こんにちは!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「どうすれば部下がもっと成長するのか?」

上司の人材育成に関する悩みは、時代が変わってもAIが進化しても、変わらずにあり続けています。

私自身も20代からあれこれ悩みながら、人材育成に携わってきました。
そんな中で多くの方と出会い、様々な手法を学ぶうちに、
人の成長に必要な“順番”は、「何百年も前から変わっていないのでは」と思うようになりました。

そのヒントとなるのが、「守破離(しゅ・は・り)」という考え方。
提唱者は、複数説があるので出所はさておき、
この守破離を一本の軸にして、“人材育成の本質”を整理していきます。

守破離とは?歴史ある指導法から学べること

守破離という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「武道や芸道において目指すべき修練の過程や段階であり、師の教えてを乞う人の取るべき態度や考え方を記した言葉である」(Weblibo辞典より)

  • 守:師から教わった型(やり方)を徹底的に守り、基礎を身につける。
  • 破:型が身についたあと、他の型も研究しつつ、自分に最も合う形を探り、既存の型を破っていく。
  • 離:既存の型と自分の型の両方を理解した先で、型を離れ、自然体で技が出せる境地に至る。

守破離は、教わる人の心構えとしての言葉ですが、これをそのまま指導者にも当てはめることが出来ます。
なぜなら、人の成長は「順番」を無視するとうまくいかないからです。


人材育成は、「型」を伝えることから始まる

部下育成は、まずは「型」を丁寧に伝えることが必要です。
型というとカッコよく聞こえますが、要するにこんなことです。

  • やり方
  • コツ
  • 気をつけるポイント
  • まずはここまでできればOKという基準

この型を忠実に守ることを伝えるのが「守」です。
そのため、指導者も何かを部下に伝える際には、型を伝えられるように基本にかえる必要があります。

部下の成長スピードは大きく変わります。

逆に、ここを飛ばすと、
どれだけ頑張っても成果につながるまでが遠回りになってしまいます。


原則①:型を伝えれば、部下は迷わない

人が新しく何かを覚えるとき、一番つまずくのは「基準が見えないこと」です。

・何を真似すればいいのか
・どこまでやればOKなのか
・どこを気をつければ失敗しないのか

これが見えてないままスタートすると、不安と迷いがでてきます。

意外に多いのが、「やり方」は伝えているが
・具体的なゴールのイメージ
・気を付けるポイント
・ありがちな失敗例
これらを伝えていないという事例です。

最初に丁寧に「型」を伝えることで、部下は“迷わずに動ける状態”になります。
そして、動ける人ほど成長は速い。


原則②:「まずやってみて」は順番が逆

私も経験がありますが、ついやってしまいがちな指導があります。
「とりあえずやってみればわかるよ」「まず、一回やってみて」

もちろん指導する側に悪気はありません。
言葉で細かく表現するのが苦手な方や
部下の主体性を育てたい、経験して覚えてほしいなど、
理由はさまざまだと思います。

しかし、この指導は順番が逆なので、成長に時間がかかる場合が多いのです。

部下が自己流で始める
→ 上司が見てダメ出し
→ 部下は修正しながら型に寄せていく

部下が最初から知識豊富だったり筋が良い場合は、
スムーズに指導が進むかもしれませんが
そうでない場合は、修正が多くなるため成長が遅くなっていきます。

自己流でやってしまうと、クセがついたり、
誤った習慣が根付いたりして直すのも一苦労です。
何より、ダメ出しがベースの指導になるので部下のモチベーションも下がります。

最初に丁寧に「型」を伝えていれば、10分で終わる指導が、
自己流スタートだと数日かかっても身につかないことがあります。

“まずやれば育つ” は、育成の王道ではありません。


原則③:型の意味がわかると“主体性”が育つ

守破離の“破”“離”に当たる部分、つまり自分で考える力や工夫する力は、
型があるからこそ育ちます。

最初に守があるから、破が生まれる。守と破があるから、離に向かえる。
主体性は、型を伝えたあと、初めて自然に育つ力です。

「型を伝えること」は
主体性を奪うどころか、主体性を育てるための土台なのです。

部下に指導をする際には、「型」を最初に丁寧に伝えるところから始めましょう。

私は、企業様の人材育成のご相談に乗る際には、最初に「マニュアルの有無」を確認します。
業務、作業、接客、電話対応、クレーム対応…どのお仕事にもマニュアルがあることが望ましいです。
新人さんの指導だけでなく、引継ぎやベテラン社員さんが基本にための指導にも使えます。
ぜひ、チームのマニュアルが整備されているかを確認をなさってみてください。

明日からできる「型を伝える」3つの育成法

すぐに実践ができる「型」の伝え方3つをご紹介いたします。

  • 「ゴールのイメージ」と「目的」を伝える
    →ゴールの姿が分かると、人は動きやすくなる
  • 手順をシンプル・具体的に伝える
    →複雑にしないことが、動きやすさにつながる
  • NGポイントを1つだけ先に伝える
    →「これだけ気を付けよう」と伝えるだけで安心感が増す

このあとの進捗確認も大事ですので、すり合わせをしながら進めていきましょう。
「これであっている、これは方向性が違う」というフィードバックをすることで、
型の土台がしっかりとつくられます。
あとは、主体的に自分で工夫をして進めてもらえばいいのです。


まとめ:「守→破→離」順番が整うと育成はうまくいく

いかがでしたでしょうか。
守破離の本質は、とてもシンプルです。

守(型)を伝える → 破(工夫)が生まれる → 離(その人らしさ)が育つ

この順番が整っていれば、人は必ず成長できます。
「いつも同じことを指導している」「部下が成長しない」

もし、そんな部下育成のお悩みをお持ちならば、
指導する際の「守破離」が崩れているからかもしれません。

機械の説明書を読んで、ある程度学んでから操作するのか。
まったく読まずに、自己流であちこち触って操作するのか。

どちらの方が正確に、トラブルなく操作ができるでしょうか。

何事も基本の型が大事ですね!
人材育成は、そこを意識するだけで驚くほどうまく回り始めます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)