こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「部下が怖い…」「部下が優秀で近寄りがたい…」
そんな風にお感じになったことはありますか。
今このコラムを読んでくださっているということは、部下との関係の改善を願っていたり、部下に対する気持ちをどうにかしたいと思っていらっしゃるのかもしれません。部下のタイプは十人十色。関わりやすいタイプもいれば、そうでないタイプもいて当然です。
まず先にお伝えしたいのは、ご自身のその気づきと「どうにかしたい」という前向きな姿勢は、上司として素晴らしいということです。自分の業務に手いっぱいで、部下に無関心の方も少なくありません。「関係を改善したい」と思いがあることが重要だと私は考えています。
あなたが感じている「怖い」「近寄りがたい」という感情は決して悪いものではありません。
少し掘り下げてみると、ご自身の心の癖を知ることが出来たり、接し方のちょっとした工夫で関係が改善することもあるのです。
では、なぜ部下に対して「怖い」と感じるのでしょうか?
その感情をひも解きながら、具体的な対策を一緒に考えていきましょう。

「怖い」と感じる理由を知る
「部下が優秀で怖い」と感じる理由は人それぞれですが、大きく分けると次の3つが考えられます。
怖い理由 | 対策 |
---|---|
部下の態度や口調が強い | 「この人の話し方のクセ」と捉え、感情を切り離す |
いつか追い抜かれると感じる | 「上司と部下の役割は違う」と考える |
自分の能力が劣っていると感じる | 「部下に勝とうとするのではなく、活かす視点を持つ」 |
では、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
1. 部下の態度や口調が強い
自信満々に話す、反論が鋭い、遠慮なく意見を述べる――。
そんな部下に対して、「威圧的に感じる」「自分が批判されている気がする」と思ったことはありませんか。
しかし、そんな部下のことを全員が怖がっているかというとそうでもない…。実はここで最も重要なのは、「部下がどういう態度や口調か」ではなく、「自分がどう受け取っているか」です。
声が大きい、堂々とした振る舞い、何でも正直に言う、ポーカーフェイスなどの要素が必ずしもネガティブな印象を与えるかと言えば、そんなこともありませんよね。
例えば、こんな風に受け止めてみるのはいかがでしょう。
- 「この人の話し方はこういうスタイルなんだ」
- 「攻撃しているのではなく、率直に意見を伝えてくれているのかも」
- 「ずっと無表情だけど、別に不機嫌なわけではないのかも」
部下の方は「論破したい」「批判したい」「威圧したい」と考えているのではなく、単に「コミュニケーションスタイル」が独特なのかもしれません。見方を変えてみると、必要以上に萎縮せずに冷静に対応できるようになります。
2. 「いつか自分を追い抜くかもしれない」と感じる
「部下の方が評価されている」「このままでは自分の立場が危うい」と感じることもあると思います。
しかし、上司と部下の役割がそもそも違う のです。
・ 部下はプレイヤーとして成果を出すことが求められる
・ 上司はチームをまとめ、成果を最大化することが求められる
部下はチームの仲間です。「部下の活躍=上司の成果」とお感じになっているでしょうか。もしもそうでない場合、チームをマネジメントする「上司の視点」にご自身を引き上げる必要があるかもしれません。
この視点を持てると、「この部下の成長をどう活かせば、チーム全体が強くなるか?」と考えられるようになります。同じ土俵に立つのではなく、部下を「育成する」目線から見ると、部下の成長をポジティブに受け止められるようになります。
3. 「自分の能力が劣っている」と感じる
「部下のほうが専門知識がある」「自分よりもスキルが高い」―― そんな場面に直面すると、劣等感や自分の能力に不安を感じることがあるかもしれません。
しかし、「部下のスキルの高さ=自分の無力さ」ではありません。比較すること自体が違うと思うのです。むしろ、あなたにとって部下のスキルの高さは、上司としての成長のチャンス。
例えば、部下が最新のITツールを駆使できるなら、「自分も学ぶべきことがある」と前向きに捉えてみることも出来ます。部下の専門知識が深いなら、その知識をチームにどう活かせるかを考え、自身も知見を広げていくことができます。
- 優秀な部下がいるからこそ、自分にも学ぶ機会がある
- 部下の得意分野を知ることで、上司としての視野が広がる
忘れてはならないのは、あなたにはあなたの「できること」があるということ。
知識やスキルだけが上司の価値ではありません。部下をまとめ、チームを導く力、経験から得た判断力、人を活かす視点…これらは、あなたにしかできない役割。そして、あなたの個性や人柄も大事な魅力です。焦らずご自身の強みを活かしていきましょう。

自己承認力を高めて「焦り」をコントロールする
部下を「怖い」と感じる理由がわかったら、「自己承認力を高める」ことにチャレンジしていきましょう。自己承認力とは、「自分を認め、信じて、前に進める力」 のこと。この力を鍛えることで、他者と比較してもブレることなく、自分の価値を信じられるようになります。
自己承認力を高める3つの方法
- 自己肯定感をトレーニング:「私は私。これまでも今もよくやっている」と認める
- 自己効力感をトレーニング:「私はどんな状況でも学び、成長できる」と信じる
- スキルをトレーニング:「自分ができる仕事や知識を増やし、実践する」
自分の強みを知り、「私だからできること」を明確にすることで、不安をコントロールしやすくなります。
「部下を育てる」視点を持つ
優秀な部下を「脅威」と捉えるのではなく、「チームの財産」と考えられるようになると、不安は驚くほど和らぎます。では、上司としてどのような視点を持てばよいのでしょうか?
- 「この部下の能力をどう伸ばせば、チーム全体が成長するか?」
- 「部下がさらに成長するために、自分は何ができるか?」
こんな風に視点を変えることで、部下の能力を「自分の負担」ではなく、「チームの可能性」として受け止めることができます。
「この部下を育てるには?」という視点で動くことは、あなた自身の成長にもつながります。
「どんな言葉をかけるか?」「どんな仕事を任せるか?」あれこれ考えながら、人を育てる経験を積むことは、管理職にとってとても重要なことです。
特に価値観が合わない部下や距離がある部下への接し方は、本当に勉強になります。部下の成長を支えられる上司を目指したいですよね。
実は私自身も、部下に対して「怖い」と感じたことがあります。29歳で企業の教育担当に就任した当時、ベテラン管理職との関わりにプレッシャーを感じ、自信のなさが恐怖心を増幅させていました。
私が乗り越えた方法は、『心理学やコミュニケーションを学び、視点を“チーム全体”に引き上げたこと』、そして『教育担当という役割に徹し、仕事上の関係として冷静に向き合ったこと』でした。

まとめ:「優秀な部下がいること」はチャンス
「部下が怖い」「部下が優秀で近寄りがたい」そんな風に感じるのは、決して珍しいことではありません。
感情を否定する必要はありません。むしろ、その気持ちに気づいたことこそが、ご自身の成長の第一歩だと思うのです。
部下の言葉や態度に威圧感を感じるなら、「この人の話し方はこういうスタイルなのかもしれない」と捉えることで、必要以上に身構えずに済みます。
「いつか追い抜かれるかもしれない」と不安を感じるなら、「上司と部下の役割は違う」という視点を持つことで、より戦略的なマネジメントができるようになります。
そして、「自分の能力が劣っている」と感じるなら、それは「スキルアップのチャンス」です。部下の得意分野を知り、学ぶことで、あなた自身の視野も広がります。
大切なのは、「今、自分にできることは何か?」を見つけること。
部下を導き、チームをまとめ、成果を最大化する――これは、あなたにしかできない役割です。
そして、「部下を育てる」視点を持つことで、あなたのマネジメント力もさらにアップしていきます。
自己承認力を高め、ご自身の強みを活かしながら、チームの宝である部下を育てることは、あなた自身の成長にもつながります。まずは、今日からできる小さな一歩を踏み出してみましょう。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう。