こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
「最近、部下の様子がなんだかおかしい…」
「仕事に対するモチベーションが下がっている気がする」
「まさか、辞めるつもりかも…?」
こんな不安をお感じになったことはありませんか。上司であれ部下であれ、同じチームで働いている仲間の離職は大きな痛手になります。仲間が辞めるという決断をする前に、出来る限りの力を尽くしたいものです。
私がまず先にお伝えしたいのは、部下の様子を見て「離職の兆候」をキャッチできているあなたは凄いということです。部下に関心がなく、周りが見えていない上司は気がつかないからです。
そんな上司に限って、ある日突然部下から「辞めます」と言われて、あたふたしながら文句を言ったりするのですよね。
あなたが兆候を感じているように、部下が転職を考え始めたときには、何らかのサインを出しているものです。今回は 「部下が辞めそうな兆候」と「上司がとるべき対策」 を7つのポイントに分けてお伝えします。
一緒にみていきましょう。

1. 部下が辞めそうな7つの兆候
「仕事を辞めるサイン」は、徐々に行動や態度に現れます。
部下の方がこのようなサインを出していないか確認をなさってみてください。
① 残業が急に減った/定時で帰るようになった
以前は早めの出勤や残業をしていたのに、急に定時出勤・退勤をするようになっていませんか。これが「仕事の余裕が出来た」「プライベートを大事にし始めた」「タイムマネジメント力が上がった」という理由なら問題ありませんが、何かトラブルを抱えていたり、仕事への熱意が薄れている可能性もあります。
② 仕事への取り組みが消極的になった
・以前は積極的に意見を出していたのに、最近は発言が減った
・業務への関心が薄くなり、淡々とこなしているだけ
・向上心がなくなり、スキルアップの意欲が見られない
このような変化が見られる場合、「もうここで頑張る意味がない」と思っているかもしれません。
③ 有給休暇の取得が増えた
有給休暇の取得は社員の権利です。①同様で仕事に余裕が出来たり、プライベートを大事にするなどの理由なら問題ありません。一方で、転職活動中の方は面接のために有給休暇を使うことがあります。休みの取り方に変化が見られたら、「転職活動中」もしくは「家庭や体調に問題を抱えている」サインでもありますので、要注意です。
④ 上司や会社への不満を口にするようになった
「給料が安い」「評価が不公平」「上司の指示が納得できない」など、不満を口にすることが増えていませんか。以前から愚痴っぽい性格でしたら問題ありませんが、最近になって急に不平不満を多くこぼすようになったとしたら、気を付ける必要があります。
⑤ 重要なプロジェクトや長期案件に関心を示さない
長く関わる仕事を避けるようになったり、責任あるポジションに消極的と感じる言動が増えたら、すでに「自分はこの会社に長くいないから」と考えている可能性があります。長期的な目標も設定しにくくなるので、面談などで確認をするといいかもしれません。
⑥ 社内の人との関わりが減った
・ランチや雑談に参加しなくなった
・チームの飲み会やイベントを避けるようになった
・社内での交流を最低限にしている
以前は会話が多かったのに口数が減ったり、イベントごとも参加していたものに参加しなくなった。これは「この職場の人間関係に関心が薄くなった」のサインです。
⑦ 急に業務の引き継ぎを意識し始めた
・仕事の進め方を細かくメモに残す
・資料を整理し始める
・後輩や同僚に業務を説明し始める
ある時期から、急にこれらの行動が見られたら「職場を離れる準備」と捉えるといいかもしれません。責任感の強い方の行動ですが、ここまで来ると離職の気持ちが固まっている可能性も高いです。

2. 上司がとるべき7つの対策
部下が辞める兆候に気づいたら、早めの対応が重要です。ここで1点注意したいのは、「辞められたら人不足で困る」という気持ちだけで対応するのはNGということです。部下は、離職を決意するまでに何日も何日も自分のキャリアを考えます。その部下が「どんな悩みを抱えているのか、どんな将来像があるのか」関心を持っていますか。一緒に働く仲間として、「部下に良い道を選んでほしい」と思える上司にこそ、部下は心を開きます。
以下、ご紹介するのは「早めに部下の離職の兆候に気づき、部下の気持ちに寄り添いたい」と思える上司の方におすすめする対策7つです。
① 細やかに声をかけ、部下の本音を引き出す
「最近、仕事はどう?」
「何かあれば話聞くからいつでも言って」
まずは部下が安心して話せる場を作ることが大切です。
定期的に会話が出来る場をつくり、優しく寄り添う姿勢で話を聴きましょう。
② 評価や待遇の見直しをする
部下の不満が「給与が低い」「評価が不公平」などの場合、待遇を見直すことが必要です。
・業績を評価出来ているか確認する
・昇給や昇進の道を示す
・スキルアップの機会を提供する
このような取り組みをしているでしょうか。「先が見えない職場」となっている場合、転職を考えるのも仕方ないかもしれません。
③ 仕事のやりがいや目的を伝える
日頃のコミュニケーションの中で、「なぜこの仕事が重要なのか」「どんな成長につながるのか」を伝えていますか。上司が部下の仕事の価値を言語化して伝えることで、仕事のやりがいや目的を再認識できるようになります。
「〇〇さんの仕事があるおかげで、チームがすごく助かってるよ」
「会社が今期目指すゴールは△△だから、この調子で達成できると思う!」
「このプロジェクトを成功させたら、こんなチャンスが広がるよ」
④ 定期的にフィードバックを行う
「頑張っているのに評価されていない」と感じると、無価値感を感じやすくなります。モチベーションも下がりやすくなるので、日常的に承認の言葉をかけることを意識しましょう。
・「いつもありがとう。助かってるよ」:感謝の言葉を伝える
・「コツコツ続けて来た結果だね。凄いよ」:プロセス・成果を認める
・「〇〇さんの資料の△△の工夫が素晴らしい」:具体的に褒める
⑤ 部下のキャリアプランを一緒に考える
定期的な面談で、目標管理をしているでしょうか。部下の気持ちに寄り添いながら、短期・長期の目標を一緒に考える機会を設けましょう。部下の成長をサポートする姿勢を見せることが重要です。
「〇〇さんは▢▢が得意だから、そのスキルを伸ばして将来的にはリーダーを目指せると思うんだ」
「これまでの経験を活かして、新しい業務にチャレンジしてみない?」
⑥ 人間関係を良好にする
友達のように仲良くなる必要はありませんが、どの世代も離職の理由の上位に入るのが人間関係です。たった一人との関係が悪いせいで、転職を考える方も少なくありません。人間関係を良好にすることは、いつも意識しておきたいものです。
・こまめに声をかける
・相談しやすい雰囲気を作る
・チーム内のコミュニケーションを活発にする
・チームでコミュニケーションの取り方の学びを継続する
全員が望むのは、仕事がスムーズに進められることです。「この職場は仕事がしやすい」と思ってもらえる環境を作りましょう。
⑦ 無理に引き留めない
迷っている、転職を考えだしている、という段階では引き留めることは可能かもしれませんが、もし部下が「もう辞めることを決意した」という場合、無理に引き留めるのはやめましょう。部下の考えを聴くことに集中し、「次のステップに進むまでの間、この職場で精いっぱい頑張ろう」と思ってもらえるよう、背中を押す方が、お互いにとって良い結果につながります。
ただし、どうしても「この部下に辞めてほしくない」という気持ちもあるかと思います。その場合には、一方的に引き留めるのではなく、部下が納得できる形で話を進めることが大切です。
例:
「このチームには〇〇さんが必要です。ステップアップを望むならば、〇〇さんに合ったポジションの用意を考えます」
「正直なところ、〇〇さんには辞めてほしくないです。どんな将来を考えているのか、しっかり話をさせてください。会社として出来ることがないか、一緒に考えたいです」
まとめ
いかがでしたでしょうか。私自身、転職を何度か経験してきました。職場が嫌で辞めたわけではありませんので、お世話になった方々に離職の意向を伝えるのは、毎度申し訳なさがありました。
印象に残っているのは、私の近くにいる方ほど「もう決意は固いんだろう。応援するよ」という冷静な受け止め方だったことです。ステップアップのための転職でしたし、まさに対策7の「無理に引き留めない」の対応で、気持ちよく退社することが出来ました。当時の上司の皆様に心より感謝を申し上げます。
「この仕事を辞めよう」と考える理由は人それぞれです。対応次第で、離職が止まることもありますし、そうでないこともあります。サインに気がついたら早めに「部下の気持ちを汲み取って寄り添う」。上司として出来ることはこれです。
「この上司のもとで働き続けたい!」「この上司と働けてよかった!」
そんな風に思ってもらえるようなコミュニケーションと信頼関係を築いていきましょう。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう。