こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「部下の目標設定面談、毎回似たような質問になってしまう」
「頑張るとは言ってくれるけれど、どうも本気度が感じられない」


そんなお悩みを持っていませんか。

部下の目標設定の質は、上司の質問の質で大きく変わります。
そして、やる気を引き出す質問には“ある共通点”があります。

それは、部下自身が「やりたい」「やれそうだ」と思える未来を描けることです。

今回は、私がこれまで育成現場で試し、効果を感じた「やる気を引き出す目標設定の質問フレーズ」を7つ厳選してご紹介します。それぞれに「使い方のコツ」と「避けたいNG例」も添えましたので、ぜひ面談や日常会話でお試しになってみてください。


1. 「1年後に、自分が一番成長していたいのはどの部分?」

意図

業務目標の前に“成長したい方向”を聞くことで、部下の内発的動機(やりたい気持ち)を引き出します。
成長欲求は自己承認力の一部であり、「自分をもっとよくしたい」という思いが行動を促します。

使い方のコツ

  • 「スキル面」「行動面」どちらでもOKと伝える
  • 例:「営業スキルを磨きたい」「人前で話すのを克服したい」など
  • 出てきた答えを、そのまま業務に紐づくように導く

NG例

「営業成績だよね?」と上司の価値観で限定する。
→ 部下が「言わされている」と感じてモチベーションが落ちます。


2. 「去年の自分と比べて、どの部分に成長を感じている?」

意図

他人との比較ではなく「過去の自分との比較」を促すことで、達成感と自己効力感が高まります。
「他人より劣っている」ではなく「去年より成長している」に意識を向けられます。

使い方のコツ

  • 「去年」「半年前」「入社時」など、比較期間を指定する
  • 「去年よりプレゼンの準備時間が短くなった」など小さな成長も評価する

NG例

「○○さん(同期)と比べて自分をどう思う?」と他者比較に誘導する。
→ 自信喪失を招きます。


3. 「この目標を達成すると、自分にどんなプラスなことがある?」

意図

目標の価値を本人の言葉で認識してもらうことで、自発的な行動を促します。
「やる意味」が見えると、前に進む力が強くなります。他者にも自分にもメリットがあるはずです。

使い方のコツ

  • メリットは業務面・感情面・将来面の3方向から聞く
  • 例:「成績が上がる(業務面)」「達成感が得られる(感情面)」「昇格に近づく(将来面)」

NG例

上司が勝手にメリットを言い切る(例:「これやれば評価上がるから」)
→ 部下が主体性を持てなくなります。


4. 「目標達成したとき、どんな自分になっていると思う?」

意図

目標達成後の未来像を描くことで、行動の一貫性が生まれます。
心理学でも“ビジュアライゼーション”は行動力を高める効果が実証されています。

使い方のコツ

  • 「達成したら何をしている自分か?」と行動描写で引き出す
  • 「その時、周りはどんな反応をしている?」と感情描写も追加する

NG例

「そんなの無理じゃない?」「夢みたいなこと言うな」と未来像を否定する。
→ モチベーションが一気に下がります。


5. 「達成に近づくために、どんなサポートがあると良い?」

意図

上司の支援意志を示すことで、挑戦への心理的ハードルを下げます。
部下は「支えてもらえる」と感じ、思い切った行動ができます。

使い方のコツ

  • 具体的な支援例を提案(例:「週1で進捗確認する?」「必要なら他部署を紹介するよ」)
  • 「サポート=甘やかす」ではなく「挑戦を後押しする」スタンスで

NG例

「じゃあ、がんばって」と突き放す。
→ 部下の本音を引き出せなくなります。


6. 「じゃあ、最初の一歩は何から始める?」

意図

大きな目標を小さく分解することで、行動開始のハードルを下げます。
小さな成功体験が積み重なり、やる気が持続します。

使い方のコツ

  • 「最初の30分でできること」レベルに細分化
  • 上司が口出ししすぎず、部下のアイデアを尊重する

NG例

「まずは資料を全部作り直して」と一気に負荷をかける。
→ スタート前から挫折します。


7. 「目標に進んでいく中で心配・不安なことは?」

意図

部下が抱える不安やリスクを言語化してもらうことで、事前に対策を考えやすくなります。
不安を共有するだけでも心理的負担は軽くなり、上司への信頼感が高まります。
また「弱音を吐いてもいい」と思える環境は、自己承認力の土台である安心感を強めます。

使い方のコツ

  • 「スケジュール?スキル不足?周囲との関係?」など、具体例を提示して答えやすくする
  • 出てきた不安を否定せず、「なるほど、そう思っていたんだね」と一度受け止める
  • 不安を共有したら、そのままにせず「一緒に解決策を考えよう」と前向きに導く

NG例

「それくらい乗り越えないと成長できないよ」と根性論で片づける
→ 部下は萎縮して、行動意欲を失ってしまいます。

「それは気にしすぎだよ」と不安を軽視する
→ 部下は「相談しても無駄」と感じ、心を閉ざしてしまいます。


まとめ:上司の質問で部下のやる気が「本気」に変わる!

いかがでしたでしょうか。部下の目標設定は、上司の言葉ひとつで全く別の方向に進みます。
大事なのは、「言わせたい答え」を引き出すのではなく、「部下が心から納得する答え」を引き出すことです。

今回ご紹介した7つの質問は、すべて部下の自己承認力を育てるためのものです。

  • 自分の成長を認める(自己肯定感)
  • 「自分ならできる」と思える(自己効力感)
  • 行動を小さく分解し、やり切る(スキル)

この3つがそろうと、部下は自分の力で前に進めるようになります。

そして忘れてはならないのが、部下の目標は、上司の目標でもあるという視点です。
上司が「一緒に達成する」と思えたとき、部下は安心して挑戦できます。
その姿勢こそが信頼関係をつくり、部下のやる気を本気に変えていくのです。

ぜひ日々の面談や会話の中で、この質問を取り入れてみてください。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)