こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「人材育成がうまくいかない…」
多くの管理職の方が一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

部下のためを思って関わっている。
指導もしている。決して放置しているわけでもない。

それでも、部下が育たない。チームがまとまらない。
気がつけば、自分だけが疲弊している。

こんなとき、「部下の問題」「時代の問題」に目が向きがちですが、
現場を見続けてきた立場からお伝えすると、
人材育成がうまくいかない原因は、違うところにあるかもしれません。

今回は、人材育成がうまくいかなくなる理由を5つに整理しながら、「どうすれば立て直せるのか」を順番にご紹介いたします。


人材育成がうまくいかないとき、4つの段階を確認する

これまで多くの管理職の方と出会ってきましたが、
人材育成がうまくいかない方の多くは、
4つのうちのいくつかを飛ばしていることがあります。

まずは、この4つの段階を確認していきましょう。
1.行動/基本業務
2.責任/役割・チーム意識
3.影響/判断・思考
4.存在/在り方

これらの土台が積み重なって、初めてスムーズに人材育成が機能します。
うまくいかないときには、もしかしたら取りこぼしている段階があるかもしれません。
管理職になって、「自分の在り方」や「影響力」だけを整えようとして、うまくいかなくなるケースも非常に多いです。


理由1:上司自身の「基本の行動」が整っていない

最初に確認すべきは、上司自身の行動です。
社会人一年目に、先輩から教わる「基本の業務」「基本の行動」です。

・自分から挨拶をしているか
・表情はどうか
・身だしなみは整っているか
・言葉遣いや態度はどうか
・基本業務を丁寧にこなしているか
・約束や期限を守っているか

例えば、
「自分から部下に気持ちのいい挨拶ができない」
そんな上司がどうやって人材育成をするのでしょう。
どうやって部下のモチベーションを上げられるのでしょう。

忙しい、余裕がない、立場が上だから。それは理由にはなりません。
どれだけ正しいことを言っても、基本行動が崩れている上司の言葉は、部下に届かないのです。


理由2:丸投げする、抱え込みすぎている

2つめは責任「役割を果たし、自分で何とかする力」の使い方の確認です。

例えば
・自分がやらなければ仕事が回らない
・任せるより、自分でやった方が早い
・部下に任せるのが不安

そんな責任感の強さの結果、仕事を手放せず、指示が細かくなり、
部下が考えなくなるパターン。

逆に、目的や詳細を伝えずに、部下に仕事を丸投げするタイプは、
部下が失敗をしやすくなり、不満も抱えやすいので
こちらも部下育成にはつながりません。

人材育成とは、代わりにやることでも、代わりにやらせることでもありません。
部下が自分で考え、動ける環境を整えることです。


理由3:ダメ出しが多く、承認が足りない

指導とダメ出しは異なります。
・ここがダメだ
・なんで出来ないんだ
・これくらいできないでどうする

ミスをした部下に対して、原因や改善点だけを淡々と伝え続けていないでしょうか。
短期的には、ミスが減ったり改善がみられるかもしれませんが、
タイプによっては全くの逆効果になることも多い手法です。

「怒られたくない」「指摘されたくない」
部下がそんな発想で仕事に取り組むようになってしまうと、
萎縮してミスが増えたり、挑戦をしなくなり、指示待ちになりやすいのです。

上司は一度、自分の影響力を考えて
言葉にする前に「何を伝えたいのか?」を確認する必要があります。


理由4:役職を錯覚している

管理職になると、無意識に起こりやすいズレがあります。
・指示する
・指導する
・仕切る
そんな役割をするため、「自分は偉い」と錯覚をしてしまうことがあるのです。

上司部下、という表現もよろしくないと個人的には思うのですが、
自分が「上の立場だ」という意識が強くなると、人材育成はうまくいきません。

例えば、
部下の意見を聞く前に結論を出してしまう。
説明より命令が増えている。
自分が正しい前提で話している。

こういったことはありませんか。

役職は、上下の立場を決めるためのものではありません。
チームを機能させるためのものです。
役職の意味を取り違えた瞬間、人材育成は止まってしまいます。


理由5:上司自身の「在り方」がズレている

5つ目のは、「在り方」です。
在り方とは、どんな心構えで、どんな信念を持って仕事をしているか。

例えば、
・上司の顔色ばかりを見て仕事をしている
・部下を下に見ている
・「有難い」という感覚が薄れている
・仕事をこなすだけの状態になっている

そして、日々の行動にその人の「在り方」がにじみ出ます。

仕事ができるのに、部下に慕われない。
野心があるのに、チームが成長しない。

そんなときは、自分の「在り方」を見直すと良いかもしれません。


管理職こそ、最初の「行動」に戻る

チームがうまく前に進まないとき、管理職がやるべきことは明確です。

もう一度、行動からやり直す。基本に戻るのです。
・挨拶を丁寧にする
・表情を整える
・言葉遣いを見直す
・基本業務を丁寧にこなす
・約束を守る

行動が整えば、責任感が戻ります。
責任が戻れば、判断や思考が健全になります。
その積み重ねの先に、在り方が整います。

これは精神論ではなく、実務的な立て直し方法です。

これまで多くのチームを見てきましたが、部下から支持されない上司には共通点があります。
・挨拶をしない
・不機嫌
・偉そうにしている
・感謝と謝罪が苦手
・約束を忘れる、守らない
・嘘をつく

本当に、基本的なことが欠けてしまっているのです。

自分の振る舞いを見直すのは、痛みが伴うこともあります。
「人材育成が進まない原因が自分だった」
私自身、ここに気づき、受け入れるまでに随分と時間がかかりました。
しかし、やり直しは出来る。それも身をもって経験しました。


人材育成は「部下を変えること」ではない

いかがでしたでしょうか。
人材育成がうまくいかないとき、私たちはすぐに相手を変えようとします。
しかし、真っ先に取り組むのは部下へのアプローチではありません。

上司自身の
行動 → 責任 → 影響 → 在り方
この順番を見直すことです。

この順番が整った上司は、特別なことをしなくても、こんな風に言われるようになります。

「上司がお手本」「この上司と一緒に働きたい」

人材育成がうまくいかないと悩んでいらっしゃる時点で、
あなたはすでに真摯に課題に向き合っている管理職です。

必要なのは、気合でも反省でもなく、順番の見直し
です。
「人を育てたいなら、自分を育てること」

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)