
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
一般社団法人自己承認力コンサルタント協会 代表理事の山本まさのです。
多くの方が「自信をつけたい」「もっと前向きに行動したい」と願っています。そのとき必ず登場するのが、自己効力感という心理学の概念です。
ただし、「自己効力感と自信はどう違うのですか?」という質問をとても多くいただきます。
実はこの2つは似ているようで働き方が全く違います。
違いを知ると、自信を育てるステップが驚くほど明確になるのです。
ここでは、誰でも腑に落ちる「5つの視点」でその違いを解説します。
行動の“前”か“後”か──2つが働くタイミングの違い
まず一番わかりやすい違いは、働くタイミングです。
- 自己効力感:行動“前”に感じる「やればできる」という予測の感覚
- 自信:行動“後”に得られる「できた!」という達成の感覚
つまり、自己効力感は 未来に対する期待、自信は 過去の成功体験の蓄積 です。
たとえば講演の前に「今日もきっとうまく話せる」と思えたら自己効力感。実際に聴衆が笑顔で聞いてくれ、「良かった!」と感じたらそれは自信です。
どちらも大切ですが、順番としては
自己効力感 → 行動 → 成功体験 → 自信
という流れで育ちます。
根拠の有無──自己効力感は“なくてもいい”が、自信には“必要”
もう一つの大きな違いは、根拠の必要性です。
- 自己効力感:根拠がなくても「できる気がする」
- 自信:根拠=成功体験があって初めて高まる
「理由はないけれど、この案件はきっとうまくいく気がする」
これは自己効力感。
「前も成功したから、今回もきっと大丈夫」
これは自信。
ここが重要なのは、最初の一歩では根拠はいらないということです。
「やればできる気がする」という自己効力感が、行動のスイッチを押してくれます。
根拠よりも先に「やってみよう」という感覚が必要。その感覚が次の成功につながり、やがて本物の自信へとつながるのです。
育ち方の違い──自己効力感は“習慣”、自信は“積み重ね”
自己効力感と自信は、育つプロセスも違います。
● 自己効力感は「日常の小さな選択」で育つ
バンデューラが示した4つの要素(成功体験・代理体験・言語的説得・情緒的安定)からもわかるように、自己効力感は 毎日の習慣でゆっくり高まる力 です。
- マイクロゴールを設定する
- 今日できたことを記録する
- できたことを言葉にして認める
こういった日常の行動が「私はやればできる」と感じる土台となります。
● 自信は「成功体験の蓄積」で育つ
一方、自信は“結果”によって高まります。
- 一度成功した
- また成功した
- うまくいくパターンがわかってきた
この積み重ねが自信という“感覚の安定”をつくります。
ここで言えるのは、
自己効力感(行動の前)を育てる
→ 行動できる
→ 成功体験が増える
→ 自信(行動の後)が育つ
この循環が起こると、自己承認力Ⓡの3要素も同時に高まり、心の安定へとつながります。
視点の向きの違い──自己効力感は“未来”、自信は“過去”を見る力
両者は「どこを見ているか」の視点も異なります。
- 自己効力感:まだ見ぬ未来に可能性を見つける力
- 自信:過去の体験から、自分を肯定できる力
たとえば、講座の企画を立ち上げたいとき。
「やってみれば意外とできるかもしれない」→ 未来を見る自己効力感
「これまで講師を務めてきた経験があるからきっと大丈夫」→ 過去を見る自信
未来と過去をつなぎ、今の行動に向かわせるのです。
自己効力感が未来を照らし、自信が背中を支えてくれます。
どちらか片方ではなく、両方そろうことで人は安定して前に進めるのです。
5.感情の種類の違い──自己効力感は“期待”、自信は“確信”
感情的にも、2つはニュアンスが大きく違います。
- 自己効力感=期待・希望・ワクワク
- 自信=確信・誇り・安心感
自己効力感は「もしかしたらできるかも!」という軽やかな感情。
自信は「私はできる」という安定した感情。
つまり、
自己効力感は“挑戦を生む”感情であり
自信は“維持・継続を支える”感情
なのです。
どちらが欠けても心が不安定になります。
自己効力感が低いと挑戦できず、自信が低いと継続できません。
まとめ──2つの違いを知ると、あなたの「自信の育て方」が変わる
ここまでのポイントを振り返ると、
自己効力感は
- 行動前
- 根拠はなくてもOK
- 未来・可能性を見る
- 挑戦を生む力
自信は
- 行動後
- 成功体験が必要
- 過去の実績を見る
- 継続を支える力
そして、この2つの違いがわかると、
“どうやって自分の自信を育てればいいのか”が明確になります。
最初に必要なのは「小さな自己効力感」です。
- 今日できたことを1つ書く
- 3分だけ行動してみる
- サポートしてくれた人に「ありがとう」を伝える
- 誰かの成功事例を参考にする
どれも小さな行動ですが、この積み重ねが自己効力感を育てます。
そして行動が生まれ、成功が生まれ、やがて必ず 揺るぎない自信へとつながります。
自己承認力Ⓡとは、
「自分を認め、自分を信じて前に進めるチカラ」。
その土台となるのが、今回のテーマである
自己効力感と自信の健全な循環 なのです。
ぜひ今日から、あなたの中にある“できるかもしれない”という感覚を、大切に育ててみてください。