こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「部下力(ぶかりょく)」という言葉を、聞いたことはありますか?
もしかしたら、初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
実はこの「部下力」、これからの組織づくりやチームワークを考えるうえで、非常に重要なキーワードなのです。
今回は、「部下力」という言葉を掘り下げながら、上司をサポートする行動を7つご紹介いたします。

「部下力」とは?チームの成果を引き上げる見えないチカラ
部下力とは、部下としての役割を理解し、上司を支え、チーム全体に貢献する力のこと。
単に「言われたことをこなす力」ではなく、自ら考えて主体的に動き、周囲と協力しながら働く姿勢やスキル全体を指します。
上司から見ると――
✔「この人がいてくれると、本当に助かる」
✔「先回りして気づいてくれるから、安心して任せられる」
そんな存在こそが「部下力」の高い人です。
上司にとってもチームにとっても重要な存在となるこの部下力のポイントは、「目線の高さ」と「行動力」にあります。
目線というのは、「ひとつ上の役職目線を持っていること」
行動力というのは、「すぐに動けるフットワークの軽さ」
上司としては、近い目線で話しができる部下は頼りがいがありますし、自分が動けないときに右腕となり活躍してくれる存在はとても有難いものです。
私自身、過去に転職・異動をしてきており、色んなタイプの上司と一緒に仕事をしてきました。
どの方もいつも役職以上のことを経験させてくださり、「思うとおりにやりな」と任せてくださる方ばかりでした。信頼してくださるのがとても有難かったです。そんな私が教わってきたのが、「ひとつ上の役職の目線」です。多少難しいことでも、何でも教わりたいという姿勢を持てたのは歴代の上司のお陰だと思っています。
なぜ今、「部下力」が求められるのか?
近年、多くの企業では「リーダーシップ」や「上司力」を磨く研修は盛んに行われています。
しかし、実際は上司だけが頑張ってもチームを変えることは難しいのです。
日本の管理職は、大半がプレイングマネージャーです。現場の仕事を抱えながら、チームを育成し、管理業務を行っています。
・上司が全てを指示しなければ動けない
・ミスの報告が後回しになる
・上司のフォローを誰も担えない
このような状態では、どんなに優秀な上司でも疲弊するのは当然です。
だからこそ、「部下力」が必要なのです。
そして本当に素晴らしいチームとは、
上司と部下が互いに支え合い、リーダーシップとフォロワーシップが共に育つチーム。
ここからは、「上司から信頼される部下」が実践している7つの行動をご紹介して参ります。

上司をサポートする「部下力」7つの行動
1.上司への提案を増やす
こちらは、「通常業務が滞りなく出来ている方」限定の内容です。
ご自身のミスが多い、業務が停滞気味、知識やスキルが足りていない、という段階ではお勧めしません。
自分の仕事が安定している方は、上司からの指示を待つよりも「仕事を取りに行く」ことがおすすめ。
「こちらの業務、私が担当してもいいでしょうか?」
「例の件ですが、私から取引先様に連絡しましょうか?」
仕事を自分で抱えがちな上司にとって、電話の1本でも部下に担当してもらえたら助かります。
そして、部下としては自分から提案すること、上司から仕事を振ってもらうことは、自身の成長に繋がります。
この行動は、自己効力感=「私ならできる」という感覚があるからこそ。
私にお任せください、と自信を持って伝えられたら最高ですね。
2.報連相の質を高める
上司が意思決定しやすいように整理された報連相を意識しているでしょうか。
報連相の仕方を変えるだけで信頼度はグッと上がります。
例えば、メールの工夫です。管理職のもとには、1日に何十通もメールが届きます。
・件名がわかりやすい
・結論から書かれている
・短い文章で伝えている
・質問事項は、YES/NOで答えられるもの
・ご返信には及びません
などの「相手が楽」と感じる工夫はあるでしょうか。
加えて意識したいのは、悪い情報ほど早めに報連相をすること。
組織にとって、情報は宝。部下の報連相の質が上がると、上司の報連相の回数や質も上がりやすくなります。
3.小さな気配りを日々重ねていく
日頃から上司をよく観察している部下が得意なことが「気配り」です。
見ているからこそ、上司が求めていることに早めに気づき、さりげなく準備が出来ます。
「何をしたら上司は助かるだろう、喜ぶだろう」
相手の思考を想像する力も鍛えられるので、おすすめの行動です。
例えば
・報連相のタイミングを見計らう「落ち着いたらお時間いただけますか」
・会議室、資料の準備を先回りする「会議室、予約しました」
・体調や表情を見て声をかける「お茶お持ちしますか」
など、小さなことでいいのです。
「よく気がつき、すぐに動く」気配りは立派なスキルです。
4.上司の立場や意図を想像する
部下力に必要な要素のひとつとして「目線の高さ」とお伝えした通り、上司の立場や意図を汲める部下は貴重な存在です。
例えば
上司から仕事を振られたときに、「今?忙しいのに…」と自分目線だけで考える人と、「上司はなぜ今のタイミングで自分にこの仕事を依頼したのか?」と考える人とでは動き方が変わってきますよね。
こうした“想像力”は、上司の負担を大きく減らすことが出来ます。同時に、「チームとしてどう動くべきか?」という視点も身についていきます。だからこそ、視野を広げて考えられる部下は、組織にとって欠かせない存在なのです。
5.感謝と謝罪を素直に伝える
感謝と謝罪。この2つを素直に伝えられる部下は、間違いなく“部下力”が高い人です。
なぜなら、「ありがとう」と「申し訳ございません」は、自分を守りたい気持ちやプライドを一度手放さないと、なかなか言えない言葉だからです。
自分の非を認めること、できていない部分を認めることに抵抗を感じるのは、人として当然の感情です。
そして、自分がミスをしたときには「勉強不足でした」「間違えてしまいました」
こうした一言が素直に言える人は、信頼され、助けてもらいやすい存在になります。
実は、これらを口に出せるかどうかには、「自己承認力」が大きく関わっています。
「完璧ではない自分を許せる」「間違えたら、次に挽回できる」と思える人は、失敗を恐れず、正直に伝えることができるからです。
6.指摘を素直に受け止め、改善に活かせる
「それは間違っているよ」「もっとこうしたほうがいいよ」
上司や周囲からこんな風に指摘を受けたとき、どんな反応をしているでしょうか?
注意をされても否定をされても、あなた自身の価値に変わりはありません。
指摘されたことを“人格否定”とは捉えずに、改善行動に移せているでしょうか。
どんなに優秀な人でも、完璧な人はいません。
指摘を受けること自体は悪いことではなく、むしろ「期待されている証拠」でもあるのです。
「指摘=自分を育てる材料」
こんな考え方が、部下力を高め、周囲からの信頼もぐっと高めてくれます。
7.自己承認力を高める習慣をつけること
部下力を高めるうえで、実はとても大切なのが「自己承認力を高める習慣をつけること」です。
自己承認力とは、「自分を認め、信じて、前に進める力」。
つまり、自分の“できていること”や“努力していること”に目を向け、受け止める力です。
これが身についている方は、どんな場面でも自分を立て直す力を持っています。
上司の言葉に一喜一憂するのではなく、自分でメンタルを安定させられる部下は理想的です。
例えば、
・「今日も満員電車で出社した自分、すごいなぁ」
・「あの業務を時間内に終わらせた!最高だ!」
・「目標には届かなかったが、次こそはいける!」
こんなふうに、日常の中で自分を認める言葉をつぶやく(もしくは書く)だけでOKです。
最初は照れくさくても、続けていくうちに“自分を認める視点”が自然と育っていきます。
誰かに求めるのではなく、自分で自分を認めて褒める。
そんな内面の土台を整えることが、“部下力”だけでなく“人間力”をぐっと引き上げてくれます。

最後に:あなたの「部下力」がチームの未来を変える
いかがでしたでしょうか。部下力を高めることで得られるものは、上司からの信頼だけではありません。
・自分の成長実感
・チームからの感謝
・仕事のやりがい
・社内での存在感
・自分をもっと好きになれる感覚
すべてが、あなた自身の未来を豊かにする力へとつながっていきます。
だからこそ、「どうせ…」と自分を小さく見積もるのではなく、
「今出来ていること」「これから出来そうなこと」に目を向けてみましょう。
昨日の自分と比べて、ほんの少しでも前に進めていたら、それは立派な成長です。
どんな小さな一歩でも、自分で「よし」と言える毎日を重ねていくことで、
確かな自信と誇りが育っていきます。
一つお伝えしたいのは、上司をはじめ周りからの評価ばかりに目を向けていると、自信はどんどんなくなっていきます。特に「評価されていない点」に目を向けるのではなく、「自分が評価されている分野・得意分野」に焦点を当てましょう。
私は飲食店・物販店に勤めていましたが、コストを抑えて結果を出すという考え方は苦手でした。数字管理も出来ればやりたくない・・・。店舗責任者としては、致命的ですが(笑)
だからこそ、頑張ったのは得意分野です。お客様に感じの良い接客をして、喜んでもらうこと。
売上目標はゲームのように捉えて、チームみんなで取り組みました。それを続けていたら、結果的にお店は売上・利益ともに出て、表彰されるほどになりました。
もし私が上司の評価・お客様の評価ばかり気にしていたら、きっとこの結果は出なかったと思います。
部下力も同じです。「部下力が高い」と評価される人は、決して上司に媚びる人ではなく、部下本人が自身の才能を発揮しながら上司をサポートできる人だと思うのです。
そこにたどり着くためには、まず自分で自分を認めること。
こちらのコラムを読んでくださっている向上心の高い方は、もうすでに部下力も高い!と私は思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)