こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

今回は、管理職の方から寄せられる意外にも多いお悩み・・・
「部下の文章力がない」 というテーマについてお届けします。

日々の業務ではメールや報告書など、社内外であらゆる文章のやりとりが行われます。
文章力は、重要なビジネススキルの一つと言えますよね。

ところが・・・
「何を伝えたいのかわからない」
「敬語や言い回しが不自然」
「要点がまとまっていない」

そんな部下の文章に頭を抱えた経験がある方もいらっしゃると思います。

そこで重要なのは、 “どう伝えれば部下の文章力が伸びるか”という視点で考えることです。
今回は、「文章力」について紐解き、文章が劇的に変わる指導法をご紹介して参ります!

“文章力のなさ”の正体は?

最初に考えたいのは、上司であるあなたが感じている「文章力のなさ」の正体です。
「文章力がない=ダメ」と単に突き返すのではなく、「何をどう改善してほしいか」を部下に明確に提示するには、なぜ文章力がないと感じるのか?を具体的に掘り下げる必要があります。

1.内容の論理性

  • 話の順番に違和感がある(時系列・因果関係がバラバラ)
  • 主張と理由が結びついていない(根拠のない話になっている)
  • 話の軸がブレて、読み手が迷う

2.わかりやすさ・簡潔さ

  • 要点が絞れていない(何を伝えたいのかわからない)
  • 一文が長すぎて読みにくい(接続詞だらけ、ダラダラ続く)
  • 専門用語や表現が難しすぎて理解しづらい
  • 逆に、説明不足で「前提」がわからない

3.文章の正確性

  • 誤字脱字が多い(基本的な見直しをしていない)
  • 文法の間違いが目立つ(主語と述語の不一致など)
  • 数字やデータの表記が曖昧(正確性に欠ける)

4.読者視点

  • 誰に向けて書いているかが不明確(ターゲットがぼやけている)
  • 相手が「知りたいこと」とズレた情報を書いている
  • 相手にどうしてほしいのか(結論・依頼)が曖昧

5.表現力・説得力

  • 同じ表現・言い回しが何度も繰り返されている
  • 感情表現や具体例が少なく、イメージしづらい
  • 相手を動かす説得力に欠ける(なぜ?どうして?が足りない)

6.構成・レイアウト

  • 段落分けがなく、読みづらい
  • 見出しや箇条書きなど整理がされていない
  • 必要な情報の優先順位が整理されていない


読みやすい文章にポイントがあるように、読みにくい文章にもその原因があります。
文章はそのままで、段落をつけたり、一文を短く切るだけで、随分と読みやすくなることもあるのでいくらでも改善は可能なのです。


指導を始める前に「良いところ」を見つける

指導を始める前に、少し待ってください。「ここが変」「この表現じゃ伝わらない」とダメ出しばかりをしようとしていませんか。どんな文章であっても、部下の方があれこれ考えながら書いた文章です。

良い部分も必ずあるはずですので、いくつか見つけておくようにしましょう。

  • 「ここの説明はすごくわかりやすい」
  • 「誤字脱字が一切ない」
  • 「読み手の立場に立って書こうとしている」

そのうえで、「もっと伝わる表現にするなら、こういう言い回しもあるよ」と、 加点方式で伝えるのがポイントです。

文章力は、自信と比例します。上司に否定され続けた部下は「正解がわからない」と悩み、文章を発信すること自体が苦手になってしまうこともあるのです。


部下の文章が劇的に変わる指導法5選

ここからは、文章力を底上げするために上司ができる“具体的な指導アプローチ”を5つご紹介します。

① PREP法を伝える:「結論から書こうか」

部下の方に、わかりやすい表現の基本の型である「PREP法」を指導していますか。
私もこの型を学んでから、説明がわかりやすいと言っていただけるようになりました。
「何が言いたいの?」と思うような回りくどい文章には、PREP法(Point→Reason→Example→Point)のような型が必要です。

たとえば・・・

  • 【結論】◯◯を提案いたします。
  • 【理由】なぜなら〜だからです。
  • 【補足】詳細はこちら/根拠として〜です。
  • 【結論】以上、〇〇を提案いたしました。

この組み立てが出来ると「口頭での説明」もわかりやすくなりますので、おすすめのトレーニング方法です。

② 一文を短く:区切ると伝わる

長文になってしまう部下には、「1文1情報」を意識するよう伝えましょう。

「全体的に1文が長いかな。1文に2つ以上の情報があると読みづらくなる。ここは、思い切って区切ってみようか」

例.
私が〇〇を提案するのは、なぜかというと、~だからという理由があり、その根拠としては~といったものが挙げられます。
↓ ↓ ↓

「私は〇〇を提案いたします。理由は~だからです。根拠は、~が挙げられます。」

口頭で説明をしながら、「1文1情報」に書き換える説明をするとよりわかりやすくなります。

③ 専門用語は相手によって調整する

「言葉が難しすぎる」「業界用語ばかり」「略語が多い」これらの文章は、相手が読みやすいか?という視点が抜けている可能性があります。社内で当たり前に使われている言葉が、社外では伝わらないことはよくあります。

専門用語が多い部下に対しては、「この言葉、読み手はすんなり理解できそう?」 と問いかけてみましょう。その場合の言い換えの事例もあわせて紹介しておくことをおすすめします。

読み手に応じた“翻訳力”は、思いやりの表現でもあり、重要なビジネススキルでもあります。

④ 漢字とひらがなのバランスを見直す

「読みにくい文章」で意外に多いのがこちらです。漢字ばかりの文章は、「固い・重たい」印象を与えます。見た目のバランスも大事なポイントです。

例.
本件に関して、多角的な視点や実現可能性等を総合的且つ詳細に検討した結果、〇〇案を提案申し上げます。
↓ ↓ ↓

「この件について、さまざまな視点や実現可能性などを総合的に詳しく検討した結果、〇〇案を提案いたします。」

文章が間違っているわけではありませんので、あくまでも「相手目線」を想像してもらうことを丁寧に説明をしましょう。

⑤ 上司の型・テンプレートを伝える

最後は、言葉で説明するだけでなく“手本を見せて伝える”方法です。
あなたの文章はわかりやすいですか?相手への思いやりがある文章でしょうか?

日々、上司との「文章のやりとり」を続けていくことは自然な部下の成長につながります。

あなたの型・テンプレートがあるならば、それを指導に活用しましょう。

  • 「このパターンならこう書くといいよ」
  • 「自分はいつも結論から書くようにしている」
  • 「迷ったときはこのフォーマットを使ってみて」

こうした“型”を伝えることで、部下の方の安心感と自走力が育まれます。

メール文でも報告書でも、「自分だったらこう書く」という例文を共有しましょう。
その際、「この書き方が正解というより、“こう書けば伝わる”という一例だよ」と前置きして、押し付けにならないよう配慮も忘れずに。

上司が日頃から「手本を見せる」という効果的な部下育成法を活用してみてください。


まとめ:文章力は“トレーニング”で育つ

いかがでしたでしょうか。部下の文章がわかりにくいとき、「何度言っても直らない」とイライラする気持ちは、きっと多くの方が経験されたことだと思います。

文章力は“スキル”です。センスではなく、トレーニングが出来るものです。

【インプット編】
新聞・ニュース記事を読む(特に社説や要約記事)
ビジネス書や論理的な本を読む(例:ロジカルシンキング系)
エッセイや小説を読む(自然なリズム、言葉選びを学べる)
企業のプレスリリースを読む(短く正確に伝える表現を学ぶ)
スピーチ原稿やプレゼン資料を見る(口語的でわかりやすい構成)
上司や取引先様の文章から学ぶ (関わる相手の目線を学ぶ)

【アウトプット編】
SNS投稿をする
日記やメモを習慣化する
会議での他者の発言を要約練習する
第三者に文章を読んでもらう

多くの文章に触れ、多くの文章を発信すること。「慣れること」は非常に大事な要素です。

私自身これまでに、メールマガジン・コラム・企業様の冊子など、多くの文章発信の場をいただきました。
最初は1~2時間かかっていた文章作成も、今は短時間で出来るようになりました。文章の質も、第1回目よりも第100回目の方が格段に上がっているものです。

ぜひこの機会に、今回の5つのポイントを意識しながら
部下の方と一緒にトレーニングをしてみてください♪

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)