こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みくださりありがとうございます!

今回のテーマは「教えたがり先生病」です。すごいテーマですw

あなたの周りにこんな方はいませんか?
「これを知っていた方がお得!」「良いことだから教えなくちゃ!」という思いが強すぎて、「これが正解!」「こうすれば成功するよ!」と押し付ける人。

・求めていないのに情報を伝えてくる
・1質問したら、あれこれ10アドバイスが返ってくる

どんなに親切心で行っていても、押しが強いと逆効果。相手が実は嫌な思いをしていて、離れていくことがあります。

こういった「教えたがりな人」や「お節介を焼きたい人」の心理には、承認欲求 が絡んでいることが考えられます。「誰かに認めてもらいたい」「頼られたい」という承認欲求はどなたにでもあるものです。その欲求を満たすための行動なのかもしれません。


なぜ「教えたがり」になってしまうのか?2つの承認欲求

では、なぜ人は「教えたい」や「お世話を焼きたい」という気持ちになるのでしょう?その大きな理由は、先ほども触れたとおり、誰もが持つ 2つの承認欲求 が関係しています。

1.人の役に立ちたい承認欲求

「自分は役に立っている」「自分の知識や経験が誰かの助けになっている」と感じることで、自分の価値を感じて、自分を肯定することができます。お仕事でお客様に「ありがとう」と言われたり、上司から「助かったよ!」と言われると、やりがいを感じる方も多いのではないでしょうか。この承認欲求を上手に使って、自分のやる気や行動力につなげられるといいですよね。特に知識や経験が豊富な人は、人の役に立つ実感を得たいために「教えたい」という思いが強まり、過度な行動に出てしまうことがあります。

2.人に認められたい承認欲求

もう一つは、「認められたい」「尊敬されたい」という承認欲求です。「よくご存じですね!」「さすが○○さん!」と、褒められることで欲求が満たされます。この欲求は、褒められる機会が少ない職場や家庭で強まりやすく、こうした環境で日々過ごしている人に多く見られる傾向です。そのため「教えてあげたのに、相手のリアクションが薄い」と状況になると不満を持つ方もいます。

誰もが持つ承認欲求ですので、良いも悪いもありません。私は幼少期、親から「余計なことを言う」「一言多い」と怒られた時期がありました。口が達者な子どもだったのでしょう。当時は親の気を引きたくて「保育園の先生が〇〇だって!」「Aちゃんがこう言ってたよ!」とペラペラ喋って、承認欲求を満たそうとしていたのだなぁと思います。かわいいものです。


「教えたがり病」を克服する自己承認力の育て方

この「教えたがり先生病」を克服するためには、自己承認力を高めることがおすすめです。誰にでもある承認欲求を他者からの評価で満たすのではなく、自分で自分を満たしていきます。自己承認力が高まっていくと「自分自身にOK」を出せるようになり、「相手もOK」と思えるので、過度な心配をして教えたがりになったり、お節介を焼くことがなくなっていきます。

自分を労う習慣を作る

自己承認力を高めるための具体的な手法は、協会の講座で詳しくご紹介しています。その中の一つが「自分を労う」です。無理やり大げさに褒める必要はありません。自分の役割や頑張りを、自分自身で見つけて労う習慣をつけてみましょう。たとえば、「自分は今日、どんなことをしたかな?」と問いかけ、「あの仕事を順調に終えられたね」とか「あれはきつかったよね。嫌な気持ちになったけどよく言い返さず我慢したね」と、とにかく労う。自分のことを一番よくわかっているのは、自分です。自分で自分を満たすことを習慣に出来ると、自然と「誰かに認められたい」といった気持ちが和らいでいきます。

「教えたくなる気持ち」を振り返る

誰かにあれこれ教えたくなった時、まず「本当にこの人に必要か?」と振り返ってみましょう。言葉に出す前に、一旦考えるのです。「教えたい」という気持ちが「本当に相手のためだろうか?それとも自分が認められたいからだろうか?」と自分に問いかけるのも効果的です。このように考えることで、押し付けがましいアドバイスを避けることが出来て、相手に本当に必要な情報を、適切な言葉で冷静に伝えることが出来ます。

周りに「教えたがりな人」や「教えたい人」がいる場合の対応策

もし周りに「教えたがり」の方がいる場合、時間や手間がとられたり、教え方によってはイラっとしたりすることもあるかもしれません。では、そんな方にはどのように対応すればよいのでしょうか?受け止める側が少し工夫をすることで緩和することができます。

相手の承認欲求を受け入れ、傾聴トレーニングをする

どなたにでも、得意分野だったりよく知っていることについては、あれこれ教えたい!という衝動に駆られることはあると思うのです。例えば、年齢を重ねるほど「昔はなぁ」と過去を振り返って昔話をするのが好きになります。人は「懐かしさ」を感じると脳からドーパミンが出て気分が良くなるからです。相手が「教えたがりモード」になったら、受け入れて聴き上手になりながら、情報を収集するのも一つです。思わぬラッキーな情報が入ってくるかもしれません。傾聴力はコミュニケーションの基礎ですから、この機会を「傾聴トレーニングだ」と思いながら相手の話に耳を傾けるのもいいですよね。

感謝の言葉で穏やかに対応する

「教えたがり」の方は、「認められたい」「役に立ちたい」という気持ちが強いので、こちらも感謝の気持ちを言葉で伝えることで、相手の承認欲求を満たしていくことも大事です。例えば、たくさんのアドバイスをいただいたら、「教えてくださりありがとうございます!ここからは自分で考えてみますね」と伝えます。そして「わからないことがあったら、また〇〇さんにお伺いしてもいいでしょうか?」と、相手を頼りにする言葉をプラスで伝えることもおすすめです。感謝の気持ちを伝えながら、切り抜けるタイミングを見計らいましょう。

教えたがりを卒業するための言葉の使い方

ここからは、ご自身が「教えたがり先生病」を卒業するための方法をご紹介します。まずは、自分自身で「あ、教えたがりになってる!」と気がつくことが出来れば、大方改善です。
さらに「普段の言葉の選び方」にも注目をしてみましょう。「言葉は人格を表す」とも言われます。語尾や表現の仕方で、無意識のうちに上から目線を作り出しているかもしれないので、確認してみましょう。今回は、特に気を付けたい表現を1つご紹介します。

「~してあげる」を使わない

例えば「教えてあげる」「助けてあげる」「褒めてあげる」といった表現です。何気なく【~してあげる】を使っていませんか?
・助けてあげたい・支えてあげたい
・背中を押してあげたい・紹介してあげたい

上から目線に感じる言葉ですよね。尊敬している相手には使わないと思うのです。

自己承認力コンサルタント協会では、講師の方に「~してあげる」をNGワードとして紹介しています。受講者様とは上下関係はありませんし、講座・研修は考えを押し付けるものではないからです。

自分がしたいのだから「する」に変える

アドバイスもお世話焼きも、結局は自分がしたいからする。相手は求めていないかもしれません。
「~してあげる」を使う必要はありませんよね。「する」という表現で十分です。
・教える ・助ける ・褒める

自分自身に対しても同じです。「自分を褒めてあげる」「自分を癒してあげる」ではなく、「自分を褒める」「自分を癒す」というシンプルな表現がおすすめです。
ちなみに、当協会の講師は「教える」という表現もなるべく使わないようにしています。私たちは受講者様と一緒に学ぶスタンスをとっているからです。わざわざ「教える」という言葉を使わなくても、「お伝えする」「ご紹介する」「ご提案する」これらの言葉で伝わりますよね。


自己承認力を高めて「教えたがり先生病」を卒業しよう

「教えたがり先生病」は、無意識に陥るものです。私自身も「この方の役に立ちたい!」「こうすれば効率いいのに!」と思ったときに、アドバイスをしたくなってしまいます。しかし、相手が求めていなければ余計なお世話かもしれないのです。特に人間関係に少し距離がある場合には、押し付けにならないように意識する必要があります。

同じアドバイスであっても、“誰が言うか”でも変わってきます。自分自身のキャラクターや経験・年齢・役職も考慮すると良さそうです。

ここで、私が「教えたがり先生病」にならないために気を付けている3点を紹介いたします。

  • 求められたら、アドバイスをする
    相手から「どう思いますか?」と具体的に聞かれたときにだけ、自分の意見を伝えるようにします。どんなに良い意見であっても、相手が受け止められる状況かどうか、で変わりますよね。
  • アドバイスをするときは1回に1つだけ
    あれもこれもとアドバイスが頭にたくさん浮かんだとしても、伝えることは1つに絞るようにしています。本当に伝えたい大事なことを1つだけ。絞れないときにはメモを渡すなど、さらに伝え方に工夫をしています。
  • 反応を期待しない
    「アドバイスありがとうございます!」「凄いですね!」「勉強になりました!」こんな反応が返ってきたら嬉しいですが、そのために伝えるわけではありませんよね。自分が伝えたいことを伝えた、と思うように気を付けています。

たとえ「言うことはごもっとも」という内容であっても、相手が求めていなければ大きなお世話です。

「あなたのために言ってる」「あなたのためにやってる」それは本当でしょうか?

相手から感謝されなくても、うざがられても、伝えた方がいいなと思えますか。もしそんな内容でしたら、伝え方に工夫をしてお伝えしましょう。

私が大阪に住んでいたときのエピソードをご紹介します。電車から降りて歩いていると、後ろから男性に声をかけられました。その男性は私の横を通り過ぎながら「コートの後ろにタグがついてます」と小声で言って、そのままササーっと歩いて行かれました。慌てて確認しところ、クリーニングのタグをつけっぱなしで歩いていました…。私にとっては恥ずかしいエピソードですが、教えていただかなかったらそのまま長距離を移動していました。なんと親切で素敵な方なんだと感激しました。慌てて教えてくださった方の後ろ姿に「ありがとうございます!」と伝えましたが、きっとその方は「自分が教えてあげた!」なんて微塵も思っていないでしょう。

自分で自分を認め、前に進める行動力をつける。
教えたがり先生病から抜け出すためには、自己承認力を鍛えることがおすすめです。

身近にいる「教えたがり先生」に関しては、話をよく聴き、感謝して、認める。こういった「他者承認」を継続的に行うことで、相手の教えたがる癖がなくなることもありますので、お試しになってみてくださいね。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)/