こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「“人材育成”と“人財育成”、どちらが正しいんだろう?」

そんな小さな疑問を抱くと、言葉ひとつでも不安になりますよね。
「人材・人財」あなたはどちらを使っていますか。

最近は“人は財産だから人財と書くべきだ”という考えも広まり、
企業理念やキャッチコピーで見かける機会も増えましたよね。

一方で、公的書類や制度の中では「人材育成」が使われています。

では、実際の違いはどこにあるのでしょうか?
今回は、言葉の違い・企業での使われ方・育成の本質の3つの視点で整理していきます。


1.「人材と人財」辞書の意味から見てみる

「人材」は、辞書に記載されている正式な言葉

まず結論からお伝えすると、「人材」は正式な日本語で、辞書に明確に記載されている言葉です。
国語辞典では“人材”は「才能・能力のある人。役に立つ人物」と定義されています。

そして実は、“材”という漢字自体に 「才能・素質」 という意味があるのです。

つまり、「人材」と書くからといって、“人をモノ扱いしている”という解釈は誤りです。
本来は、人の能力を肯定的にとらえた言葉だからです。

人材派遣、人材紹介、人材開発、人材戦略……
こうした公的・実務系の用語がすべて“人材”を使うのは、
正式な日本語だからなのですよね。


「人財」は、辞書によっては未掲載。ただし一部が採用を始めた段階

人財は、もともとは企業が理念として使い始めた造語で、
“人は会社の財産である”という価値観を表す言葉です。

最近は一部辞書で“人材と同義”として掲載されるケースも出てきましたが、
まだ一般化しているとは言えません。


公的書類は「人材育成」で統一しよう

補助金申請、人事制度、労務関連の正式文書では「人材育成」で統一することをおすすめします。

理念として使うなら“人財”でも構いませんし、社内資料ならば、自社のトップがつかっている表現をそのままつかうのがいいと私は考えています。
言葉を合わせることは、思いを合わせることです。

ただし、実務文書なら“人材”が一般的です。


2.企業での一般的な使われ方の違いを見てみる

企業では、次のように使い分けられることが多いようです。

◆「人材」は、中立的・実務的な言葉
◆「人財」は理念・想いを表す言葉


採用、人事制度、研修、制度設計など
あらゆる実務の世界では“人材”が基本的にはつかわれています。

これは
・中立的で誤解がない
・行政・法律用語でもある
という理由からです。

一方、「人材」という表現は、
・社長メッセージ
・企業ビジョン
・採用コンセプト
・文化づくりのキーワード

こうした“気持ち・価値観”を伝える場面で使われます。

正式には、どちらを使ってもいいですし、
同じ言葉と捉えて問題ありません。


3.言葉の違いよりも「育成」の本質にこだわる

本当に大切なのはここからです。

「人材」「人財」のどちらを使うかよりも、
人をどう育てるか のほうが圧倒的に重要です。

人材育成には、2つの大きな領域があります。


①スキル(作業をする能力)

・業務の知識
・判断基準
・効率化の技術
・成果を出す方法

多くの職場では、この“スキル指導”ばかりに偏りがちです。


②人間性(仕事の土台になる力)

・挨拶
・コミュニケーション
・共感
・協働姿勢
・視野の広さ
・倫理観
・関係構築力

こちらは“人としてのふるまい”であり、
スキルと同じ、もしくはそれ以上に重要です。

「スキル」と「人間性」
この両輪が揃って初めて、人が長期的に成長し、
チームに貢献できるようになります。

人材育成には「自分自身を育てること」も含まれる

人材育成というと、どうしても“部下を育てること”だけをイメージしがちです。
しかし本来は、上司である自分自身も人材であり、育て続ける存在です。

・視野を広げる
・関わり方を磨く
・人としての姿勢を整える
・学び続ける

これらを続ける上司の背中こそ、部下にとって最も強い“育成環境”になります。

「育てる側も成長する」
それが人材育成の本質なのだと、私は考えています。


まとめ:言葉よりも大切なのは“育成の中身”

いかがでしたでしょうか。

◆辞書的には
「人材」は正式な言葉。公的書類は「人材」を使いましょう
「人財」は理念的な表現(最近一部辞書が掲載)

◆どちらを使っても構わない。育成の中身が大切

◆「人材育成」とは
スキル × 人間性 の両輪で人を育てること

部下を育てるためには、自分自身も育ち続ける必要がある

言葉選びに迷うということは、“部下の成長を大事にしたい”という思いの表れではないでしょうか。
その気持ちがある時点で、あなたはすでに素晴らしい上司だと思います。

今回の学びが、あなたの人材育成のヒントとなりますように。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)