こんにちは!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

企業の管理職の方、教育担当の方と人材育成について
お話しするときに、お尋ねする問いがあります。

「もしも人材育成をしなかったら、どうなると思いますか?」

人材育成の仕組みがなくても、ある程度は人は育ちます。

先輩が後輩に業務を教え、見て覚え、やりながら身につけていく。
多くの職場で、自然と行われてきている方法です。

「人材育成のため」と時間やお金をかけて、担当者をつけて、
わざわざ育成の仕組みを作らなくても、仕事は回る。
そう感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。

そんな中で、こちらのコラムを読まれている方は、
どこかで限界を感じているタイミングかもしれません。

たとえば…チームが大きくなった。
世代間ギャップを強く感じるようになった。
業務の成果が思うように上がらない。
離職率が高くなってきた。
ハラスメントの不安が出てきた。
人によって成長スピードに差が出てきた。

そんな場面に直面すると、
「自己流では厳しい」「今までと同じやり方では通用しない」
そう感じて、人材育成を見直す方が多いです。

まず最初にお伝えしておきますと
本コラムで扱う「人材育成」とは、研修制度や教育理論の話ではありません。

日々の業務の中で行われるOJTを中心に、新入社員の配属後フォロー、
若手・中堅の育成、面談や声かけ、仕事の任せ方、フィードバックなど、
「管理職・リーダーが現場で担っている育成全般」を指しています。

ここからは、現場目線で見た
人材育成のデメリット・メリットを7つ整理していきます。


デメリット① とにかく時間がかかる

人材育成に取り組む中で、管理職の方が一番最初に感じるのは
「時間が足りない」ということです。

通常業務を抱えながら、教える時間や労力がかかる。
育成=業務負荷が増える。

一方、若手社員からすると、忙しそうな上司には声をかけづらく、
積極的に業務を教えてもらおうと動きにくいものです。
加えて、「ごめん、後でね」が続くと放置されているように感じてしまいます。

経営者目線では、
育成に時間を割く=短期的な生産性低下、
そう映ることもあるかもしれません。

時間がかかるのは事実です。
ただ、仕組みのないそれぞれの判断に任せた自己流の育成は、
さらに多くの時間を奪っていることも忘れてはいけません。


デメリット② 成果が見えにくく、評価されにくい

人材育成は、「結果がすぐに数字に表れにくいもの」です。
管理職として部下を育てても、評価されにくい。
若手も、自分の成長度合いを測りにくい。
経営者から見ても、費用対効果が分かりづらい。

ここで大切なのは、数字には表れない
育成のプロセスを言語化し、見える化することです。

「何が改善されて、何ができるようになったのか」
その指標がないと、関わっている人全員が疲弊してしまいます。

逆に言えば、小さな変化に気づけるようになると、育成はぐっと楽しくなります。


デメリット③ 育てた人が辞めることがある

これは、多くの管理職の心を折るポイントです。
時間をかけて育てたのに、辞めてしまった。

「何のためにやっていたのだろう…」と虚しさが残る。
経営者目線では、育成コストが回収できないリスクにもなります。

ただ、ここで一つ、冷静に考えてみてください。
育成しない組織の方が、人は辞めやすいのです。

育てても辞める可能性はあります。
しかし、育てなければ、もっと辞めます。


「ここでの経験は一生の宝物です」
そう言って卒業してもらえるような関わりを目指せたら、素敵だと私は思います。

メリット① 属人化を防ぎ、チームで回る

人材育成の仕組みがあると、「あの人しかできない仕事」が減っていきます。
それは、単に人を増やすからではありません。
人材育成によって、「考え方・判断基準・伝え方」を共有しているからです。

管理職は、「自分がいなくても仕事が回る」という安心感を得られます。
これは単に仕事を楽にするためではなく、
リーダーがもっと先のことを考えるための大切な「心の余裕」になります。

経営者にとっても、組織の安定につながる大きなメリットです。


メリット② 世代間ギャップを埋められる

世代間ギャップは、能力の差ではありません。前提や価値観の違いです。
育成を通して、「なぜこの仕事が必要なのか」「何を大切にしているのか」を言葉にして共有することで、感情論が減り、納得感が生まれます。

これは、自己流ではなかなか身につきません。
相手を受け入れながら対話するコツを少し学ぶだけで、
若手社員の言葉が「未知の言語」から「新しいアイデア」に聞こえ方が変わります。

メリット③ 成果が人任せにならなくなる

人材育成が進むと、一部の優秀な人に依存しなくなります。
チーム全体で成果を出す体制が整い、「成果の再現性」が生まれます。

人が変わっても、成果が大きく落ちない。
これは、組織にとって非常に大きな価値です。
特定の「スター選手」に頼り切りにならず、全員で底上げしていく。
そんなチームの強さは、現場のリーダーを精神的にも支えてくれます。


メリット④ 育成する側が成長する

ここが、見落とされがちな最大のメリットです。
人材育成は、部下のためだけのものではありません。
育成を通して、自分の伝え方の癖に気づき、感情の揺れを自覚し、視野が広がっていきます。

つまり、人材育成は管理職自身の「自己承認力(自分を認め、信じて前に進む力)」を鍛える場でもあるのです。
「部下を育てることは、自分を育てること」。
この視点を持てると、毎日の声かけ一つにも新しい発見が生まれます。


人材育成に即効性を求めすぎない

人材育成の基本となるコミュニケーションを学ぶと、
「話を聴けば、すぐに部下が心を開いてくれる」
「褒めれば、すぐにやる気になる」
そう期待してしまう方も少なくありません。

実は、私自身もそう思っていました。
けれど、私たちがやっているのは人を動かすことではなく、人を育てることです。

植物も、水をあげた翌日に花が咲くことはありません。
毎日、少しずつ水をあげ、日当たりを気にかけ、必要なら栄養を与えます。

人材育成も同じです。

毎日の挨拶。何気ない声かけ。
笑顔で交わす一言。話を聴くこと。
必要なときには励ましたり、アドバイスをします。

その一つひとつは小さく見えても、確実に相手に働きかけています。

すぐに結果が出ないからといって、
何も起きていないわけではありません。
水は、ちゃんと根に届いています。

「すぐに変わらなくて当たり前」
「それでも、確実に積み重なっている」

この心構えを持てるだけで、人材育成で挫けそうになる心は、ずいぶん救われます。


まとめ:それでも、人材育成に向き合う意味

いかがでしたでしょうか。
人材育成は、やらなくても何とかなる時期はあります。
しかし、組織が大きくなり、人が増え、価値観が多様になるほど、自己流の育成には限界が来ます。

もし、部下を「褒める」のが難しいと感じるなら、
まずは「労う(ねぎらう)」ことから始めてみましょう。

「今日もお疲れ様」「資料、まとめてくれて助かったよ」
そんな一言から、関係は変わり始めます。

人材育成とは、相手を変えるためのものではありません。
組織と、そしてリーダーである自分自身を整えるための取り組みです。

もしこのコラムを読んで、
「よし、明日からちょっと挨拶のトーンを変えてみるか」と
少しでも思えたなら、そこからもう人材育成が始まっています。

いきなり完璧を目指す必要はありません。
あなたはもう、十分すぎるほど頑張っています。

まずは自分にOKを出して、
少し軽やかな気持ちで現場に向かってみてくださいね。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう。