こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

ある日突然――
普段しっかりしていた部下が、面談中に涙をこぼした。
明るく元気に見えていたのに、急に休みがちになった。

上司として、どう向き合えばいいのかと悩んだご経験はありませんか?

もちろん、会話の途中で上司の優しい言葉に癒されて涙が出たり、厳しい言葉に傷ついて涙が出たり、理由は様々です。

本人も気がつかないうちにストレスが溜まっていて、ただただ涙が出てくる・・・
「もう限界」という心の叫びの可能性もあります。メンタル不調の涙の場合は、本人も予測不可能なのです。

今回は、そんな「部下が突然泣いたとき」に上司が慌てず対応するため、部下が無理してるサインを見抜く5つの方法をご紹介します。


1. 表情・声・言葉に「違和感」がないかをキャッチする

メンタル不調のサインは、目立たないものが多いです。
むしろ「元気そう」「しっかりしている」と思われている人ほど、限界を超えて突然泣くことがあります。

こんな変化が見られたら、心のSOSかもしれません。

  • 表情がこわばっている/笑顔が減った
  • 声のトーンがいつもと違う/早口になっている
  • 「大丈夫です」「なんでもありません」が口癖になっている

「なんかいつもと違うな」という、あなたの違和感を大事にサインとして受け取りましょう。
部下が無理してる状態に早く気づくには、日ごろの小さな観察がカギになります。

SOSサインと解決策については、こちらのコラムで詳しく触れています。

2. 「完璧主義タイプ」の部下は特に注意

まじめで責任感が強く、弱音を吐かないタイプの部下。
一見、頼りがいがあり仕事も安心して任せられますよね。

しかし、そういう人こそ人一倍“無理してる”可能性があります。

  • 自分を責めやすい
  • 他人に頼れない
  • ミスを極端に恐れる

こうした部下は、自分を限界まで追い込み、感情がコントロールできなくなっていきます。そのため、突然怒りを爆発させたり、涙が止まらないことがあるのです。

上司としては、「部下が頑張りすぎていないか?」と時折声をかけることが、信頼関係構築とメンタルサポートの両方につながります。


3. 「出来事」ではなく「気持ち」に耳を傾ける

部下が突然泣いたとき、「何があったの?」と出来事に焦点を当ててしまいがちです。相手を理解しようと色々尋ねたい気持ちもわかります。
しかし、突然涙が出てくる場合、本人も自分の感情をうまく言葉にできないことがあります。

だからこそ、まずは「気持ち」に寄り添う姿勢が大切です。

  • 「溜め込んでいたんだね」
  • 「思い切り泣いていいよ」
  • 「ゆっくりで大丈夫だよ」

言葉よりも、安心できる空気が心を開くきっかけになります。上司として、“正しく導く”よりも“支える”ことを心掛けましょう。


4. 上司自身が「弱音を出せる人」になる

普段やりとりをする「部下との距離感」はいかがでしょうか。
気軽に相談が出来る関係を築けていらっしゃるでしょうか。

上司自身が弱みを見せないタイプの完璧主義者の場合、部下は自分の弱さを出しにくくなります。

「仕事が出来ない部下だと思われたくない」
「上司に評価してほしい」
そんな部下の一生懸命さがメンタル不調に結びつく場合もあるのです。

失敗経験や弱みを見せる上司の自己開示力は、部下の心をほぐします。

  • 「私ね、新人のころ怒られてばっかりだったよ」
  • 「俺、この業務が苦手なんだよね・・・」
  • 「ストレス溜まったときはバッティングセンター行ってる」

こうした自己開示が、「上司も完璧じゃないんだ」「頼ってもいいんだ」という部下の安心感になります。小さな悩みも相談できる上司でいることで、部下のSOSにも早めに気付くことが出来ます。


5. 「がんばれ」より「十分がんばっている」を伝える

元気がない部下に対して「元気出せよ!」、落ち込んでいる部下に対して「がんばれ!」
そんな声がけをしたことはありませんか?
心が元気なときには励みになる言葉ですが、弱っているときに「がんばれ」と言ってしまうと、相手の負担になることがあります。もう十分、がんばってきた人にとっては「これ以上無理だよ…」と思わせる厳しい言葉なのです。

上司の声がけで大事なのは、“ありのまま”を認めること。

  • 「これまでも十分がんばってくれてるよ」
  • 「悩むくらい一生懸命にやっているということだよ」
  • 「もっと頼ってくれたらうれしい」

部下がメンタル不調で「やる気が出ない」「仕事に向いていない気がする」など、ネガティブな言葉をこぼしたときの受け止め方こそ、上司の本当の力が問われます。


知っておきたい!ちょっとした注意で泣く部下の本音とは?

ここで、もう一つ知っておいていただきたい大切なポイントがあります。
それは、「ちょっとした注意やフィードバックで、涙を流す人もいる」ということです。

「そんなに強く言ったつもりはないのに…」
「ごく普通の指摘だったのに、どうして泣くの?」と、戸惑われる上司の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、それは決して「打たれ弱いから」という理由だけでなく、次のような心理が隠れていることがあります。

  • 以前から自分を責めていて、限界寸前だった
  • 小さな指摘を「自分を全否定された」と捉えてしまった
  • 幼少期や過去の経験から、注意を受けると自己否定につながる思考パターンがある

つまり、「その言葉自体が原因」なのではなく、それまでの蓄積や捉え方のクセによって、涙が出るほど心が揺れてしまうのです。

私も20代の頃はよく泣いていましたが、上司に少しでも何か言われると「全否定」されたような気持ちになっていました。例えば「ここが違う、間違っている」と1つ指摘をされたら、素直に言葉そのものを受けとれず深読みをしてしまうのです。「何やってんだよ、ちゃんと確認したのかよ」と思われてるんじゃないか、と物凄く焦って傷ついていました。これは、成育歴からくる自己否定・自己批判・自信の無さが表れている考え方の癖でした。その後、私の自己肯定感の低さが徐々に改善されていったのは、当時の上司が諦めずに私に寄り添ってくださったお陰です。「お前は十分出来てるよ。頑張ってるよ」と、承認してくださった当時の上司に心から感謝しています。


もしも、部下の方があなたと話していて、突然涙を流したとしたら、ストレスも一緒に流していると捉えてみてください。「泣かせてしまった=失敗」ではありません。その場を乗り越えた先に、より深い信頼関係が生まれることもあります。

最後に:上司にできることは「寄り添い、認め、信じる」こと

部下がメンタル不調で突然泣く――
そんな場面に出くわしたとき、上司がどのような対応したかで、部下の未来も、チームの空気も、大きく変わります。

  • 無理している部下の変化に気づく「感性」
  • 部下のありのままを受け止める「器」
  • 部下の立ち直る力を信じる「承認力」

どれも、上司自身の自己承認力が土台になります。

だからこそ、まずはご自身をねぎらうことからはじめていきましょう。
あなたの「部下に寄り添う力」は、きっと誰かの救いになっていきます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)