」という言葉が口をついて出てしまう事があります。
  • 過去の失敗体験:過去に似た状況で失敗した経験がある場合、そのトラウマが「また失敗するかも」という思いを引き出し、「できない」と言わざるを得なくなるのです。

私の場合はこれに加えて転勤をしたばかりでしたので、地域のストレス、知人も友人もいない孤独感、自信のなさ、教育法に対して周りから陰口を言われるなど、踏んだり蹴ったりな状況でした。

普段の部下の方の様子をよく見ずに、部下に適切に声をかけるのは難しいことです。

部下の「できない」に対するへの効果的なアプローチとは?

では、部下が「できない」という発言をしたときに、私たちはどのように対応をしたらいいのでしょうか。効果的なアプローチ法を3つご紹介いたします。イライラした感情を出さずにコミュニケーションをとっていくことが重要です。

イライラしている自分の気持ちを整理しよう

イライラという感情の根っこには、悲しみがあります。部下はきっと素直に指示を聞いてくれるだろう、という期待を裏切られてショック・悲しいのです。そんな自分の感情をまずは整理しましょう。おすすめの方法は、イライラした感情に気がついたら「自分は何がそんなに悲しかったのだろう?」と自問自答することです。深く掘っていくと自分の心の癖に気付くこともあります。
上司として尊重してほしい、大事にしてほしい、受け入れてほしい・・・。承認欲求がもしも出てきたとしたら、自己承認力を高めることが効果的です。


相手の話に耳を傾け、「できない」と発言する部下の背景を知る

「そうか、できないと思うんだね」と、部下の方の言葉を一旦受け止めます。「そう思う理由を教えてもらえる?」と、話を聴いていきます。このときには、相槌やうなずきを交えて「傾聴」を実践しましょう。自信がなくて「できません」と言ったかもしれませんし、抱えている業務が多くてとっさに「できません」という言葉が出てきたのかもしれません。部下の方の背景を知るには、よく話を聴くことが大事です。


部下の「できない」を「できる」に変えよう|一緒に目標を考える重要性

部下が「できない」と感じる理由がわかってきたら、次のステップとして「どうすればできるようになるか」を一緒に考える時間を持つことも大切です。「できない理由はいいから、どうしたら出来るか考えておいて」というような丸投げはおすすめしません。視野が狭くなっている部下の方には、恐らく一人で考えるのは難しいからです。一緒に具体的な目標を設定し、小さな経験を積み重ねることが、部下の方の自信にもつながっていきます。

上司としても完璧主義を手放しましょう。部下に完璧を求めるのではなく、今の時点で部下の方が「できること」を増やしていくアプローチを心掛けます。そして「出来ている」「十分にあなたには能力がある」と承認を伝えて、自信を持ってもらうのです。すると部下の方は「できない」から「できるかもしれない」に思考が変化していき、チャレンジ体質に繋がっていきます。


部下の「できない」を成長に変えるコミュニケーションを!

いかがでしたでしょうか。管理職の方は、上司がいて部下がいるお立場です。部下の方の気持ちは、価値観が違っても想像を膨らませると理解できるはずなのです。

私は過去の経験で「頑張っているのに自分の大変さを上司に理解してもらえない」ときが本当に辛かったです。頑張っても、頑張っても評価されない。仕事に限界を感じて、上司にSOSを出したときに「マイナス発言をするのはやめよう」とたしなめられたこともありました。

「できない理由探すなよ」も「マイナス発言をするのはやめよう」も、たしかに正論。言いたくなる気持ちもわかります。

しかし、仕事で結果が出せず、自信をなくして悩んでいる時期の私には「上司にも理解してもらえないのか」と絶望的でした。それだけ上司の存在は、部下にとっては大きいということ。認めてほしいのです。

こちらのコラムを読んでくださった上司のお立場の方には、ぜひ部下の気持ちに寄り添いながら「できない」を「できるかも」変えられるサポートをお願いしたいなと思います。

上司も部下も自己承認力を高めて、一緒に前に進んでいけるといいですよね!

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)/