こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
上司として日々働く中で、「部下」という言葉を使う機会は意外と多いものです。
社内のやりとりだけでなく、社外での名刺交換や取引先への紹介、メール文面、報告書、プレゼンなど、場面はさまざま。
一方で、「部下」という表現をしない管理職の方も増えてきています。

「部下」と聞いた相手はどう感じる?
言葉には必ず、発する「発信者」と受け取る「受信者」の両方の感覚が存在します。
上司の立場である私たちにとって「部下」というのは単なる役割の呼称でも、相手には「上下関係の強調」と受け止められることもあります。
特に以下のような場面では、言い方一つで空気が変わります。
- 初対面の相手に人を紹介するとき 「部下を紹介します」
- 社外メールで同席者を説明するとき 「部下の〇〇も同席いたします」
- 会議で別部署の方にメンバーを紹介するとき 「私の部下の〇〇さんです」
こうした場面で「部下」という表現を使うと、相手は「なるほど、この人は上司で相手は部下なんだ」と理解します。
しかし同時に、「関係性が縦で固定されているんだな」というニュアンスも伝わるのです。
「部下」と言いたくないけど…どうする?
「部下」という言葉を避ければ良いかというと、それだけではありません。
業務上の説明や役割の明確化には必要な場合もあります。
たとえば労務管理や責任の所在を明確にする場では、「部下」という表現の方が正確な場合も多いのです。
大切なのは、場面や相手によって言い換える力です。
今回は、文章や会話で自然に使える「部下」の言い換え7パターンを、使用例とともにご紹介します。
そして、どんな場面でどう使い分ければ効果的なのかを解説します。
「部下」の使用例:責任の所在・役職を強調するときに
最近は、役職を呼ばずに全員「〇〇さん」と呼び合う企業も増えてきましたよね。
私自身も、一緒に働く仲間に対して「あなたは部下なんだから」と言ったことはありません。現場で一緒に働いているときは、役職はどうあれチームメイト。「部下」という言葉がしっくりこなかったからです。
ただし、組織上は私が管理職で、一緒に働く仲間は「部下」にあたります。社外の方との会話、上層部への報告など、必要なときに「部下」という表現を使ってきました。
これは飲食店で勤務していた時ですが、社員に関しては「〇〇さん、〇〇社員」、役職がある方は「〇〇主任・リーダー」と呼んでいました。
一方で、クレーム対応など責任の所在や役職を明確にする必要がある場面では、「部下に指導いたします」と、あえて「部下」という言葉を使うこともありました。これは責任の所在をはっきりさせ、相手に安心感を持ってもらうためです。
クレームに対して、責任者が「メンバーに指導いたします」と表現するのは、
やや管理職の責任感が薄く感じ、やはり違和感を感じますよね。
こうした使い分けは、「今この場面で相手に何を伝えたいか」を考えた結果です。
だからこそ、言い換えのバリエーションを持っておくことが、上司にとっては大きな武器になります。

文章や会話で使える!「部下」の言い換え7選
普段の会話や文章の中では、部下を言い換えると印象が柔らかくなることがあります。
チームの雰囲気や相手との関係性を踏まえて、ご自身がしっくりくるものを選んでいただけたらと思います。
1. 後輩
社内やカジュアルな会話で自然に使える表現です。
年齢や入社順が明確な場合にスムーズで、「上下の命令関係」よりも「経験や年次の差」を示します。
会話例
「部下が担当しています」
⇒「後輩の佐藤が担当しています」
文章例
今回のプロジェクトは、後輩の山田が中心となって進めています。
2. スタッフ
接客や販売、イベント運営など、お客様や外部向けに説明するときに柔らかく響く言葉です。
社外の方が「部下」という表現に違和感を持ちにくくなります。
会話例
「部下が対応します」
⇒「スタッフの田中が対応します」
文章例
会場設営は当社のスタッフが担当いたします。
3. 業務パートナー
役割や専門分野は違っても、同じ目標に向かって動く存在として紹介できます。
上下関係よりも「協力関係」や「信頼関係」を感じさせる言葉です。
社内だけでなく、社外の相手にも安心感を与える表現です。
会話例
「部下と一緒にまいります」
⇒「業務パートナーの鈴木と一緒にまいります」
文章例
本日の打ち合わせには、私の業務パートナーも同席させていただきます。
4. 担当者
役割や責任を正確に示す表現です。ビジネスメールや契約書類でも違和感なく使えます。
社外に説明する際に最も無難で安全な表現のひとつ。
会話例
「部下がこの案件を進めています」
⇒「担当の松本がこの案件を進めています」
文章例
詳細は、弊社担当者よりご案内いたします。
5. チームメンバー
「同じ目標を持って働く仲間」というニュアンスを強調できます。
上下関係のニュアンスを薄め、協力関係を前面に出すときに有効です。
会話例
「部下が対応します」
⇒「チームメンバーの中村が対応します」
文章例
今回の発表は、チームメンバーが担当いたします。
6. 同僚
社外に「自分と同じ組織に所属している人」と説明するニュートラルな言い方。
対等な関係を演出できます。
会話例
「部下と参加します」
⇒「同僚と参加します」
文章例
このイベントには、同僚も一緒に参加いたします。
7. メンター/メンティー
あまり耳馴染みがない方も多いですが、育成や指導の関係性を明確にしたいときに使います。
「メンティー」は指導を受ける側を指すビジネス用語です。
相手がメンター・メンティーという用語を使用する方であれば、自然に伝わる言葉です。
会話例
「部下の成長を見守っています」
⇒「メンティーの成長を支援しています」
文章例
私は3人のメンティーを担当し、それぞれの成長をサポートしています。

まとめ:言葉が変われば、関係が変わる
いかがでしたでしょうか。
「部下」という言葉は決して悪いものではありません。
しかし、その響きやニュアンスが相手との距離感を生むこともあります。
こちらのコラムでも「部下」と言う言葉の類語を紹介していますので、チェックなさってみてください。
現場で「〇〇さん」と呼ぶことで、仕事のやりやすさや関係の柔らかさがぐっと増す、あえて「部下」と表現することで責任の所在を明確にし、安心感を与えられる場面もある。
大事なのは「使い分けること」です。
- 社内か社外かで変える
社内では親しみやすく、社外では役割が明確になる表現を優先。 - 文章か会話かで変える
文章は簡潔に、会話は相手との距離感を意識して柔らかく。 - 相手の立場を想像する
紹介された人がどう感じるかを基準に。
「部下」という表現に違和感を感じる方は、これらのことから始めてみてはいかがでしょうか。
- 会議や打ち合わせで「部下」という言葉を一度だけ別の言い方に変えてみる
- 社外メールの紹介文で「担当者」や「業務パートナー」を試してみる
- 一緒に働く人を紹介するときに「チームメンバー」「同僚」と表現してみる
上司であるあなたの言葉選びは、部下にとって働きやすさとやりがいを感じられる職場づくりの第一歩です。あなたの言葉でチームをもっと温かく、強くしていきましょう。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)