いつもコラムをお読みくださり、ありがとうございます。自己承認力コンサルタント協会代表理事の山本まさのです。
私が担当するコラムでは、「自己承認力Ⓡ」に関する項目を中心に、様々なテーマを取り上げています。
「自分で自分を認めたい」。
そう願うこと自体は、決して悪いことではありません。むしろ、自己肯定感や内面的な安定にとって重要な欲求です。
しかし、もしあなたが──
「何か達成していないと、自分には価値がない気がする」
「今日はちゃんとできたかな?と常に自分を評価してしまう」
そんなふうに、“自分を認めたい”が“自分を追い詰める”になっているとしたら、それは「自己承認欲求が強すぎる」状態かもしれません。
今回は、そんな自己承認欲求が強すぎる人の特徴と、そこから抜け出すためのヒントをお伝えします。

自己承認欲求が強すぎる人の3つの特徴
「ちゃんとしなきゃ」が口ぐせになっている
強い自己承認欲求を持つ人は、つねに「ちゃんとできているかどうか」に自分の価値を委ねます。
予定通りに進まないとイライラし、完璧にこなせないと自己嫌悪。どんな行動にも“合格ライン”を設けてしまうのです。
たとえば…
「今日は家事も全部こなして、仕事も早く終わらせた。だから、やっと自分を認められる」
→ こうした思考は、一見前向きに見えても、条件付きの自己承認です。
“自己評価”が厳しすぎて苦しい
「もっと頑張らなきゃ」「まだまだ足りない」と、自分に厳しい反面、少しの失敗やミスで強く落ち込みます。
しかも、どんなに達成しても「まだダメだ」と自分にOKが出せない状態になりやすい。
つまり…
「承認を得ようとする行動」が、「不安に駆り立てられた自己チェック」にすり替わっているのです。
周囲から見ると“がんばり屋さん”
自己承認欲求が強い人は、外から見ると非常に努力家でストイックに見えます。
けれど、内面では「ちゃんとできない自分」への怒りや不安にさいなまれています。
時にそれは、周囲に「わかってほしい」「認めてほしい」というアピールにもつながります。
心理学における自己承認欲求の概念
マズローの欲求階層説における「承認の欲求」
アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求をピラミッド型に分類しました。
その中の4段階目が「承認の欲求」です。
これは、「他者から認められたい」という外的承認と、「自分で自分を認めたい」という内的承認に分けられます。
多くの人はこの2つをバランスよく求めていますが、どちらかに偏りすぎると精神的な不安定さを招くのです。
自己評価と外的評価の関係
自己評価が安定している人は、外的な承認に依存しません。
一方で、外的評価に依存している人ほど、「いいね」が減っただけで落ち込むなどの反応を示しやすくなります。
たとえばAさん(30代・女性)は、SNSで自分の料理写真が以前よりも反応が少なかったことに対して、「私にはセンスがないのかも」と自信を失ってしまいました。
これは、評価されない=存在価値がないという極端な思考パターンが働いているからです。
過剰な承認欲求が形成される心理的背景とは
その原因の多くは、幼少期の親からの評価や周囲の期待です。
「頑張っている時だけ褒められた」「他の子と比べられて育った」などの経験が、
「常に認められていないと不安」という深層の信念を作ってしまうことがあります。
自己承認欲求が強すぎることの落とし穴
本来、自分を認めたいという思い(自己承認欲求)は、自立や自己成長につながる大切な心の働きです。
しかし、それが過剰になると──
- 自己評価に振り回され、心が休まらない
- できなかった自分を強く責めてしまう
- 他者からの評価にも過敏になりやすい
結果として、「いつも疲れている」「頑張っているのに報われない」という感覚がつきまとい、自己承認が苦しさを生むという逆説的な状況に陥ってしまいます。
対処法と改善法:ラクになるための6つのヒント
「できたこと」に意識を向ける
自己承認欲求が強い人ほど、「足りないこと」「できなかったこと」にばかり注目しがちです。
あえて「今日やれたこと」を小さくても挙げてみましょう。
例:「朝きちんと起きられた」「無事に一日を終えた」「お味噌汁を丁寧に作った」など。
ポイントは、「誰かに認められるほどの成果」でなくてもOKにすることです。
“今ここ”の感覚に戻る練習
強い自己承認欲求は、「未来の評価」や「過去の反省」に心が奪われている状態です。
だからこそ、今この瞬間の感覚に戻ることが大切です。
呼吸に意識を向ける、ゆっくりお茶を味わう、自然の音に耳を澄ます。
「今を味わう」行為は、自己へのジャッジから離れる第一歩になります。
「ダメな自分」にもOKを出してみる
たとえ何かに失敗しても、うまくできなくても、
「それでも自分は自分でいい」と、少しずつ練習してみましょう。
これは自己肯定感ではなく、自己受容の領域です。
完璧じゃなくても、未完成でも、「今日の自分をちゃんと生きている」という感覚を育てることが、真の意味での自己承認につながります。
「どう思われるか」より「どう感じたいか」を大事にする
人生の主役は、いつも“あなた”。演じるより、感じることにフォーカスを。
日記やメモで“自己観察”するクセをつける
「私、今日この言葉に反応したな」
その背景には、自分でも知らなかった「心の癖」が見えてきます。
“よく頑張った自分”に、心の中で拍手する習慣
誰も褒めてくれなくても、自分が知ってる。
それだけで、十分報われるんです。
おわりに:がんばるあなたにエールを
自己承認欲求が強いことは、悪いことではありません。
「もっとよくなりたい」という、向上心の証でもあります。
でも、それに縛られてしまうと、
自分らしさを見失い、心が疲れてしまいます。
自己承認欲求が強い人は、実はとても誠実で真面目な方が多いです。
理想が高く、自分を高めようと努力する。その姿勢は本当に素晴らしいものです。
でももし、「ちょっと疲れたな」「うまく自分を認められないな」と感じたら、
“今の自分”に優しく寄り添ってみる時間を作ってみてください。
「ありのままの私も、ちゃんと価値がある」
そう思えた瞬間から、あなたの内なる安心感は、きっと育ち始めます。