こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

あなたは、「部下を育てるのが上手い上司」と聞くと、 どんな人を思い浮かべますか?

✔ 部下指導がうまい人?
✔ 部下に結果を出させられる人?
✔ 経験豊富なベテラン?

私は、これまで多くの経営者・管理職の方にお会いしてきましたが、
「部下を育てるのが上手い人」にはある共通点がありました。

それは・・・
「部下が自分の力を信じて、前に進めるようになる関わり方」を主軸としていることです。

自分で考え、自分で計画を立て、自分で行動を起こせる部下を育てる。
これが“心あるビジネスパーソン”を育てているということです。

部下が自分の考えで動き、壁にぶつかっても乗り越えていける。
そんな“心の土台”を育てている上司には、共通する行動があります。


心の土台を支えてくれた「上司の関わり方」

最初に私の経験をお話しさせてください。私は20代で飲食店の店長・物販店の店長を経験し、その後全国チェーンの教育担当になりました。売上のように、人育ては結果が目に見えにくいもの。やってもやっても伝わらず、空回りしているようでした。自分にも周囲にもイライラしっぱなし…。

当時はメンタルがボロボロで、人前では平気なふりをしていましたが、 帰り道では「私には能力がない。無理かもしれない…」と何度も落ち込んでいました。

そんなとき、会社のトップが私にこう言ってくれました。
「この講座、受けておいで」
そうして紹介されたのが、「自己承認力」の講座でした。

「ん?自己承認力?」
当時は、メンタル系の言葉が今ほど主流じゃない時代です。よくわからずに申し込み、足を運んだことを覚えています。きっと自分ではたどり着かなかった分野です。

必死で取り繕っていましたが、私の心が限界に来ていたことを上司は見抜いていたのだと思います。
あのご縁をいただいてよかったなと心底感じます。

私はこの力を学ぶ中で、
「育てること=本人が“自分で進む力”を持てるように支えること」だと、気づきました。

振り返ってみると私の歴代の上司は、私の状態に合わせて、様々な手法で関わってくださいました。
引っ張ってくれたというよりも、見守り、引き出し、支えてくれたのです。

恩返しとして、今度は私が多くの方にその手法を具体化して伝える番です。
一人でも多くの管理職の方が部下育成を楽しみながら取り組むことが出来ますように。

次の章からは、部下を育てるのが上手い上司の行動パターン7つをご紹介していきます。

部下育成が上手い上司の行動パターン7つ

1. 失敗を「評価」ではなく「次に活かす学び」にする

部下がミスしたとき、あなたはどう対応していますか?
育てるのが上手い上司は、失敗をただ叱責するのではなく、
「次にどう活かすか」を一緒に考える学びとして扱っています。

「何で失敗したの?」ではなく、「ここから何を学べるか?」という問いにするのです。
一人の部下が起こしたミスは、他の誰にでも起こりうることです。

「失敗=学び」という考え方を持ち、チームで情報を共有することが出来ると
部下一人の学びではなく、全体が成長していきます。

こういう上司のもとで育つと部下は、「チャレンジをしよう」と自然と思え、 自信を持って前に進めるのです。


2. 仕事仲間としての程よい距離感を保つ

「不安で部下には任せていられない」「いや、仕事を任せることが部下育成」
どちらの気持ちもよくわかります。
育成上手な上司は、相手の成長度や性格にあわせて、 “放任”でも“干渉”でもない、絶妙な距離感を保ちます。

お察しの通り、この距離感を保つには、日頃から部下をよく見ている必要があります。
相手をよく見て、よく話を聴いて、考えを引き出すことが日々出来ているからこそ、程よい距離感を保つことが出来るのです。


3. 小さな成長に気づき、ちゃんと伝えている

部下の小さな変化や努力に対して、リアクションをとっていますか?
育てるのが上手い上司は、 “小さな成長”をしっかり見つけ、具体的に承認しています。

「1回目よりも説明が聞きやすくなった。工夫してたね」
「決断が早くなったね!迷いがないから安心するよ」

こんな何気ない言葉が、部下の自己効力感「自分なら出来ると思える力」を育てていきます。
いつも自分を見てくれている上司には、「成果を出した姿を見せたい!」と自然と思うものですよね。


4. 感情的にならず、言葉を選んで伝えている

私自身もそうでしたが、ここでつまずく上司が多いです。
「なんで出来ないの?」「こんなミスありえないだろう」
そう感じるお気持ちはよくわかります。

しかし、指導の鉄則は、「感情と表現は、切り離す」なのです。
ガミガミ感情的に怒鳴る上司、冷静にフィードバックをくれる上司、
あなたはどちらの部下になりたいですか。

部下育成がうまい上司は、感情的な反応をするのではなく
“伝わる言葉”を選ぶことを意識しています。

怒らなくても、相手には伝わります。感情をコントロールする練習をしましょう。
・深呼吸をする
・自分の感情の動きに注目をする
・「部下に何をしてほしいか」一度紙に書き出して整理する
・自分の指導を録音する
・冷静になったあとに、言葉を選んで伝える

出来ることはたくさんあります。一歩ずつ進んでいきましょう。

5. 「任せる」だけでなく「信じて支援する」

仕事を部下に任せることは、部下育成にはとても大事です。
しかし、その後どう支援していくか、が実は育成にはさらに重要なのです。

育てる上司は、任せっぱなしにせず、“見守る姿勢”を持ち、必要であればサポートをする。

「いつもありがとう」「進捗状況はどう?」「あの対応とてもよかったよ」
仕事を任せたあとは、成果だけを見るのではなく、途中経過を確認しながら声をかけていきましょう。


6. 部下の“価値観”を大事にする

「〇〇さんはどうしたい?」 「〇〇さん、今どんなふうに感じてる?」
このように、部下の気持ちや価値観を尊重してくれる上司のもとでは、 部下は「自分らしさ」を出しやすくなります。そのために、スキルとしてマスターしたいのが、相手の話に耳と心を傾ける「傾聴力」ですね。

部下のタイプはさまざま。誰一人同じ価値観の方はいません。
「〇〇さんは、どんな風に進めていきたい?」
「今、やりがいを感じるのはどんなとき?」

こういった質問をしてみてはいかがでしょうか。答えを持っているのは本人だけ。
ぜひコミュニケーションの場を増やして、部下の価値観を聴いていきましょう。


7. 上司自身が“学び続ける”姿を見せている

いくら役職を重ねていっても「完璧な上司」はいません。育成が上手い上司の最大の特徴は、「常に自分も学び続ける姿勢」を持っていることです。

「〇〇さん、△△について教えてくれるかな」
「私もまだまだ、一緒に頑張ろう」
外からも部下からも学びを得る。そんな謙虚さが、部下にとっては何よりも励みになります。


明日からできる小さな一歩

最後に、今日読んでくださったあなたに、ぜひ実践していただきたい行動を1つご紹介します。

それは「部下の成長を“わかりやすいリアクションで”本人に伝える」こと。

✔ 「その言い方、前よりずっとわかりやすくなってたよ」
✔ 「あのときの対応、見てたよ。ナイス判断!」

笑顔で、心を込めて表現をしてみてください。
“直接言葉にして伝える”のがおすすめです。
言葉に出して伝える承認は、何倍も心に届きます。

こうした“上司からの承認の言葉”は、何よりのモチベーションになります。

そして、そんなリアクションができた自分自身を褒める!
忘れずに自己承認もなさってみてください。
部下を育てる前に、自分自身をちゃんと育てていくこと。
それが、最もうまく行く育成の第一歩です。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)