こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「部下が退職した。これは自分の責任なのか?」

管理職として、この問いに向き合う瞬間は、想像以上に重く、苦しいものです。 私自身も、過去に部下が退職してしまう経験はしていますし、明らかに私が原因だったこともあります。

「もっと違う関わりができていたら」と深く自問したことも、1度や2度ではありません。

部下の退職は必ずしもすべて上司の責任ではないですが…
一方で、上司のあり方が部下の未来を左右することも、紛れもない事実です。

部下にとって上司とは、 単なる仕事上の指示者ではありません。
社会に出たばかりの頃は特に、

  • 社会での親のような存在
  • 成長を見守ってくれる存在
  • 自分を信じてくれる存在

こうした意味合いを持つことも多いです。

だからこそ、部下に関心がない・きつく当たる・向上心を失っている上司に失望し、退職を選ぶ部下がいます。上司の影響力は、想像よりもとても大きいのです。

上司が変われば、チームも変わる。未来も変えられる。

今回はその第一歩として、

  • 部下が辞める原因
  • 上司にできる防止策
  • そして、自分自身を見つめ直すチェックリストをご紹介していきます。

自分を責めるためではなく、未来を変えるために。 一緒に歩んでいきましょう。


【自己点検】部下との関わりチェックリスト

まずは、今の自分自身を振り返ってみましょう。 以下の項目に、〇(できている)△(たまにできている)×(できていない)で答えてみてください。

  1. 部下の話をさえぎらず、最後まで聴いているか?
  2. 部下に対して、日常的に「ありがとう」と伝えているか?
  3. 部下の小さな成長をフィードバックしているか?
  4. 部下の失敗を責めず、一緒に改善策を考えているか?
  5. 部下に関心を持って接しているか?(仕事以外の一言も含めて)
  6. 自分自身も学び続け、成長する姿勢を見せているか?
  7. 部下に「期待」や「信頼」を言葉で伝えているか?
  8. 一方的な指示ではなく、対話を重視しているか?
  9. 部下が失敗を恐れず挑戦できるようサポートしているか?
  10. 比較ではなく、部下自身の成長を認めているか?

結果はいかがでしたか?

完璧な上司はいません。大事なことは、これからどう自分を変えるかです。


部下が辞める主な原因とは?【厚生労働省データより】

2023年、厚生労働省「令和5年雇用動向調査」の結果では、部下(従業員)が退職する理由の上位は次の通りでした。

  • 職場の人間関係が好ましくなかった(男性9.1%、女性13.0%)
  • 労働時間・休日などの労働条件が悪かった(男性8.1%、女性11.1%)
  • 給料等収入が少なかった(男性8.2%、女性7.1%)

この中でも特に注目したいのが、 「職場の人間関係」です。

つまり、部下が退職する最大の引き金は、 仕事内容や給料だけではなく、日々の人間関係、特に上司との関係性にあるのです。


部下の退職を防ぐ!上司にできる5つの改善策

1.成長を実感させるフィードバックをこまめに行う

日頃から部下とのコミュニケーションをとっていますか。
雑談も大事ですが、まずは部下の仕事に関してこまめにフィードバックをしていきましょう。
「出来て当たり前、出来なかったら注意」これだけでは信頼関係を築けません。

  • 「資料ありがとう。随分、仕上げが早くなってきたね」
  • 「プレゼン、1回目よりも格段にわかりやすくなってたよ」
  • 「スムーズに報告助かる。もう任せて安心だよ」

小さな変化も拾い上げ、積み重ねてフィードバックしていきましょう。

2.心理的安全性をつくる

部下が安心して意見を言える上司、安心して挑戦できる上司になっていますか。失敗を責めたり、感情的に振る舞う上司のもとでは、部下は委縮します。

  • 「率直な意見ありがとう。教えてくれて助かるよ」
  • 「チャレンジした経験が大事。いい勉強になったね」
  • 「ミスしたときには次にどうすればうまくいくか、考えるんだよ」

ご自身もたくさんの挑戦を経験して、成長してきたはずです。
とはいえ、部下を放ったらかして「好きにやって」は×
部下の方がミスを恐れずに挑戦できる環境、そしてミスが起こる前に防げるフォロー体制を上司が作りましょう。

3.期待と感謝をしっかり伝える

日常の中で、「承認の言葉」を積極的に伝えていますか。

  • 「この案件は〇〇さんにお願いしたいと思っている。〇〇さんなら出来るよ」
  • 「忙しい中でも支えてくれて本当に助かってるよ。ありがとう」

上司の期待には応えること、上司やお客様から感謝されることは、部下のやりがいにつながります。

4.対話を増やす

普段から部下との対話を大事にしていますか。
対話が少ない上司と部下は、心の距離が生まれやすくなります。
そのため、仕組みとして1on1を取り入れているチームも多いですよね。

  • 「この方法について、〇〇さんの意見を聞かせてほしい」
  • 「〇〇さんがもっとやりやすい方法があったら教えてね」

部下の意見を尊重し、主体性を引き出しましょう。

5.自己承認力を高める関わりをする

上司としての関わりで何よりも大切なのは、 部下が自分自身を信じ、前に進める力を育てることです。

  • 「比べる必要ないよ。昨日の自分より一歩進めたなら素晴らしい」
  • 「〇〇さん、自分自身の成長に自信を持っていいよ」

部下自身の成長を認め、自己承認力を育む関わりをしていきましょう。


おわりに:自分を振り返る習慣をつけよう

いかがでしたでしょうか。退職の理由は、人それぞれ異なります。
そして、多くの場合「人間関係が原因」とは言いません。他者を悪く言って辞めたくないからです。
家庭の事情、他にやりたいことがある、など本音を隠して退職していきます。

どんな理由であれ、部下の退職に直面したときには、今の自分にできることは何か? もっと良い関わりができないか? と問い続けることが重要です。

退職を「ただの人手不足」と片づけず、上司として自分を映す鏡だと捉えてみてください。
そのうえで、1日の終わりにこんな問いかけを自分にするのはいかがでしょうか。

・今日、部下にかけた〈承認の言葉〉は?
・今日、自分自身をねぎらえた〈努力〉は?
・明日ひとつだけ変えてみる〈行動〉は?

毎日たった3つだけでも、この振り返りができれば自己承認力が高まり、部下との信頼関係も着実に育っていきます。部下の退職を減らす鍵は、あなた自身の小さな習慣の積み重ねです。ぜひ、今日から始めてみてくださいね。

あなたが変われば、チームが変わります。 そして、きっと、部下たちの未来も、変わっていきます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)