こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「最近、部下の様子がなんだかおかしい…」
そう感じたことはありませんか。
たとえば
・体調不良で休みがちになっている
・遅刻や欠勤が増えてきた
・小さなミスを繰り返している
こうした変化は、単なる怠慢や気の緩みではなく、心や体からのSOSサインかもしれません。
本人が気がついていない場合もあるのです。
そんなちょっとした部下の違和感に、上司が「なんか変だな」と気づけることが重要。
それは日頃から部下をよく見ている証拠であり、信頼関係を築く第一歩でもあります。
ただし、焦って「原因はこれだ!」と決めつけてしまうと逆効果です。
慎重に対応をしていきましょう。部下の様子が変わった背景には、いくつもの理由が考えられますので、一緒に見ていきましょう。

部下の様子がおかしいときに考えられる5つの背景
- 上司であるあなたとの関係性
- プライベートの問題(家族・お金・健康など)
- 部署内の人間関係
- 体調不良や睡眠不足
- 仕事のモチベーション低下
どの理由にしても、答えを持っているのは本人だけです。
だからこそ、観察しながら声をかける頻度を増やしたり、近くで働く同僚にさりげなく様子を聞いてみるなど、冷静で丁寧な対応が求められます。
くれぐれも「どうした?なんか元気ないね?」「やる気下がっているんじゃない?」と、気軽に声をかけるのは避けましょう。デリケートな悩みを抱えている場合、心を閉ざしてしまう可能性があります。
声をかけるときのポイント
部下の異変に気がついたとき、上司の言葉がけひとつで「相談してもみようかな」という気持ちが生まれます。私が研修でもよくお伝えしている流れをご紹介します。
① ざっくりした質問を投げかける
「●●さん、元気?」
「●●さん、調子どう?」
最初は、何も知らないような軽いトーンで声をかけていきましょう。
相手が話しやすいきっかけを作るためです。
② 反応を見て、調整しながら質問する
相手の表情や声のトーンなど、反応を見ながらこちらの質問を変えていきます。
- 「はい!元気ですよ!」 → 「ならよかった!」
- 「まあ…(元気ない)」 → 「まあまあか~、…何かあった?」
- ため息や反応が薄い → 「…●●さん、少し話そうか」
③ 「最近、~だなぁと気になっていた」と切り出す
「最近、〇〇さん残業続いているなぁと気になってて」
「最近、〇〇さん頑張りすぎているなぁと気になっていたんだよね」
「最近、〇〇さんとあまり話していないよなぁと気になっていたんだ」
このときに、あなたの感じている「違和感」を少し伝えていきます。
ポイントは、なるべくネガティブなワードを入れないことです。
×「元気ないなと思っていた」⇒ 〇「少し表情が気になっていた」
×「顔色悪いなと思っていた」⇒ 〇「家でちゃんと休めているかなと気になっていた」
×「すごく疲れているなと思っていた」⇒ 〇「ハードワークだから気になっていた」
決めつけでズバッと伝えるのではなく、相手が話しやすいようにやんわりと言葉にしてみましょう。
“気づいているよ”というメッセージが、部下の安心感につながります。

無理に聞き出すのはNG!
大事なことは「部下の様子がおかしい!なんとかしなくちゃ!」と解決しようとしないことです。
人との距離感は、それぞれ異なります。上司と部下は「仕事関係者」ですから、無理に踏み込んだ質問をするのは避けましょう。
私自身も、20代の頃に家庭の問題を抱えて悩んでいた時期がありました。親が亡くなったことで発生した借金問題です。(今は解決済み)
当時はものすごく悩んでいましたが、上司に相談する気にはなれませんでした。ネガティブなプライベートの話はしたくなかったし、恥ずかしいし、心配をかけたくない気持ちも強かったのです。
仕事をしている間くらいは、むしろその問題から意識をそらして働きたかった…という気持ちもありました。様子はおかしかったと思いますが、無理に詮索しない上司で大変助かりました。
あくまでも、事情を話すかどうかを決めるのは本人です。無理に聞き出そうとするのではなく、相談しやすい存在であること。それが、信頼関係を深める最大のポイントです。
原因と対策7つ :具体的に見ていきましょう
1. 体調不良が続いている
原因の背景
過重労働、睡眠不足、慢性的な疲労など。体力の低下もありますし、病気の可能性もあります。特に真面目で責任感の強い部下ほど「休む=迷惑をかける」と思い込み、無理をして出社することがあるので要注意です。
上司の対策
- 「最近忙しいけど、体調どう?」と気づきを示す
- 「休むことも仕事のうち」というメッセージを伝える
- 有休や振休をとりやすい雰囲気をつくる
声かけ例
「昨日も遅くまで頑張ってくれてたね。今日は早めに切り上げてゆっくり休んで」
2. 遅刻や欠勤が目立つ
原因の背景
寝不足や体調不良に加えて、家庭の事情(介護・育児・経済的な問題)が隠れていることも。本人から打ち明けづらい内容である場合が多いです。
上司の対策
- 「どうして遅れたの?」と責めるより「何か困っていることある?」と聴く
- 無理に聞き出さず、安心して話せるタイミングを待つ
- 勤務時間の調整など、小さな配慮を検討する
声かけ例
「お疲れ様。今月、欠勤が2回目だね。勤務時間や業務とか調整してほしいことある?何かサポートできるかもしれない」
3. ミスが急に増える
原因の背景
集中力の低下、ストレスの蓄積、あるいは指示が不明確だった可能性もあります。部下自身も「どうしてこんな単純ミスを…」と自信を失っていることが多いです。
上司の対策
- 「なぜできないのか」を追及するのではなく「どうすればいいか」を一緒に考える
- 指示を曖昧にせず、期限・形式・チェック方法を明確に伝える
- ミスにばかり注目せず、出来ていることを承認する
声かけ例
「〇〇さん、この部分誤字があったので修正してください。その後、誤字チェック方法をあらためて一緒に確認していこう」
4. 表情や態度の変化
原因の背景
職場の人間関係トラブル、自信喪失、モチベーション低下。ときには「挨拶をしなくなる」「目を合わせなくなる」といった形で現れることもあります。
上司の対策
- 「最近元気ないね」と決めつけず「どう?」と軽く聞く
- 日常の雑談を増やす
- 相手が話し出したら、否定せずに受け止める
声かけ例
「最近あまり話してないように思ったんだ。何か気になってることある?」
5. 仕事への意欲低下
原因の背景
- 目標が曖昧で「頑張る意味」を見失っている
- 努力や成果が十分に認められていない
- 成果主義のプレッシャーが強い
上司の対策
- 「できている部分」を具体的に承認する
- 目標を一緒に設定し、短期的な達成感を積み重ねる
- プロセスを認める言葉を増やす
声かけ例
「〇〇さん、この前の資料ありがとう。すごくわかりやすかったよ。特にグラフのまとめ方が良かった」
「〇〇さん、目標の第一段階達成だね。この成果は大事だね」
6. コミュニケーションが減る
原因の背景
孤立感や「弱みを見せられない」完璧主義。特に真面目な部下は「迷惑をかけたくない」と考え、相談できずに抱え込みます。
上司の対策
- 日常の雑談を増やす
- 上司自身が弱みや失敗談を見せ、安心感を与える
- チーム全体で声をかけ合う雰囲気をつくる
声かけ例
「新人の頃によくミスしたんだよー。ダメダメだったなぁ」
「〇〇さんの業務、少しずつ後輩に任せていくのもいいかもね」
7. 上司自身の影響
原因の背景
上司のイライラや忙しさは、部下にすぐ伝わります。「声をかけたいけど、機嫌が悪そうで話しかけられない」「忙しそうだから、迷惑かけられない」そんな雰囲気は、部下の萎縮を招きます。
上司の対策
- まずは自分自身の自己承認力を整える
- 自分の感情を客観的に振り返り、余裕を持つ
- 「上司も人間」と伝える自己開示で距離を縮める
声かけ例
「今日はちょっとバタバタしてイライラしてたかも、ごめんね」
「最近、どうやってリフレッシュしてる?」

明日からできる一歩
いかがでしたでしょうか。部下のちょっとした変化をキャッチできる上司は、問題を未然に防ぐことが出来ます。そのためには、常に「アンテナ」を張っておく必要があるのです。
そして、「部下の様子がおかしい」と感じたら…
- 早とちりせず寄り添う
- 改善策を一緒に考える
- 上司自身が自己承認力を高め、余裕を持って関わる
すぐにできる小さな一歩は、「部下に声をかけ、話を聴くこと」です。
声をかける頻度を増やしていくと、部下の情報をよりつかむことが出来ます。
部下に話しかける際には、自信を持ち、心が安定し、余裕がある上司でいることをお忘れなく。
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本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)