こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

部下のミスが多いとき、あなたはどのように対応をしていますか。上司として「どうしてまたミスが起きるんだろう」「自分の指導が足りないのでは」と悩むこともあるかと思います。

上司としての責任感から、つい厳しい言葉や態度を取ってしまい、結果的に部下が萎縮してさらにミスが増えてしまう…そんな悪循環に陥っていませんか?
もしかしたら、「もう指導しても無駄だ」と諦めている方もいらっしゃるかもしれません。

私は上司としてどちらの状況も経験があります。指導をしてもミスを繰り返す部下に対して、イライラも疲も溜まり「もう放っておこう」と距離を置いてしまった時期もあります。もしも、あなたが当時の私のような状況に陥っているならば、かなり疲弊しているのではないでしょうか。

今回は、効果的な指導法をご紹介しますが、その前に行っていただきたいことがあります。まずは「ご自身のストレスの状態」を確認していただきたいのです。人材育成は根気が必要な分野ですから、指導者がどれだけ精神的に安定しているかで結果が大きく変わります。上司が不安・焦り・イライラを抱えたままでは、部下は育ちません。ぜひ日々のご自身のストレスにもご注目をなさってみてください。

それでは、「部下のミスが多くなる原因」から一緒にみていきましょう!

部下のミスが多い原因

そもそも「部下のミスが多原因」は、どんなことが考えられるでしょうか。まずはここから確認をしてみましょう。

  1. 心理的プレッシャー
    上司や同僚からのプレッシャーを感じると、部下は緊張して本来の能力を発揮できなくなることがあります。特に威圧的な態度や叱責が続く環境では、ミスが増える傾向があります。
  2. コミュニケーション不足
    上司と部下の間で業務内容や期待値についての十分な話し合いがない場合、部下が何をどう進めれば良いのか分からず、結果的にミスが生じます。
  3. 過剰な業務負担
    部下の能力やスキルに見合わない量の仕事を与えられると、確認作業や手順を省略せざるを得ず、ミスが発生しやすくなります。
  4. 明確な指示やルールの欠如
    業務の進め方やゴールが曖昧な場合、部下が独自の判断で進めてしまい、結果としてミスが生まれることがあります。
  5. 自己肯定感の低下
    ミスに対する過剰な叱責によって、部下は自身をなくしていきます。自己評価が低く「自分はどうせできない」と思いながら仕事をすると、ミスが生まれやすくなります。この状態では集中力も落ちるので仕事のパフォーマンスも下がります。


ミスが多い部下に対して、「部下の理解力がない」「能力がない」「やる気がない」と、早々に決めつけていませんか。まずは、指示の仕方・業務量の確認・職場の環境を確認をしましょう。そして、部下の心身の健康状態にも注目をしてみてください。

自分の過去を振り返ると、社会に出たての頃は「やらかしてしまう部下」でした。私の上司はさぞかし大変だったろうと思います。当時の職場環境は、私以外の社員・パートさんはベテランさんばかりでした。経験も年齢も下っ端の私は、緊張感がある毎日でコミュニケーションもあまりとれないし、自信もなく働いていました。ミスをすれば怒られる環境でしたので、「相談ができなかった」のです。未熟な私がストレスを抱えながら、自己流で動いているのですから、ミスが増えて当然ですよね。仕事を覚えるまでの数か月間、ずっと「私には向いてない、辞めたい」と思い、苦しんでいた記憶があります。

ミスが多い部下への指導法5選

ここからは、部下への指導法5選をご紹介します。「職場の環境」によって、部下が能力を発揮できずにミスが増えるということはよくあります。上司の「部下との接し方」「部下指導の仕方」が部下の成長度合いを左右するのです。私は企業の教育担当をしていましたが、低迷していたチームが上司が替わった途端に、雰囲気がよくなり、部下が成果を出す事例を多く見てきました。部下のミスが多いと感じたら、職場環境とご自身の指導法を確認してみましょう。

指示は「短く・具体的に・優先順位をつけて」

部下に対してわかりやすい指示を出すように意識していますか。長い説明や抽象的な指示の仕方では、部下の理解度が低いまま業務をしてしまう可能性があります。

例えば
×「この資料、早めに仕上げて出してね」⇒「この資料は、〇日金曜の午前中までに提出してね」
×「取引先様にちゃんと挨拶した?」⇒「××社の〇〇さんとの名刺交換はどんな感じだった?」

あるあるなのが、「早めに、多めに、少なめに、きちんと」などの抽象的な表現です。理解のすり合わせをするために、具体的な表現に変えましょう。事例2つ目の「ちゃんと挨拶」も抽象的です。顔を見せて会釈程度でいいのか、名刺交換して会話する時間までとるのか、情報収集までしてほしいのか、意図を伝えることが重要です。

「次にどうするか」に焦点を当てる

部下がミスしたとき、次にどう改善するかまで一緒に考えていますか?ミスが起こったときの振り返りでは「問題を深く掘り下げる」ことも大事ですが、「次はどうすればよいか」を明確にするまでがセットです。「ここがダメだった」というダメ出しだけで終わっていると、同じことを繰り返すことがあります。

例えば
×「メールの添付ファイルついてないぞ!またかよ!」⇒「〇〇さん、メール送信前に件名と添付ファイルを必ず確認しましょう」
×「なんで発注ミスしたの?おかしいでしょ!」⇒「〇〇さん、×日に発注ミスがありました。何かありましたか?確認ミスであれば、対策を一緒に考えましょう」


短期間の目標設定をし、進捗確認をこまめに行う

部下に任せている仕事が長期的・大きなものではありませんか?大きな課題を渡すときには、ゴールを共有した後に短期間の小さな目標設定をしましょう。

例えば、1か月で成果を出す仕事を任せているなら、一週間ごとに目標を立てます。それに沿って日々の計画を部下自身に立ててもらいます。1on1など、定期的に進捗確認も忘れずに行っていきましょう。最初こそ多少の手間はかかりますが、お互いの仕事の段取りを確認できますので、部下の成長に大きく役立つはずです。様子を見て任せられるようになったら、長期的な課題を任せることをおすすめします。

優先順位を考える質問を投げかける

部下の仕事の優先順位のつけ方を把握していますか?役職や経験によってズレが生じやすいのが、「優先順位」です。本来優先させてすべきことがあるのに、身近な先輩に別の仕事を頼まれて断れずに、そちらを優先させてしまう…そんな状況はよくあるものです。部下の方が優先順位を自分で考えることが出来るか、そしてトラブルや急用に対して柔軟に対応が出来るか、ぜひ話しをなさってみてください。頭ごなしに、「優先順位を考えろよ!」と怒ってしまうのは×。部下の話を聴く姿勢を意識しましょう。

例えば
「〇〇さん、この 3 つのタスクはどれから始めると良いと思う?」
「〇〇さんは、今回なぜこの順番で進めたのか教えてもらえる?」

部下の強みを生かして仕事を振る

部下の得意分野や強みを把握し、活用していますか?ミスが多い場合、業務内容が部下の適性に合っていない可能性があります。苦手分野の仕事を振ることが多い場合は、強みを活かしたものをお願いして成功体験を積んでもらうことも大事です。誰にでも得意・不得意があります。業務内容を少しでも部下の個性に合わせられるなら、そのように采配したいものです。

例えば、「〇〇さんはデザインが得意だから、この資料のレイアウトをお願いできる?」
部下が結果を出しやすい分野の仕事を任せて、自信をつけてもらいながら次の挑戦を促します。

苦手分野を克服して、大きく飛躍するパターンももちろんありますが、本人が前向きでない場合はあまりおすすめしません。まずは、部下の方が仕事に対する自信をつけてから、次の挑戦が出来るように導きましょう。


部下のミスを「成長の種」に変える!

ご自身も多くの仕事を抱えている管理職としては、部下がミスを繰り返す状態は困りもの。そのミスへの対応に時間を取られるのも非常に非効率ですよね。こういった状況を一気に解決できればいいのですが、部下育成はある程度の時間がかかります。これまでの積み重ねが「今の結果」をつくり、今からの積み重ねが「未来の結果」を変えます。

まずは部下のミスが多い原因を分析して、ご自身の指導方法をあらためて見直すことをおすすめします。私自身、ミスが多い部下でしたので、根気強い上司に大変助けられました。ミスもするし、結果も出せない…当時の私に「ここを頑張ってたのすごいよ」と、過程を認めてくれる上司の存在はとても大きかったです。結果だけしか評価しない上司の下だったら、早々につぶれていた気がします。
好んでミスをする人はいません。ぜひ「部下の頑張り」にも注目をしていただけたら、と思います。

私が尊敬する歴代の上司の共通点は、部下のミスに対して寛大なことです。決して感情的にはならず、ミスへの対処・クレーム対応をした部下に対して「お疲れ様。良い勉強になったな」と労いの言葉をかける。こういった姿勢は皆さん同じでした。こんな上司がいると「次は迷惑をかけたくない!」と、部下は思うものですよね。

ミスは誰でもします。しかし、そのミスを「成長の種」に変えられるかどうかは、上司の対応次第です。上司として、部下のミスを通じて「何を学び、どう改善するか」を一緒に考えることができれば、部下はより成長し、チーム全体の力が高まります。

上司も部下も一緒に成長していけると良いですよね。

今回もお読みいただきありがとうございます。
一緒に挑戦していきましょう!では、また次のコラムで(^^)/