こんにちは!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「人材育成に悩んだことがない」という管理職の方は、
おそらくほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
私自身も、後輩ができてから、管理職として現場に立っていた頃、
数えきれないほど悩み、迷い、立ち止まってきました。
まず最初に、お伝えしたいのは
「悩む=管理職として向いていない」ではない、ということです。
悩んでいるということは、部下や組織に真剣に向き合っている証拠。
人を大切にしたい、チームを良くしたい、そう考えているからこそ苦しくなるのだと思います。
今回は、人材育成で多くの方が苦労することに加え、私自身が体験した悩みを5つご紹介いたします。

一般的に語られる「人材育成で苦労すること5選」
人材育成について、多くの場合、次のような悩みが挙げられます。
・指示がうまく伝わらない
・世代間ギャップがある
・部下のモチベーションが上がらない
・評価やフィードバックが難しい
・部下が指示待ち、自走しない
どれも、現場でよく聞く声です。
そして正直に言えば、私自身もすべて悩みました。
研修を受け、書籍を読み、
「これでうまくいくはず」と試してみても、思うようにいかない。
「自分のやり方が悪いのだろうか」
「管理職に向いていないのかもしれない」
そんな思いが、頭をよぎることもありました。
しかし、管理職として現場に立ち続ける中で、
本当に苦しかったのは、これらの“表に出やすい悩み”そのものではなかったのです。
私が人材育成で本当に苦労したこと5選
スキルや方法論だけでは語られにくい、管理職になって初めて直面する“心の負荷”。
私が過去に大きな「ストレス」を抱え、苦しんだ人材育成についてご紹介します。
1.年上の部下への向き合い方
飲食店でアルバイトから社員に昇格し、20代前半で役職をいただいた私は、
年下のアルバイトスタッフへの指導は、比較的スムーズにできていました。
一方で、年上の部下への対応には大きく悩みました。
もともとアルバイトの先輩で、人生経験も社歴も、相手の方が長い。
それでも、当時の役職上は自分が上で、判断や情報は私が持っている状況です。
「どう接するのが正解なのか」毎日のように考えていました。
上から指示を出すと反発され、遠慮しすぎると、リーダーシップが取れない。
立場と人間関係がねじれるこの感覚は、
若くして管理職になった方なら、
一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
2.言いやすい人と言いにくい人で指導がブレる怖さ
「言いやすい人には注意し、言いにくい人には何も言わない」
つい起こってしまいそうな指導のブレ。
私は、管理職の振る舞いの中で
「自分は絶対にやるまい」と思っていたことです。
友達でも家族でもない職場の仲間。人間なので、もちろん好みはあります。
しかし、だからこそ「誰に対しても態度を変えない」意識が必要です。
そのためには、感情や関係性ではなく、
自分の軸を持つ必要があると痛感しました。
「何を大切にしているのか」
それをいつも言葉にし、行動に落とす。
これは人材育成以前に、管理職としての在り方に苦労した点です。
3.誰にも相談できない孤独感
管理職になると、一気に「口に出してはいけないこと」が増えます。
上司には弱音を吐きづらく、
部下には情報を出せない。
同じ立場の人も少ない。
この孤独感は、想像以上に堪えました。
この頃の私は、「誰かに認めてもらうこと」よりも、
自分で自分を支える力が必要なのだと感じ始めていました。
ここで初めて、管理職にはメンタルの土台が欠かせないと、
身をもって実感したのです。

4.仲間に嫌われることの怖さ
今でこそ、「全員に好かれる上司はいない」と理解しています。
しかし当時は、頑張るほど周りと距離ができて、
嫌われることが本当にきつかったです。
管理職になると、無意識のうちに自己防衛が出やすくなります。
「自分は悪くない」と思いたいですし、
「立場上、仕方ない」と自分に言い聞かせる場面も多いです。
その自己防衛が働き、役職や年齢を重ねるほど、
仲間への「ありがとう」や間違ったときの「ごめんなさい」が
言いにくくなる人も少なくありません。
これは性格の問題ではなく、
トレーニングが必要なスキルだと、今ははっきり言えます。
感謝の表現をすること。素直に謝ること。
これは管理職として、信頼をつくるために重要な行動です。
5.告げ口・板挟み・感情に振り回される
スタッフさん同士のもめ事に巻き込まれたり、
「○○さんが、こう言っていました」などの
ネガティブな噂・愚痴・陰口言葉を耳にする場面も増えます。
管理職がそのまま受け取り、感情的に対応すると
トラブルが一気に大きくなってしまいます。
その他にも、上からのプレッシャー。
本部と現場のギャップ。
感情が振り回されそうなことが絶えません。
だからこそ、会社の外に心を休められる場所を持つこと、
理性的でいられるメンタルトレーニングは、
管理職にとって必須だと感じています。

人材育成の苦労を乗り越えた3つの要素
では、これらの悩みを
私はどうやって乗り越えてきたのでしょうか。
細かく挙げればきりがありませんが、
今振り返ると、そのすべては自己承認力の3つの軸に集約されます。
1.自己肯定感を高めること
苦しさや不安、焦りで視野が狭くなっているとき、
私に必要だったのは「もっと頑張れ!」「まだまだいける!」と
自分を鼓舞することではありませんでした。
むしろ、そうやって自分を追い込むほど、
心も判断力も、どんどん固くなっていったのを覚えています。
必要だったのは、「今、私は相当しんどい状態なんだな」と、
その事実を否定せずに受け止めること。
苦しい自分を責めるのではなく、まず認める。
それが、心を落ち着かせるための第一歩でした。
2.自己効力感を高めること
学んだスキルを試すとき、
頭の中ではいつも葛藤がありました。
「うまくいかなかったらどうしよう」
「余計に関係が悪くなったら困る」
それでも、考えるだけで止まっていては、何も変わりません。
完璧でなくてもいい。結果をすぐに求めずに、やってみる。
一歩踏み出す勇気。
それが、自己効力感です。
3.スキルを高めること
人を育てる中で、私は本当にたくさんのことを試しました。
物事のとらえ方を変えてみる。
伝え方を変えてみる。
聴き方を意識してみる。
距離の取り方を見直してみる。
どれも派手なことではありませんが、
積み重ねるほど、現実は少しずつ動いていきました。
これらはすべて、
コミュニケーションをとるためのスキルです。
自己肯定感で心を整え、
自己効力感で一歩踏み出し、
スキルで現実を動かしていく。
この3つがそろって、はじめて人材育成は前に進みます。
「自分も、上司も育てる」という視点
いかがでしたでしょうか。ここまで、人材育成で私が本当に苦労したこと、
そして、どうやって乗り越えてきたのかをお伝えしてきました。
人材育成というと、どうしても「部下を育てること」に意識が向きがちです。
しかし、現場に立ち続ける中で、
私はもう一つ大切な視点があると感じるようになりました。
それは、自分も、そして上司も育てていくという視点です。
私自身、管理職として未熟だった頃、
部下とのかかわりを通して、何度も学び直してきました。
同じように、上司もまた、
部下とのかかわりの中で育っていきます。
だからこそ私は、上司と接する際にも
自己承認力を意識しながら、さまざまな工夫を重ねてきました。
自分の状態を整え、相手を一方的に評価するのではなく、
「関係性としてどう関わるか」を考える。
それは決して、我慢したり、無理に合わせたりすることではありません。
自分を大切にしながら、関係性を育てていくという選択です。
人材育成で悩む方は、考え、真剣に向き合ってきたからこそ、
次のステージに進む準備が整っている状態なのだと思います。
完璧を目指すと苦しくなっていきます。
一歩ずつ、確実に進んでいる自分を認めながら歩んでいきましょう。
今回のコラムが、あなた自身、そして周囲の人との関係を見直す
小さなきっかけになっていたら嬉しいです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回のコラムでお会いしましょう。