こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「この部下、本当に苦手…」
「話しかけられるとイラッとする…」
「なんであんな態度を取れるの?」

あなたには「自分と合わない部下」はいらっしゃいますか。私はかなりの人数いました!
合わない部下にはいつも不満を抱いていましたし、感情的になってケンカもしました。そんな自分にも嫌気がさした時期もあります。

しかし、様々な学びをしていく中でこんな風に考えるようになりました。
「人と人だから相性がある。合わない人がいるのは自然なこと」

一つ屋根の下で暮らす家族でも価値観が合わないのに、他人で構成される職場が相性ピッタリなはずがないのです。

今回は、部下に対して「嫌い!うざい!むかつく!!」とお感じになっている方へ10の対策をご紹介いたします。一緒に見ていきましょう!


苦手な部下は、自分の「影」かもしれない

心理学の用語に、「シャドウ(影)」という言葉があります。
これは、自分の中にある“受け入れ難い部分”を、他人に投影して嫌悪する心の仕組みのことです。

たとえば

  • 自分はいつも真面目にやっているのに、テキトーな部下を見ると腹が立つ
  • 自分は我慢して周りに合わせて生きているのに、好き勝手に振る舞う部下にイライラする

簡単に言えば、自分にある同じ要素の種を「やってはいけない」と抑圧していることを目の前でやられると嫌悪感を抱くのです。

心理学を学び、これを知ったときは目から鱗が落ちました。
当時、私にはどうしても苦手だと思う方がいました。お相手には申し訳ないですが、良い人なのになんか腹が立ってしまうのです。

自分の気持ちを整理しながら、改めてその方の要素を挙げてみると…
可愛らしい、控え目、趣味に没頭、仕事はそこそこ、甘え上手、女子~って感じです。

完全にシャドウだと判明しました(笑)
趣味や休みはそっちのけで仕事に明け暮れていた私。頼る人もいないし、甘えるなんて出来ません。
自分が我慢していることを堂々と目の前で実現する彼女に対して、抑圧された私の心が反応していたのです。

「私は彼女が羨ましかったんだなぁ…」不思議なことにそこに気がついてから、自分の感情も穏やかになり、関係性も少しずつ変化していきました。


合わない部下への10の対策

それではここから、合わない・苦手な部下への向き合い方を、自己承認力の視点から10個ご紹介します。

1. 自分の感情を否定しない

「嫌だな」と感じている自分を否定しないでください。
いつも、自分だけは自分の味方でいること。誰に何を感じても、正解・不正解はありません。
みんなを平等に好きになるのは無理です。大事なことは、「仕事相手として一定の接し方ができるかどうか」です。


2. なぜ苦手なのかを言語化する

感情で「嫌い・苦手」と感じていても、具体的にどの言動がストレスなのか整理してみましょう。

  • 無愛想で返事をしない
  • ルールを守らない
  • 攻撃的な物言いをする

行動を明確にすることで、「人格の否定」ではなく「行動の改善」として指導しやすくなります。


3. 「シャドウかもしれない」と問いかけてみる

「なぜこんなに反応するのか?」と掘り下げてみると、自分の中にも似た要素があることに気づくかもしれません。

  • 怒りっぽい人が苦手 → 自分も本当は怒りを出したい?
  • 押しが強い人が苦手 → 本当は自分も強く出たい?

これは、「自分を知るヒント」になります。
苦手な相手が“反面教師”となり、学びをくださることはたくさんあります。


4. 感情と評価を切り分ける

苦手な相手に対して、どうしても評価を厳しくしてしまう…それでは公正なマネジメントができません。感情で部下の評価を変えるのは、上司として失格です。
「感情と事実は別」と切り分けて評価することで、相手との関係もフラットに整います。


5. 指導をする際は「行動」に向けて

怒りやイライラが溜まっているときこそ、冷静になるように心がけましょう。
感情的なままで指導をするのはNGです。

✕「なんで報告書出さないの?やる気がないよね」
〇「Aさん、報告書の提出が2回遅れているね。提出が遅れると部署の業務が止まるんだ。今後、期日を厳守するにはどう工夫をしていく?」

淡々と事実ベースで伝えることで、無用な対立を防げます。


6. 相手の“強み”を見出す視点を持つ

どんな方にも「強み」があります。それが今の役割やあなたの価値観とズレているだけかもしれません。

  • マイペース → 冷静に周囲に流されない、自分の軸を持っている
  • 慎重すぎる → 丁寧に仕事を進められる、リスク管理をしながら行動している

物事を多角的に見ながら、「この強みはどこで活かせるか?」という視点を持つと、評価の角度が変わってきます。


7. 感情が出たら一定の距離感を保つ

感情のコントロール方法の一つです。相手との時間や距離を意識的においてみます。
距離が近くなるほど、感情が出やすくなるのです。
部下は「仕事関係者」です。仕事がスムーズに進められる関係性を「フラットに、安全に」保つ工夫をしてみましょう。


8. 自己承認力を高める

他者を受け入れるためには、まず自分を受け入れることが先です。

  • 「今日はイライラして当然だよ」
  • 「それでも冷静に対応していて、自分はよくやった」

こうした自分を労う習慣を日々つけていくことが、感情のコントロール力を育てていきます。

私はシャドウの存在に気がついてから、自分を労うことを重点的に行いました。
「本当は頼りたいよね」「甘えたくて当然だよね」こんな風に自分を受けいれるのです。
自分を受けいれることが出来ると、他者にイライラすることも減ってきます。ぜひチャレンジしていただきたい習慣です。


9. 外部に相談して視野を広げる

一人で抱え込むと、視野が狭くなります。信頼できる友達や外部のコンサルに話すことで、「あ、それでよかったんだ」と思えるヒントがもらえることも。
誰かに話すこと自体が、“自分の感情を整理する時間”にもなります。
一つ、社内で相談相手を見つけることはお勧めしません。利害関係のない、何でも話せる相手が理想的です。

10. 手放す選択肢も考慮する

すべての関係性が改善できるわけではありません。お互いにどうしても合わないと感じたら、異動・担当替えなどの「手放す選択」も上司の判断です。
実際に部署異動をしてから水を得た魚のように、生き生きし始める方もいらっしゃいます。
重要なのは、チームの健全性を守るための判断力です。


まとめ:合わない部下は「学びのドリル」

いかがでしたでしょうか。
嫌い・うざい・むかつく!そう感じてしまう部下との関係は、上司として本当にしんどいものです。
しかし、一度向き合ってみることは、人間力を高める“最高の実践の場”にもなります。

私自身、シャドウという考え方を学んでから、あえて苦手な部下にも積極的に接するようになりました。
苦手な相手には、スキルでコミュニケーションをとるのです。

自分と違う価値観の相手だからこそ、学べることがたくさんあります。
「自分の器を広げる練習ドリル」
そう思えると、どんな人間関係も、自分の成長に変わっていきます。

今回は、対処法を10個ご紹介いたしましたが、まずは「嫌いな相手がいる」ということを受け入れ、
そこからご自身と向き合う一歩を踏み出してみましょう。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)