こんにちは!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「リーダーシップ」「オーナーシップ」
これらの言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。あなたはどんな風に使われていますか?

どちらも“主体的に動く人”という意味を持ちますが、簡単に表現をすれば
リーダーシップは「人を導く力」
オーナーシップは「自分ごととして引き受ける力」。

メンバー全員がこの2つの力を高めたとき、チームは大きく動きます。

今回は、言葉の本来の意味を整理しながら、
「リーダーシップ」と「オーナーシップ」の違い、
そして現場でそれを育てる3ステップをお伝えします。


リーダーシップとは? “人を導く力”の原点

まずは「リーダーシップ」という言葉から整理してみましょう。

語源は、英語の lead(導く) に、状態や資質を示す -ship がついたもの。
つまり「人を導く資質」「方向を示し、影響を与える力」を意味します。

リーダーシップを持つ人は、目的地を示し、チームをまとめ、意思決定を担います。
周囲を巻き込みながら、行動を促し、ゴールへと導く存在です。

「人を動かす力」「信頼を得て前に進む力」
これがリーダーシップの本質です。

リーダーシップは肩書きに関係なく、
「自分が責任を持ってチームを前進させたい」と思った瞬間に、誰もが発揮できる力と言えます。

リーダーシップについては、以前も詳しく記事に取り上げていますのでこちらをご覧ください。


オーナーシップとは? “自分ごと化”の力

次に、もう一つのキーワード「オーナーシップ」について見てみましょう。

英語の ownership は、もともと「所有していること」「持ち主である状態」を意味します。
しかしビジネスの世界では、そこから転じて、
「自分の仕事やチームの成果に対して、主体的に責任を持つ姿勢」
という意味で使われるようになりました。

世界的企業のAmazonでも、リーダーシップ原則のひとつに
Leaders are owners.(リーダーはオーナーである)”という言葉があります。
これは「自分の領域だけでなく、会社全体の成果に責任を持つ意識を持て」という考え方です。

つまり、オーナーシップとは、
「与えられた仕事をこなす」ではなく、
「チームや組織全体の成果を自分のこととして考え、行動する」意識なのです。


「オーナーシップ」よくある誤用と本来の意味の違い

よくある誤用本来の意味
責任を“持たされる”こと責任を“自ら引き受ける”こと
自分の仕事だけに集中する組織全体を自分ごととして考える
指示を待つ自分から課題を見つけ、動く
「ミスしたら叱られる」意識「どうすれば防げるか」を考える意識

オーナーシップとは、「責任感」よりも一歩深く、“当事者意識”と“改善意識”の掛け算なのです。


経営者目線で考える、オーナーシップの本質

経営者様とお話しをする中で、こんな話題になったことがあります。
「社員には、自分の仕事を経営の一部として捉える意識を持ってほしい」

この言葉を聞いたとき、私は「オーナーシップ=自分ごと」の意味が腑に落ちました。

たとえば、他部署でトラブルが起きたとき、
「うちは関係ない」「あの部署の問題だ」と思うのか。

それとも、
「うちでも同じことが起きないように仕組みを見直そう」と考えるのか。

この違いが、会社全体を自分事にしているオーナーシップのある人、そうでない人を分けます。

“対岸の火事”を自分ごとにできるかどうか。
それこそが、役職関係なく経営者目線で働くということです。


オーナーシップを持つ人の特徴

  • 問題を他責にせず、「自分にできること」を探す
  • 部署や役割を越えて、チーム全体の成果を意識している
  • トラブルを見たときに、「うちは大丈夫か?」と自ら点検する
  • 指示を待たず、自分から改善策を考えて提案する

このような人は、組織の中で信頼されるだけでなく、
周りに良い影響を与え、チームを静かに引っ張っていきます。

オーナーシップとは、上司や経営層に与えられる力ではなく、
“誰もが自分の意思で発揮できるリーダーシップの形”なのです。


リーダーシップとオーナーシップの違い

視点リーダーシップオーナーシップ
意味他者を導く力自分の仕事に責任を持つ力
対象チーム・組織・他者自分・自分の役割
本質影響・方向づけ当事者意識・自律
発揮する立場主にリーダー層全メンバー
ゴールチームを動かす自分を動かす

リーダーシップが「外に向かう力」なら、
オーナーシップは「内から生まれる力」。

そしてこの2つが重なったとき、
チームは「上司に動かされるチーム」から「自分たちで動くチーム」へと変わります。


オーナーシップを育てる3ステップ

では、どうすれば職場でオーナーシップを育てられるのでしょうか。
それは「相手を信頼して、自分自身で考えられるように導くことです。

ステップ1:目的と背景を伝える “Why”の共有

仕事を任せるときには、やること(What)だけでなく「なぜ(Why)」を共有します。

たとえば、
「この資料を作って」ではなく、
「次の会議で意思決定を進めるために、要点をまとめてほしい」と伝える。

目的を理解している人は、仕事を“作業”ではなく“価値のある行動”として捉えられるようになります。
ここからオーナーシップは芽生えます。


ステップ2:裁量と承認をセットで与える

人は「信頼されている」と感じたときに、自ら責任を引き受けるようになります。
ただし、完全に放任するのではなく、小さな裁量(決定権)と確認の場をセットにします。

  • 小さな決定を任せる
  • 自分で考えた案を採用する
  • 結果だけでなくプロセスを承認する

これを繰り返すことで、成功体験が自信になり、「自分にもできる」という自己効力感が育ちます。


ステップ3:情報を共有し、全体感を持たせる

オーナーシップを育むには、情報共有が欠かせません。
チームや会社の目標、数字、方針を共有することで、メンバーは自分の仕事が全体にどうつながっているかを理解できます。
「自分の仕事が会社の成長と関係している」
この実感こそが、当事者意識を生み出します。


まとめ:自分を導き、他者を導くチームへ

いかがでしたでしょうか。
リーダーシップは「他者を導く力」。オーナーシップは「自分を導く力」。

どちらか一方ではなく、この2つをバランスよく育てることが重要です。

今日からできる一歩は、「自分の働き方が会社経営に関わっている」と意識をしてみること。
その積み重ねがあなた自身のオーナーシップを育て、チーム全体の力を引き上げていきます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)