本日もコラムをお読みいただきありがとうございます!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。

本日のテーマは少し重ためです。「部下が辞めていく上司」についてです。部下が仕事を辞める理由は様々ですが、上司としては何とも寂しいもの。出来ることなら仕事を続けてほしいなと思いますよね。

しかし、私自身も転職を経験してきた身です。仕事を辞めることは、ステップアップするための選択肢の一つとも捉えています。厚生労働省が発表したデータ「令和6年雇用動向調査」を見てみると、転職者が前の職場を辞めた理由の上位3つは男女ともに

  • 職場の人間関係
  • 収入が少ない
  • 労働条件が悪い

となっています。

今回注目するのは、職場の人間関係のうちの「上司との関係」です。上司の言動が離職理由なのに、それを言葉にせずに職場を去る方は本当に多いです。そりゃあ、あなたが原因ですとは言えないですよね…。

言葉の遣い方、立ち居振る舞いに関しては、立場が上になるほど教えてくださる人は減っていきます。チームのリーダーを務めている方ならなおさらです。

実は、私自身も過去に部下を辞めさせてしまった経験があります。 当時は言葉や態度も上から目線でしたし、きつい指導をしていたなと思います。辞めてしまった方は、上司の私が離職の原因とは言いませんでしたが、関係が良くなかったことは事実です。本当に申し訳ないことをしました。

部下の方が続けて離職する経験をしている方、必読です。一緒にご自身を振り返りながら、チームを育てる上司の振る舞いについて考えていきましょう。

部下が辞める原因をつくる「上司の行動」とは?

人事異動などで上司が替わると、チームの空気感が変わります。ご本人のキャラクターや存在感がどうであっても、それだけ役職に伴う影響力は強いということです。
そんな影響力のある上司が・・・

  • 何を考えているかわからない
  • 努力しても評価してくれない
  • 学ぶものがない

こんな風に部下に思われてしまう言動をしているならば、離職を決意する方は増えてしまうのも仕方がないかもしれません。ここからは、部下が辞める原因をつくる上司の行動をみていきましょう。

1. 部下の仕事に対する評価がない(褒めない、認めない)

部下の仕事への関心がない、見ていたとしても本人へのフィードバックがないのは×。努力していても身近にいる上司が評価してくれなければ、モチベーションは下がっていくものです。たった一言でいいのです。「〇〇さん、報告メールありがとね」「〇〇さん、あの資料よかったよ」こういった言葉が原動力になるので、意識したいものですよね。

2. 他の人との比較を繰り返す

こちらもあるあるです。「同期のAさんはもっと早く結果が出ている」「Bさんみたいに頑張れよ」など、他者との比較は部下の方に劣等感を与えてしまいます。皆さんそれぞれ異なる才能をお持ちです。誰かと比べても意味がないのです。
実は過去に企業様に伺った際に、私も何度かご質問を受けたことがあります。「他の企業の管理職と比べて、うちの管理職はどうですか?」と。非常に返答に困ります。社風も業務も異なるのに、他社と比べて一体どうするのでしょうか。人は、劣等感を感じるとモチベーションは下がりますし、優越感を感じるのも違うと思うのです。

3. 感情的に振る舞う

トラブルが起きたときに不安や焦りによってイライラが爆発したり、部下がミスをしたときに感情的に怒鳴るのは、上司が気をつけたい行動の一つです。こんな上司のもとでは、部下は上司の顔色をうかがうようになります。上司にとって貴重な「部下からの意見や提案」が出て来なくなるだけでなく、最悪なパターンは「部下がミスを隠すようになる」ことです。誰でも怒られたくないですから、少しのミスは隠してしまおうという気持ちもわかります。

4. 部下をサポートしない

部下の方が困っているとき、相談に来てくれたときに「自分で考えろ」「それぐらいできるだろう」と突き放していませんか。部下からの相談事をきっかけに、お説教タイムに入る方も珍しくありません。「なぜそんなこともわからないんだ」なんて、怒らないようにしましょう。困りごとや問題点が見えたら、その先にはステップアップがあるということです。アドバイスをしながら、サポートをしたいものです。

5. 部下の話を聴かない

「指示・命令はするけれど、部下の話は聴かない」という上司は案外多いです。部下育成のトレンドとして、1対1で部下との短時間のコミュニケーションをとることが企業様で一斉に流行りました。しかし、せっかく始めたのに続かなかったという方が本当に多いです。部下に興味を持って話を聴きましたか?相手の話を聴く練習は十分しましたか?続けるための自分のメンタルケアはしましたか?

1~5のこれらの要素を鍛えるには、自己承認力を高めることがおすすめです。
「私もOK,あなたもOK」という気持ちを育てながら、相手を承認するスキルを学んで実践していくメソッドです。穏やかな気持ちと表情で、部下の話を聴いたりサポートをするには、上司ご自身が自己承認が来ていなければ難しいものなのです。

部下が辞めない職場を作る3つの改善策

前項までお読みいただき、いかがでしたでしょうか。
「部下の離職は自分のせいではない」そんな気持ちがある方もいらっしゃると思います。
・仕事を続ける根性がないだけ
・家庭の事情だから辞めた
・他にやりたいことが見つかったらしい
確かに、部下が会社を辞める理由は様々です。しかし、辞めていく部下が1人~2人ではない場合、念のために職場環境を見直す必要はあると思うのです。まずは、以下の3つのポイントを日々意識しているか、職場の環境をチェックなさって見てください。

1. 成果や努力を「承認」する

目に見える成果はもちろんですが、日常で積み重ねている小さな努力を認めることも重要です。身だしなみ、表情、挨拶の仕方、返事の仕方、仕事の効率、人との接し方はいかがでしょうか。当たり前に思えることの背景には、その方の「頑張り」が詰まっていることも多いです。

・「おはようございます。いつも気持ちのいい挨拶だね」
・「さっきの電話対応、丁寧でとてもよかったよ」
・「仕事早いね、意識してくれてありがとう」


凄い!さすが!素晴らしいね!と、大げさに褒めなくてもいいのです。上司からの何気ない承認が部下の自己承認力を育てていきます。

2. 他者との比較を避け、個々の成長を認める

つい人と比べてしまう癖がある方は、言葉に出す前にストップをかけられるようにしましょう。他者との比較は、短期間の勝負事なら有効なやる気の出し方です。ライバルがいることで燃え上がるタイプの方もいることでしょう。しかし、人にはそれぞれに個性があります。抱えている仕事やチームの環境が違えば、成長スピードも異なるのです。「私は同期の中で一番仕事が出来ない」「あの人は俺よりも成績が良い」そんなストレスを持ち続けて、仕事を継続することは難しいです。個々の成長をサポートすることを意識していきましょう。得意分野のお仕事を任せることもおすすめです。

3. 日常のコミュニケーションを増やす

部下と接する機会を増やしましょう。ちょっとした会話をするだけでも、コーヒーを差し入れするだけでもいいのです。電話をかけて数分話すだけでもいい。「忙しい」は言い訳になりません。部下の話を聴きながら情報収集をして、上司からも自己開示をしていきます。お互いの細かなスケジュールをカレンダーで共有なさっているチームも多いです。例えば、もしも部下の方が出張したことがわかれば、「出張お疲れ様!どうだった?」と尋ねることが出来ます。

ダントツの一体感を生む上司の習慣

前項では3つの職場環境の改善策をご紹介しました。もうすでに実施されている方は、「継続は力なり!」で、習慣化されることをおすすめいたします。これからスタートされる方は、完璧を目指すのではなく少しずつ改善していくことが大事です。日常の種まきが大きな花を咲かせます。

私の以前の職場(寿司屋)の上司、エリアマネージャーは毎朝8時に担当エリア全店に電話をしていました。毎回、発する言葉は同じです。「おはよう!今日はどんな感じ?」新人店長だった私は、そのときに色々相談しやすかったのを覚えています。毎朝の恒例なので、特に話すこともない日もありますが、締めの言葉に「なんかあったら電話して」と、必ず言ってくださいました。朝8時くらいに電話がなるとパートさんも「多分マネージャーですね!何か伝言ありますか?」という流れになるのです。素晴らしいチームづくりだなと今更ながら思います。やはりそのエリアマネージャーの担当エリアの一体感はダントツでした。


まとめ: この人と仕事を続けたい!と思える職場を目指して

いかがでしたでしょうか。もしも、部下が辞めてしまう原因が自分にある場合…その現実と向き合うのはとても辛いですよね。部下のせいにした方がずっと楽です。私もそうでした。部下が離職したときに「理由としては挙げなかったけれど、もしかして私のせいか?」と考えると、嫌な気持ちが残りました。今思えば、上司として言葉のかけ方や接し方にもっと工夫ができたはずです。大反省です。

過去と現在を認めて、未来に進んでいくのが自己承認力です。現状を受け入れて、反省しながら前に踏み出すことが大事ですよね。本日、ご紹介した改善点3つをまずはお試しいただきたいなと思います。

部下の方が生き生きと働く職場は、上司もより一層輝きます。
チーム全体の一体感が生まれる職場づくりに、一緒に挑戦していきましょう。

本日もあなたを応援しております!
では、また次のコラムで(^^)/