こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
管理職の方のお悩みのひとつに、【部下に仕事を任せること】があります。
「つい自分でやってしまう…」
「任せるとミスが出て、結局自分がフォローする羽目になる…」
「ちゃんと責任を持ってやってくれるか不安…」
抱えている仕事を部下に任せた方がいい、と頭ではわかっていながらも、日々忙しくしている中で先延ばしになっている方も多いかと思います。
実は、その“任せられない”という状況を積み重ねることが、あなた自身の疲労感を増やし、部下の成長機会を奪ってしまっているかもしれません。
今回は、自己承認力の視点から、「仕事を任せる」ことの本当の意味と、実践できる育成術を5つのステップでご紹介します。

任せる=手放すではなく「信じて育てる」こと
まず最初にお伝えしたいのは、「任せる」というのは「丸投げ」でも「放置」でもありません。
任せるとは、【相手を信じて挑戦の機会を与えること】なのです。
現在は上司のお立場であるあなた自身も挑戦の機会をたくさんご経験されてきたと思います。
ときには「無茶ぶり」と感じたり、「荷が重い」と感じるような仕事こそが、ご自身の成長に大きく役立ってきたのではないでしょうか。
上司に「あなたならこの仕事できるよ」と信じてもらい、任せてもらえるという経験は、何よりも部下の自己効力感に繋がります。自己効力感とは、自分なら大丈夫!と思えて前に進める力です。
つまり、上司が「部下に任せる」という行動は、部下の心とスキルを育てるための“最高のトレーニング”でもあるのです。
【ステップ1】任せる前に“任せる目的”を共有する
では、ここからは実践できる育成術を5ステップでご紹介します。
まず最初のステップは、仕事を任せる前に「何のために任せるのか」を伝えることです。
たとえば、 「この業務にチャレンジしてもらいたいのは、将来リーダーとして必要なスキルだから」 「今後、○○の役割を担ってもらう準備として、今回はこの仕事をお願いしたい」
このように、“期待と目的”をセットで伝えることで、部下は自分の仕事の意味を理解できます。
そして、ゴールを明確にすることも忘れないようにしましょう。
「〇月×日までに、このくらいの成果が出ることを目指そう」
→ どんな風に計画を立ててやっていく?
必要であるならば、具体的な計画のサポートも行いましょう。このとき、あくまでも考えるのは部下ご自身ですのでコーチングをしながら、一緒に計画を立てることをおすすめします。
【ステップ2】いきなり全部ではなく、段階的に任せる
「部下に全部をまるっと任せて、何も確認をしない」
「上司が細かく口出しして結局任せていない」
この2つの極端な例は、どちらも上手な任せ方とは言えません。
いきなり大仕事を任せようとしていませんか。大事なのは、“段階的に任せていく”ことです。
まずは小さなタスクや、一部の業務から始めてみましょう。 その中で、報連相のタイミングを決め、要所要所でサポートを入れることをおすすめします。
たとえば、自分が担当している取引先様を部下に任せたいとします。突然、「〇月×日から担当をお願い」ではなく、まずは取引先様の情報を共有して、先方に伺う際に自分に同行してもらうところからスタートです。そこから、徐々に仕事を任せていき、少しずつ自分は離れる。丁寧なやり方で引き継ぐと、ミスも起こりにくいものです。
そうなのです。仕事を任せる、というのは「業務の引継ぎ」です。丸投げなんてもってのほか。丁寧にやって当たり前ですよね。その引継ぎの積み重ねを自然に行うことで、結果的に部下が“任せられる人材”に育っていくのです。

【ステップ3】うまくいかない時こそ、育成のチャンス
部下に新たな仕事を任せることになりますので、時間がかかったり、うまくいかないことが出てくるのは当然です。
そこで上司の振る舞いとして大事なのは、「サポートすること」です。
うまくいかないときこそ、「部下の成長のチャンス」です。
決してやってはいけないNG行動が
・「なんで出来ないんだ」ミスを責める
・「やっぱり俺がやる」自分に仕事を戻す
・「俺はすぐに出来たのに」他者と比べる
・「自分でなんとかするだろう」無関心・放置
これらは部下の成長を妨げてしまいます。
「進捗どう?」と部下の話を聴きながら、次の作戦を考えるサポートをしていきましょう。
「成長には時間がかかる」「初めからうまくできなくて当たり前」と、思えているでしょうか。最初から完璧を求めると上司も部下もつらくなりますので、気を付けたいものです。
【ステップ4】成果だけでなく、プロセスを認める
任せた仕事に対して、結果が出たときに褒める。 これだけでは不十分です。もっと重要なのは、途中の努力や工夫を“承認”することです。
このプロセスを認めることが、次のステップアップに役立ちます。
たとえば 「初めての資料作成、お疲れ様。大変だったと思うけど、丁寧に作ってくれてありがとう」「〇〇の部分、構成が工夫されていてよかったよ」 「質問の仕方が前より的確になってきたね」
成果が上がったときだけでなく、“途中の承認”があることがポイントです。
この承認によって、部下は仕事への姿勢や方向性に自信を持つことができます。
【ステップ5】任せる自分自身にも信頼を持つ
最後のステップは、部下ではなく “あなた自身”へのメッセージです。
あなたは自分自身を信頼していますか。部下に任せるには、上司側にも自己信頼が必要です。
自分から見て、「この部下なら出来る」と思えるから任せるのですよね。この自分の判断を信じるのです。
「任せていいのかな」「きっと失敗するだろうな…」と思っていると、部下にもそれが伝わります。
だからこそ、
- 自分の経験や判断を信じること
- 上司として“育てる力”があることを認めること
この2つを大事にしてください。
自己承認力が高い上司が人育てが上手なのは、自分を信じて、部下のことも信じられるからです。
まずは「自分を認めること」から。 それが、部下を信じて任せる土台になります。

まとめ:任せることは、信じること。育てること。
いかがでしたでしょうか。部下に仕事を任せることは、上司としての成長でもあります。 任せて、待って、見守って、時に軌道修正して、また任せる。この繰り返しが、信頼関係を育てます。
人材育成があまりうまく行かないとき、私はよく「自分の新人時代」を思い出すようにしていました。本当に私はポンコツ社員で(笑)何も出来ませんでしたし、失敗もよくしていました。
ミスを指摘されて、へこんで、もう無理…と泣いていました。かなり扱いにくい部下だったと思います。
当時、もしも上司からミスを責められたり、見限られていたら・・・私は自信をなくして前に進めなかっただろうと思うのです。根気よく育ててくださった上司に大感謝です。
大きな心で部下を見守るには、上司自身の自己承認力を整えることが重要です。自分を認めることができる人は、相手の可能性も信じて任せられる。
そして、その任せ方が、部下を大きく育てていきます。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)