こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
今回のテーマは「部下」という言葉についてです。
最近、管理職の方からこんな声をよく耳にします。
「“部下”って、上から目線に聞こえないかな」
「もっとフラットな関係を作りたい」
「でも会社は役職を重視しているから、どこまで崩していいのか迷う」
この感覚はとても時代に沿っていて、重要です。
“求められているリーダー像”が変わってきているのを感じているのですよね。
今回のコラムでは、
◆そもそも『部下』という表現は古いのか?
◆今どきの言葉選びにはどんな選択肢があるのか?
◆社風や会社方針とのバランスをどう取ればいいのか?
こちらの3点を徹底的に整理し、「自信を持って行動できる」状態を目指します。
ぜひ最後までお付き合いください!

なぜ「部下」という言葉に違和感を持つ人が増えたのか?
まずは、背景を押さえておきましょう。「部下」という言葉は、現在でも法律・労務管理・人事制度・公的文書などの正式な場面ではごく一般的に使われています。
しかし、日常的なコミュニケーションの場では、違和感を覚える人が増えてきました。
その理由は主に3つ考えられます。
1. 働き方が変わった
- 終身雇用・年功序列から、成果主義・自律型人材育成へ
- 指示命令型リーダーよりも、支援型リーダーが求められるようになった
つまり、「命令する上司と従う部下」という構図自体が時代遅れになりつつあるのです。
2. 価値観が多様化した
- 年齢や性別、バックグラウンドが多様な人が一緒に働く時代
- 個々の尊厳を重視する意識が高まった
価値観が多様化した現代では、「上下」や「命令」の構図よりも、対話と尊重に基づく関係性が求められるようになっています。
3. 組織のあり方が変わった
- 「トップダウン」だけでなく「ボトムアップ」や「フラット組織」が増加
- チームワークや自発的な働き方が重視されるようになった
この流れの中で、「部下」という言葉のニュアンスに違和感を感じるようになったのかもしれません。
それでも「部下」は必要な言葉?完全否定すべきではない理由
では、「部下」という言葉を使わなければいいのでしょうか?
実は、そう単純ではありません。
「部下」という言葉には、
- 業務上の指示命令系統
- 責任の所在の明確化
- 役割分担の認識
といった、組織運営上必要な役割が含まれています。
特に、
- 労務管理(勤怠管理や評価)
- 社外への説明責任(取引先との関係)
では、「上司・部下」という区別がないとスムーズにいかないことも多いのです。
だからこそ、今どき上司に求められるのは「社内外の状況に応じて、使い分ける」スキルなのです。

今どき上司のための「部下に代わる賢い言葉選び7選」
では、ここからは「部下」という表現に違和感を感じる方に向けて、代用できる言葉をご紹介していきます。社内用での柔らかい表現をまとめていますので、しっくりくるものがありましたらご活用ください。
1. 「メンバー」
チームの一員としての尊重を込めた言い方。自然に使えます。
例.「私の部下が担当しています」
→「うちのメンバーが担当しています」
2. 「同じチームの〇〇さん」
プロジェクト型や少人数チームでは特に効果的。「チームで一緒に動いている」というイメージが伝わります。
例.「私の部下が担当しています」
→「同じチームの〇〇さんが担当しています」
3. 「パートナー」
役割は違っても、同じ目標に向かう仲間として扱う意識が表れます。
特にプロフェッショナル意識が強い組織におすすめ。
例.「私の部下が担当しています」
→「パートナーの〇〇さんが担当しています」
4. 「〇〇担当」
「営業担当の佐藤さん」のように、役割で呼ぶスタイル。個人の専門性や責任を尊重できます。
例.「私の部下が営業を担当しています」
→「営業担当の〇〇さんが担当しています」
5. 「チームメンバーさん」「チームスタッフさん」
年齢差がある場合や、カジュアルな場面で親しみを込めて呼びたいときに便利です。
例.「私の部下が担当しています」
→「チームメンバーさんが担当しています」
6. 「〇〇チーム」
チーム単位で呼ぶことで、個々のプレッシャーを減らし、連帯感を高めます。
例.「私の部下が担当しています」
→「営業チームが担当しています」
7. 「仲間」「一緒に働く仲間」
少し砕けた表現ですが、「上下」ではなく「横のつながり」を強調できます。
例.「私の部下が担当しています」
→「私の仲間が担当しています」
【注意】会社の文化・方針によって正解は違う!

ここで確認していただきたい重要事項があります。
それは…言葉選びは「社風」によるということです。
私は多くの企業様とご縁をいただいていますが
例えば…
- 役職呼称を厳格に守る会社
- 呼び捨て禁止、全員「〇〇さん」で呼び合う会社
- フラットを推奨するが、業務上は役職を重視する会社
本当にさまざまです。
そのため、あなた自身が違和感を感じていたとしても
基本的には――
◆トップ(経営層)の方針に従う
※忖度ではなく“統一ルール”として従うという意味
◆「うちの会社ではどうしているか」を確認する
これを徹底しましょう。
個人の理想より、組織内で信頼を築くほうが、あなた自身の働きやすさもぐっと上がります。
もし、時代の流れに沿った言葉選びをしたいのであれば、組織全体(特に経営層)に働きかけることをおすすめします。
【上級者テクニック】社内・社外で自然に使い分ける
こんな工夫をしながら使い分けるのはいかがでしょうか。
- 社内では親しみを込めて「さん」付けや「メンバー」呼び
- 社外ではきちんと「営業部部長 〇〇」と役職を伝える
例えば、取引先との打ち合わせの際に佐藤部長を紹介するのでしたら、
❌ 「うちのスタッフの佐藤さんです」
⭕ 「営業部部長の佐藤です」
社外の方には、一般的なマナーの言葉遣いに従います。
そして、社内に戻ったらまたフラットなコミュニケーションをとればいいのです。
こういったメリハリができるのが「親しみやすいのに、頼りがいがある上司」ですよね。
まとめ:言葉選びは、あなた自身とチームの未来をつくる
いかがでしたでしょうか。今の時代にアンテナを立てている管理職の方が、「部下」という言葉に違和感を持つのは自然なことです。
しかし、完全否定をするのではなく、場面に応じて使い分けることが最善だと私は考えています。
部下育成の研修をする際に、まず初めに取り組んでいただくのは「言葉の言い換え」です。
言葉が変わると、職場が変わります。
例えば…
「お前」「あいつ、こいつ」「おい、これやっとけ」
こんな言葉が行きかう職場と
「〇〇さん」「これお願いできますか」「ありがとうございます」
こんな言葉が行きかう職場。
どちらが良い人材が育ち、長期的な結果が出せるでしょうか。
今、自分が発する言葉がどんな影響を与えるか。
上司のその意識の積み重ねが、必ずチームを強くしていきます。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)