いつも当協会のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
自己承認力コンサルタント協会 代表理事 山本まさのです。

「挑戦したいのに一歩が踏み出せない」「すぐに諦めてしまう」――そんな自分を変えたい方へ。心理学と自己承認力Ⓡの視点から、自己効力感を強める3つの実践ステップをご紹介します。

はじめに

「やればできる!」――そう思える力を心理学では 自己効力感(Self-Efficacy) と呼びます。
この概念は、カナダの心理学者アルバート・バンデューラ博士(1977)が提唱したもので、
「自分はこの課題を達成できる」という未来の自分への信頼を意味します。

自己効力感が高い人は、困難に挑み、失敗しても立ち直り、最終的に成果をつかみます。
一方、低い人は「どうせ自分には無理」と挑戦前から諦めがちです。

当協会(一般社団法人 自己承認力コンサルタント協会)では、自己効力感は「自己承認力Ⓡ」を構成する
3要素(自己肯定感・自己効力感・スキル)の1つと位置づけています。

なかでも、自己効力感を最も効果的に高める近道が「成功体験」の積み重ねです。
本コラムでは、心理学の理論と現場の事例を交えて、明日から実践できる成功体験3つの具体的ステップをご紹介します。

成功体験3つの具体的ステップ

ステップ1:小さな成功を「意図的に積み重ねる」

バンデューラ博士は、自己効力感の4つの源泉の中でも「達成経験(Mastery Experiences)」が最も強く影響すると述べています。
重要なのは、「大きな成功」ではなく「小さな成功」を計画的に積み重ねることです。

教育現場の例
中学生A君は発表が苦手で授業中も発言を避けていました。先生は「今日の目標は授業中に一度だけ手を挙げること」と提案。
達成後、「よく手を挙げられたね!」と承認され、小さな達成感が次の挑戦への自信となりました。

ビジネス現場の例
新入社員Bさんは営業ノルマに不安を感じていました。上司は「今週は成約よりも5件訪問できればOK」とハードルを下げ、
達成の度にフィードバック。結果として訪問数・成約数ともに向上しました。

《実践ワーク》

  1. 今日中に「これならできそう」という目標を1つ設定する
  2. 達成したら「できたこと日記」に記録し、自分を承認する

ステップ2:成功事例を「自分ごと化して学ぶ」

まだ自分が経験していないことでも、似た立場の人の成功を目にすることで自己効力感が高まります。
これをバンデューラ博士は「代理経験(Vicarious Experiences)」と呼びます。

教育現場の例
スピーチ大会に挑戦するCさんは、過去の先輩の発表動画を視聴。
「最初は緊張していたが練習で本番は堂々とできた」という先輩の体験談が挑戦意欲を後押ししました。

ビジネス現場の例
新しいプレゼン手法に不安を感じていたチームが、他部署の成功事例を共有する勉強会を実施。
成功者の工夫や失敗談を知ることで、ハードルが下がり行動につながりました。

《実践ワーク》

  1. 自分の目標に近い成功事例を3つ探し、共通点をメモ
  2. 「自分が実行できそうな部分」にマーカーを引き、まず1つ試す

ステップ3:成果を「見える化してモチベーション維持」

人は成果を実感できると、行動が加速します。これは自己評価のフィードバック(Self-Evaluation Feedback)の効果とも言われます。

教育現場の例
英単語学習で「今日は20個覚える」と決めた生徒が、覚えた単語をリストで塗りつぶす方法を採用。
日々の成果が色で見えることで、学習意欲が持続しました。

ビジネス現場の例
営業部では週ごとの訪問件数と成果をグラフ化し共有。数字の変化が互いの刺激となり、モチベーションが向上しました。

今日からできる3つのアクション

  1. できそうな小目標を1つ決める
     例)「朝10分だけストレッチをする」「今日は笑顔で“おはよう”と声をかける」「資料を提出する前に必ず一度読み返す」
     👉 ポイントは「簡単にできそう」と思える、小さな行動を選ぶこと。
  2. 成功事例を1つ調べて真似してみる
     例)「成功したダイエット方法で“水を1日2リットル飲む”を真似してみる」「先輩がやっていた“部下に必ずありがとうを伝える”を試す」「有名経営者が“毎朝10分の読書”を習慣にしていると知って、自分も真似する」
     👉 調べる対象は有名人だけでなく、身近な人(同僚・友人・家族)でも効果的。
  3. 行動結果を「できたこと日記」に書く
     例)「今日はストレッチを3分だけできた!」「昨日より声をかけやすかった」「“ありがとう”を言ったら相手が笑顔になって嬉しかった」
     👉 書くときは“できたこと”を中心に書き出す。たとえ小さな一歩でもOK。

「3つのアクション」を日々の習慣にすると、自己効力感が確実に積み上がっていきます。特に「できたこと日記」に書き出すと、目に見える形で自信が育つのでおすすめです。

自己承認力Ⓡとの関係

成功体験は単なる自己効力感の強化だけで終わりません。

当協会が提唱する「自己承認力Ⓡ」の3要素――自己肯定感・自己効力感・スキル――が連動して高まることで、人生全般に波及効果をもたらします。

当協会では、自己承認力Ⓡとは「自分を認め、自分を信じて前に進めるチカラ」とお伝えしています。

成功体験を重ねることで、「自分は価値ある存在だ」という自己肯定感が芽生え、挑戦する力=自己効力感が強まり、さらにコミュニケーション力・承認力などのスキルが加わることで、成果が加速度的に広がります。

まとめ

自己効力感を高める3つの具体的ステップは以下の通りです。

  1. 小さな成功を意図的に作る
  2. 成功事例から学ぶ
  3. 成果を見える化する

これらを繰り返すことで、行動力と挑戦力が確実にアップします。
ぜひ、今日から「できたこと日記」をつけながら、小さな一歩を積み重ねてみてください。