こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「最近、部下の様子がなんだかおかしい…」
「ミスが増えているし、表情も暗い気がする…」
「でも、どう声をかけたらいいのかわからない…」
このような違和感を抱いたことはありませんか?
メンタル不調とは、ストレスや疲労が蓄積し、心のバランスが崩れてしまう状態を指します。特に職場では、「なんとか頑張らなくては」と無理を重ね、限界を迎えるまで自分の不調に気づかない方も多くいます。本人も気づかない状態だと、ぱっと見ではわかりにくいかもしれません。
しかし、部下の方が発している「SOSのサイン」を見逃さず、適切にサポートすることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
今回は、部下のメンタル不調のサインと上司としてできる対処法をご紹介いたします。部下の心を守るヒントとなりましたら幸いです。

部下のメンタル不調のサインとは?
メンタル不調のサインは、 「行動の変化」「仕事の変化」「コミュニケーションの変化」 の3つに分類できます。部下の方にこれらのサインが出ていないか、をみていきましょう。
① 行動の変化
- 遅刻や欠勤が増える
- 身だしなみに気を使わなくなる
- ぼーっとしていることが増える
- イライラして落ち着きがない
- 残業が極端に増え、「帰らない」ことが続く
メンタル不調のサインは「働けなくなる」だけではありません。逆に、異常に働きすぎるという形で現れることもあります。「家になかなか帰らない」「仕事を抱え込みすぎる」といった行動の背景には、不安・焦り・自己犠牲・現実逃避などが隠れている可能性も考えられます。
例えば、「今休んだら評価が下がるかも」「自分がやらないと周りに迷惑がかかる」「家に帰るともっと辛くなるから、仕事をしていたほうがマシ」といった心理が隠れていることも多いのです。
実は、私もメンタル不調のときにこの状態に陥っていました。仕事がうまくいかないことを力量不足だと思い込み、長時間労働で補おうとしていました。ストレスをため込んでいたので、何かあるとすぐに涙が出たり、休みの日に起き上がれないほど体調を崩していました。そんな状態でしたが、当時は自分がメンタル不調だとは気づきませんでした。
このタイプの方は、表面的には「やる気がある」「責任感が強い」と見えるかもしれませんが、実は限界を超えている可能性があります。要注意です。
② 仕事の変化
- ミスが急に増える、これまで出来ていた仕事に時間がかかる
- 仕事の進捗を報告しなくなる
- 新しいことにチャレンジしなくなる
- 一人で仕事を抱えるようになる
- チームのメンバーとの協力する場面が減る
メンタル不調に陥ると、仕事の精度が下がってしまうこともあります。新たなチャレンジや楽しいことへの意欲も乏しくなります。そして、「周りに迷惑をかけたくない」「これくらい自分でなんとかしなければ」と考え、仕事を一人で抱え込むようになるケースもあります。特に責任感の強い部下ほど、「誰かに頼るのが申し訳ない」「相談すると自分の評価が下がるかも」と感じ、どんどん孤立しがちです。
③ コミュニケーションの変化
- 笑顔が減る、表情が暗い
- 話しかけても素っ気ない
- 周囲との会話が減り、孤立しがちになる
- 逆に、突然過剰に話すようになる
- 無理に明るく振る舞う
メンタル不調のサインを思い浮かべると暗い表情をイメージしがちですが、それだけではありません。いつもよりテンションが高かったり、笑うタイミングが不自然だったり、笑顔がぎこちない場合には、「自分の不調を悟られたくない」と思っている可能性もあります。普段から「周囲に迷惑をかけたくない」という思考をしやすい方は、強いストレスを感じても我慢する傾向にあるので気を付けましょう。
3つの変化の共通点は、「違和感」です。「なんだか普段と違うな」「いつもより口数が少ないな」など、ちょっとした違和感を感じたときには、気を付けて行動を観察して早めに声をかけましょう。

メンタル不調の部下に上司ができること
部下がSOSを発していると感じたら、「気づく」「寄り添う」「支援する」 の3ステップで対応しましょう。
① 気づく:違和感を見逃さない
直感的に「なんか今日雰囲気違うよね」といった違和感を感じたことが「部下のSOSだった」ということも少なくありません。日頃から部下の皆さんの様子を観察してみてください。
何か変化があると感じたら、「お疲れ様です。少し話ししましょうか」と、お茶を飲みながら雑談をするのもいいです。
メンタル不調の部下が自ら「実は、ちょっと…」と、悩みを相談し始めることは少ないです。 上司の方からこまめに「気にしているよ」というメッセージを伝えること が大事です。
② 寄り添う:話をじっくり聴く
部下が話し始めたら、 「傾聴」の姿勢でしっかりと聴く ことを意識しましょう。
- 適度に相づちを打つ(「そうなんだね」「それは大変だったね」)
- 話を遮らず、最後まで聴く
- 「もっと頑張れよ!」と無理に励ましたり、アドバイスしない
モヤモヤを抱えているときに、誰かに話を聴いてもらって楽になった経験はありませんか。文句でも愚痴でもいいのです。とにかく、吐き出してもらうことが重要です。「そうだったんだね」「それは辛いね」「頑張って来たよね」と、寄り添いながら労いましょう。過剰な励ましは、おすすめしません。
③ 支援する:適切なサポートをする
部下がストレスを抱えている場合、 仕事の負担を減らすことや 環境を整えることも一つの選択です。上司として適切なサポートをしましょう。部下の方と相談をしながら、仕事のペースを決めることをおすすめします。
- 業務の調整:「少しタスクを整理しようか?」と声をかける
- 休息の提案:「無理せず、少しリフレッシュの時間をとってもいいよ」
- 人事や専門機関と連携:社内の相談窓口を紹介する
- 小さな成功体験を作る:「ここまでできたね」とプロセスを認める
大切なのは、「無理に頑張らせる」のではなく「安心できる環境を作る」 ことです。
上司自身のメンタルケアも大切!
ご自身のメンタルケアはいかがですか。不安・焦り・イライラはありませんか。部下のメンタル不調に向き合うことは、上司自身にも負荷がかかります。ご自身がストレスを抱えている場合、部下のことを気に掛ける余裕がなくなり、対応しきれなくなるのです。
つまり部下の対応をする上では、上司自身の「自己承認力」を高めることが必須ということです。自己承認力とは、「自分を認め、信じて 前に進める力」です。ここでは少しだけポイントをご紹介いたします。
✔ 自己承認力を高める3つの方法
- 自分を責めすぎない:「部下のことを気にかけているだけで十分頑張っている」と自分を認める
- 完璧を求めすぎない:「私ができることを精一杯やろう」とコツコツ積み上げる
- 上司に相談する:あなたの上司と情報を共有し、ひとりで抱え込まない
まとめ:部下のメンタルを支える上司になろう
部下がメンタル不調になったとき、一番よくないのは「すぐに解決しよう」とすることです。励ましたり、褒めたりすれば、メンタルが上向きになる…そんな簡単なものではありません。
一緒に働く仲間として、職場という限られた時間・空間の中で対応できることは「相手の不調に気づき、寄り添い、支援する」 ことです。
✔ 部下の行動・仕事・コミュニケーションの変化に気づく
✔ こまめに声をかける (話せそうなタイミングを見て)
✔ じっくりと話を聴く
✔ 必要に応じて仕事の調整や環境づくりをする
✔ 上司自身のメンタルケアも忘れずに
第一歩は、気がつくことからです。部下のメンタル不調もそうですが、ご自身のメンタルの状態にもぜひ意識を向けていただきたいと思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう。