こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

今回のテーマは、部下の育成計画書についてです。
「部下をどう育てたらいいかわからない」
「育成計画はつくったけれど、ファイルにしまったまま…」

そんな悩みを持つ上司の方は少なくありません。

実は、育成計画書を正式に導入していない会社も多いのが現状です。
問題が全くないのならばいいのですが、育成計画は上司・部下両方にとって
「指導の精度と安心感」に繋がるメリットの大きいものです。

今回は、部下の育成計画において、上司が押さえておきたい7つのポイントを、ご紹介いたします。


1. 育成計画は「基準」であり「地図」

育成計画の一番の価値は、「指導の基準ができること」です。
自分の感覚や経験だけに頼った指導では、上司の力量によって部下の成長にばらつきが出てしまいます。

例えば…「部下の成長が遅い」と感じたとき。
それは「部下の同期と比べて遅い」のですか?「自分の若い頃より遅い」のですか?
いつまでにどうなってほしかったのでしょうか?

計画やマニュアルといった基準がなければ、遅い・速い、できている・できていないの判断が感覚的になってしまいます。だからこそ、育成計画は、「部下と上司が共通の地図を持つためのもの」なのです。


2. 作って終わりではなく「使うこと」が本番

ありがちなのは、育成計画書を「人事に提出するために作って終わり」としてしまうケースです。
計画書は“提出書類”ではなく“実践ツール”

日常の指導や1on1面談のときには、「ここまで進んでいる」と部下と共有するのもいいですし、「次に進むステップ」を一緒に確認することで、部下の成長が加速します。

感覚で誰かと比べるのではなく、過去の部下自身と現在の部下を比べて、必要であれば計画の修正をしていきましょう。


3. 指導者自身の育成も必要

忘れてはいけないのは、指導者自身の教育」です。指導者が計画書をどう使うかを理解していることが大切です。指導のスキルはもちろん、フォロー体制をどうするか、など

  • どうやって部下に共有するか
  • 進捗が遅れたとき、どう対応するか
  • 複数の部下を同時に育成するとき、どう優先順位をつけるか

こうした「使い方」を学ぶこと自体が、上司の育成スキルを磨く機会にもなります。


4. 完璧を目指さず、柔軟に修正する

育成計画は“相手に合わせて変え続けるもの”です。
部下の状況や環境は、常に変わります。
「必ず計画通りにやらなくてはいけない」と無理をしてしまっては、本末転倒。
部下がスムーズに成長できるように、その都度上手にツールとして活用していきたいですね。

「現状と合わなければ修正すればいい」と柔軟に運用することが、現場で生きる計画になります。


5. 部下が未来を見ながら成長できる計画にする

育成計画は、部下本人が「未来を描ける」ものでなければなりません。
上司が一方的に作るのではなく、部下と一緒に考えるプロセスを取り入れましょう。

「3か月後にどんな姿になっていたい?」
「1年後にどんなスキルを身につけていたい?」

こうした問いかけをしながら、部下が目指す方向にサポートができるようにしましょう。

6. 同時育成には「引っ張る力」も必要

複数の部下を一度に育てるときは、上司の“引っ張る力”=ペースを調整する力が欠かせません。
育成計画が緩やかすぎると全体の成長が遅れ、厳しすぎると部下が疲弊します。
同期入社の数名など、複数の部下を一度に育てる際には、少し工夫が必要です。

例えば、複数人に同時にPC作業を指導するときには、
覚えが早い・作業の手が早いタイプは、ただ待たせるのではなく
「~をやっておきましょう」「なぜこの作業をするのか考えを書いてみましょう」など
次にやること・課題を示しながら時間調整をします。

あまりにもペースが違うようでしたら、お互いにストレスになりますのでグループを分けるのもひとつの方法です。

平均的な成長度合いをみて、「3か月後にはここまで到達してほしい」という育成計画があれば、それを基準にチーム全体を引っ張りやすくなります。


7. 承認を積み重ねる

育成計画はチェックリストではなく、部下を承認するためのツールです。

基準があると「何をもってできたと判断するか」が明確になり、上司も部下も承認がしやすくなります。
「ここまでできてきたね」「前回より進んでいるね」と具体的に伝えられるからこそ、部下の自己承認力が高まるのです。

私は、物販店で勤務をしていた際、新人アルバイトさんを育成するときには、
1日目はユニフォームの着方と笑顔で『いらっしゃいませ』が言えたらOKとしていました。
アルバイト初日の緊張した状態の2~3時間で、お店のルール・商品名・レジの操作・ごみ捨て・洗い物など、詰め込みすぎても覚えるはずがありません。笑顔で感じが良ければ、新人さんが多少ミスをしてもお客様は許してくださいます。

そして、「今日はここまでできれば十分」という基準を示し、達成したら必ず褒める。
この積み重ねが新人さんの自信になり、どんどんできることが増えていきます。
何店舗もオープンの立ち上げで新人さんを育成しましたが、計画通りにできなかった人はいません。

承認は「あなたは成長している」という証を示すこと。
計画という基準があるからこそ、安心して承認を伝えられるのです。


まとめ:上司と部下が最短コースで成長できるツールにしよう

いかがでしたでしょうか。育成計画書は、形だけをただ作るものではありません。

  • 上司と部下が共通の地図を持つ
  • 感覚的な指導を避け、基準を明確にする
  • 完璧を求めず、柔軟に修正しながら運用する
  • 指導者自身の学びにもなる

そして何より、計画を通じて部下が未来を見ながら成長できることが目的です。

まずは簡単にでも、「1年間の部下の育成計画」を作ってみてはいかがでしょうか。
それが、指導をしやすくし、部下の自己承認力を高め、チームの力を伸ばす第一歩になります。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)