いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
自己承認力コンサルタント協会 代表理事の山本まさのです。

「やればできる!」と自分を信じて一歩を踏み出せる人と、「どうせ自分には無理」と挑戦を諦めてしまう人。その違いを生むのが、心理学者アルバート・バンデューラが提唱した自己効力感(self-efficacy)です。自己効力感とは、「自分はこの課題を達成できる」と信じる感覚のこと。これは単なる気分ではなく、行動や成果を左右する科学的に裏付けられた心理的要素です。

当協会(一般社団法人自己承認力コンサルタント協会)では、「自分を認め、信じて前に進む力=自己承認力Ⓡ」を提唱し、自己肯定感・自己効力感・スキルの3つを同時に高めることを目指しています。その中でも自己効力感は、実際に行動を起こし、結果を出していくための原動力となる重要な要素です。

今回は、自己効力感を理解し、教育やビジネスの現場で活用できる3次元モデルと、実践的に高める5つの方法をご紹介します。

自己効力感の3次元とは?

  1. ① 強さ(Strength): 困難や失敗に直面したときでも、「自分ならやり遂げられる」と思える信念の強さ。失敗を恐れず、立ち直る力に直結します。
  2. ② 一般性(Generality): 特定の場面だけでなく、さまざまな状況や分野に「できる」という感覚を広げること。プレゼンが成功した経験が、仕事全般や私生活の挑戦にも波及する状態です。
  3. ③ 水準(Level): どの難易度の課題に対して「できる」と思えているかのレベル。簡単な課題だけでなく、難しい課題にも「挑戦してみよう」と思える状態を指します。

自己効力感を強く、広く高める方法5選

【小さな成功体験】を積み重ねる


最も効果的なのは、現実に「できた!」という経験を重ねることです。簡単な課題から始め、徐々に難易度を上げることで強さと水準が高まります。
➡ ワーク例:「今日できたことを3つ書く」

【他者の成功事例】から学ぶ(代理的経験)


自分と似た立場の人の成功を知ることで、「私にもできる」と感じやすくなります。
➡ チーム内で成功事例を共有する会議や、先輩社員の体験談を聞く機会を増やしましょう。

【ポジティブな言葉】で自分を励ます


周囲からの「あなたならできる」という声かけはもちろん、自分自身へのセルフトークも効果的です。
➡ 「私はできる」「私は準備してきたから大丈夫」と声に出すだけで不安は軽減します。

【感情を整える習慣】を持つ


緊張や不安は「できる感覚」を弱めます。深呼吸、ストレッチ、イメージトレーニングなどで気持ちを落ち着ける習慣を作りましょう。

【成功の振り返り】を習慣にする


行動後に「何ができたか」を振り返り、できた証拠を積み上げましょう。
➡ ワーク例:「1日の終わりにできたことベスト3を書く」

自己承認力Ⓡとの関係

当協会では、自己効力感を「自分を信じて前に進む力」として位置づけています。しかし、単に「やればできる」と思い込むだけでは、本当の力にはなりません。

自己承認力Ⓡは、
・ 自己肯定感(自分を認める心)
・ 自己効力感(できると信じる心)
・ スキル(具体的な行動力)
この3つを同時に高めることで、行動と成果を伴う“本物の自信”を育みます。

スキルには、
・相手の良い点を見つけて褒める力
・努力や過程を認める承認力
・相手の気持ちをくみ取る対話力
・状況に応じた説明力や指示力
といった、仕事や家庭、あらゆる場面で役立つコミュニケーション力が含まれます。

例えば、協会で学んだ50代の製造業管理職Aさんは、部下との関係に悩んでいましたが、講座で「まずは自分を認めること」や「部下の気持ちを聴く対話力」を実践したことで、わずか1回の面談で部下の表情が変わったそうです。
また、30代の福祉関係Oさんは、「褒める・認める・対話する」スキルを意識して取り入れた結果、半年後には職場のストレスがゼロになったと報告してくださいました。

自己効力感が高まると行動量が増え、成功体験が増えることで自己承認力Ⓡ全体も強化されます。逆に、自己承認力Ⓡの土台があることで、失敗しても立ち直れる力が養われます。

教育やビジネスの現場での具体例

【教育現場の例】
ある中学生の男の子は、人前で話すことが苦手で、授業中も発表を避けていました。担任の先生は、彼に「できたこと日記」を勧めました。
「今日は授業中に一度手を挙げられた」「漢字を3つ覚えた」――こうした小さな“できた”を毎日書くうちに、彼の自己効力感は少しずつ強まり、やがて自ら手を挙げて発表するようになりました。

【ビジネス現場の例】
営業職の女性は、新規顧客への提案に自信が持てず、数字が伸び悩んでいました。上司は、彼女が過去に成功した事例を一緒に振り返り、「あの時、あなたが工夫した点は何?」と問いかけました。
この振り返りで、彼女は自分の強みに気づき、次の商談で積極的に提案できるようになりました。結果として契約が成立し、自己効力感の水準と一般性が一気に高まりました。

まとめと明日からの一歩

自己効力感は、「強さ」「一般性」「水準」という3つの次元で成り立っています。
・この3つを意識しながら、①小さな成功体験を積む ②他者の成功から学ぶ ③自分を励ます言葉を使う
④感情を整える ⑤ 成功を振り返る

さらに、褒める・認める・対話する・説明するといったスキルを磨くことで、自己承認力Ⓡ全体が高まり、「やればできる!」という感覚が行動や成果につながります。

📖 今日からできる!簡単ワーク
1. 今日できたことを3つ書く
2. 「私はできる」と声に出して言う
3. 過去の成功体験を1つ思い出し、そこから学んだことを書く

小さな一歩が、大きな自信につながります。あなたもぜひ、“できる自分”を積み重ねていきましょう。