こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「どうしたら信頼される上司になれるのだろう?」
多くの管理職の方から、そんな相談をいただきます。

部下との信頼関係は、チームの成果を左右する最も重要な要素です。
どれだけ実績を積んでも、人としての在り方が伴っていなければ、部下の心は動かないのです。

私がリーダーとして現場でもがいていた頃、お世辞にも良い上司の振る舞いではありませんでした。
部下の話を最後まで聴けていたかといえば自信はなく、自分の弱さを見せる勇気も足りませんでした。
もちろん、全員に温かい言葉をかけるような余裕もなかったです。

スキルが全く追いついていない状態でしたが、当時一緒に働く仲間には信頼してもらえることが多かったように思います。振り返ると、不器用でも「チームを前に進めようとする」その姿勢を見てもらえていたように思います。
朝から晩までとにかく動く。パートアルバイトさんとの約束は守る。嘘をつかずに、自分なりに誠実に向き合う。それが、私にとっての“信頼されるリーダーシップ”の原点です。

当時のパートさんに言われて印象的だったのは、「キツイ言い方されたこともあったけど、一生懸命な主任に私は何度も助けられた」という言葉です。
あの頃に、もっとスキルがあったなら…とは思いますが、信頼関係は築けていたなとあらためて感じます。

今回は、そんな私の経験も交えながら、信頼を生む上司の5原則と、信頼を失うNG3つをご紹介します。


1.話を最後まで聴く「傾聴力」

上司が部下の話を最後まで聴けるかどうか。私はこのスキルを身につけて、より多くの人を理解できるようになりました。

人は「話を聴いてもらえた」と感じたとき、初めて「受け入れてもらえた」と思います。
それが短い一言でも、表情でも構いません。
「うん」「そう思ったんだね」この小さなリアクションが、部下に安心感を与えます。

忙しいと反射的に、「え?今?後にしてよ」「結論はなに?」と、つい出てしまうことはありませんか。私はよくありました…反省です。
自己承認力を学んでからは、まずは“感情を受け止めながら聴く”という姿勢を意識するようになりました。
「話を聴けるようになる」それだけで、部下の表情が柔らかくなり、関係が大きく変わります。


2.約束を守る「誠実さ」

信頼は、誠実さの積み重ねでしか生まれません。小さな約束を守ること。言ったことをやり遂げること。
当たり前のようで、実はここが一番難しいのです。

「やると言ったことはやる」を自分のルールにするのもいいかもしれません。
それは、部下に見せるためでも、上司に評価されるためでもなく、「自分で自分を裏切らないため」です。

この“自分との約束を守る姿勢”が、自信につながり、やがて他者からの信頼にもつながっていく。
自己承認力を高める習慣でもあります。


3.相手を尊重する「謙虚さ」

どんなに立場が上でも、相手を見下す上司に人はついていきません。
役職の差は、役割の差です。偉いわけでも、特殊な能力を持っているわけでも何でもありません。

役職が異なれば、視野が異なり、価値観も大きく異なります。意見が違うのは当たり前なのです。
相手の価値観、自分の価値観、そしてチームの価値観。
大事なのは、チームの価値観を共に作っていくこと。

心理学では、“尊重”は最大の承認行動と言われます。
謙虚な気持ちで相手を尊重できているでしょうか。確認していきたいですね。


4.弱さを見せる「自己開示」

上司という立場になると、どうしても「強くあらねば」と思いがちです。
しかし、本当に信頼される上司は、弱さや欠点を見せられる人です。

私自身、完璧を目指して空回りしていた時期がありました。
「できない」「つらい」と言えずに抱え込み、ついには心身に負荷がかかって体調を崩したこともあります。突然、体調崩して仕事を休むのですから、そっちの方がチームに迷惑がかかります。

本当は手伝ってほしい、一人だとしんどい状況のときに、声をあげられますか。
「弱さを見せることは、信頼を壊すことではない」

むしろ、自分の限界を正直に話すことで、部下も「自分も頑張りすぎなくていいんだ」と感じ、安心してくれるのです。


5.温かい承認の言葉を持つ

リーダーシップとは、人を無理に行動させることではなく、人の心を動かすこと
日常の小さな承認が、職場の空気を変えます。

「いつも助かってるよ」「今日もありがとう」
たった一言でも、部下にとってはエネルギーになります。

自己承認力が高い上司ほど、他者承認も自然にできるようになります。
自分を認めている人は、他者にも優しくできる。
逆に、自分を責めている上司ほど、他人にも厳しくなってしまうのです。

信頼を生む職場には、必ず“温かい言葉”が流れています。


信頼を失う上司のNG行動3つ

信頼を築くには時間がかかりますが、失うのは一瞬です。
ここでは、私が実際に現場で見てきた「信頼を失うNG行動」を3つ挙げます。

1.部下を見下す態度

部下を自分よりも下の存在だと思っていませんか。もしそうならば、改めた方が良いかもしれません。
相手を見下していることは、必ず伝わります。
「だから君はダメなんだよ」「普通こうするでしょ」
こうした相手を否定する言葉が、どれほど部下の自己肯定感を下げるでしょうか。
上司の言葉には、想像の何倍もの「圧」がかかります。
一緒に働く仲間の「やる気を上げたいのか?下げたいのか?」
リーダーは、目的を意識しながら言葉選びをすることをおすすめします。

2.話を聴かずに結論を出す

「で、結論は?」「もういいからやっておいて」自分が上司から言われたらどうでしょうか。
話を途中で遮られることは、相手の心のシャッターを下ろします。

情報は、チームの宝です。複数人で働いている以上、報告・連絡・相談は欠かせません。
上司がどれだけの情報を持っているかが、チームの成果を左右します。

それと同時に、相手の話を聴く姿勢は、“存在を認める行為”にもなります。
どんな意見であっても、「話してくれてありがとう」と伝えるだけで信頼は回復します。


3.感情をそのまま出す

「フキハラ」なんて言葉が出るほど、上司が不機嫌になるとチーム全体が沈みます。
無言の圧力や小さなため息ほど、職場の空気を重くするものはありません。

人間だから、怒ることも落ち込むこともあります。私ももちろんあります。
大事なことは、その感情をどう扱うか。
お客様の前や重要な取引先様の前で、不機嫌さは出しませんよね。
部下の前でも同じです。感情をコントロールする力を発揮していきましょう。

感情に飲み込まれず、冷静に伝える。それが大人のリーダーシップです。


信頼の本質は「人としてどう在るか」

いかがでしたでしょうか。信頼される上司に共通するのは、特別な才能ではありません。
誠実に、丁寧に、人と向き合う力。
それだけです。

リーダーシップの根底にあるのは、人間性です。
「この人の言葉なら信じられる」と思われる人間になること。

あなたは、あなた自身のことを認めて、信じていますか。
自分を認められる人は、相手を尊重できます。
自分を信じられる人は、相手を信じられます。
そして、自分を励ませる人は、相手も励ませる。

信頼は、そうした“自分との関係性”から始まるのです。

どうか焦らずに、一歩ずつ。
今日からできる小さな「誠実な行動」を積み重ねていきましょう。
その先に、あなたのチームの強い信頼関係が育っていきます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)