こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「プライドが高い部下をどう指導すればいいのか…」
こんなお悩みを耳にすることがあります。
✔ 指示にすんなり従わない
✔ こちらの意見にすぐ反論する
✔ 「自分のやり方が正しい」と譲らない
✔ 周囲と協調せず、個人プレーが多い
こんな部下に対して、「接しづらい…」「素直に話を聞いてくれればいいのに」と思ったことはありませんか?
私は何度もあります。これまで様々な職場で、10代から70代までの幅広い年齢・価値観を持つ方々と働いてきました。怒られたことがないタイプ、職場を仕切ってきたタイプ、腕に自信を持っているタイプなど、「この方はプライドが高いから、一層気をつけないと…」と、かなり接し方に気を付けたこともあります。
このコラムでは、自己分析から部下のタイプ別の対応、さらに実践的な指導方法までを徹底解説していきます。プライドが高い部下にお悩みの方のヒントになりましたら幸いです。

そもそもプライドとは?大きく分けて2種類ある
「プライドが高い」と聞くと、「頑固」「扱いづらい」「指導が難しい」というネガティブなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、プライドとは本来 「誇りや自尊心」のことです。「自分の価値や能力を信じる気持ち」 であり、すべてが悪いものではありません。プライドを大きく分けると2つの傾向にわけられます。部下によっては、これらの特徴が混在していることもありますので、様子を見ながら適切な対応を考えましょう。
健全なプライド
自分の価値や努力を認め、向上心を持つこと。
- 自分の能力や努力を正しく認める
- 周囲と協力しながら成長しようとする
- ミスや指摘を受け入れ、学ぶ姿勢がある
→ このプライドは、上司がうまくサポートすれば、部下の成長エネルギーになります。
「自分を認め、信じて 前に進める力=自己承認力」につながる部分です。
自分の仕事に自信を持って、チャレンジをし続けることができます。
歪んだプライド
自分を過大評価したり、他者の意見を受け入れずに防御的になること。
- 自分の価値を過大評価し、他者の意見を受け入れない
- 「指摘される=自分の価値が否定される」と思ってしまう
- 必要以上に自己防衛し、素直にアドバイスを聞けない
→ このタイプの部下は、上司の関わり方次第で、成長の機会を逃してしまう可能性があります。
「歪んだプライド」は、必ずしも本人が意図してそうなっているわけではなく、過去の経験や環境が影響していることが多いです。
例えば、「ミスを指摘されたら自分の価値がなくなる」と無意識に思っている部下は、 指摘される=自分が否定されていると捉えて、反発しやすくなります。自分を守るために、歪んだプライドを持つようになったと考えるといいかもしれません。
「プライドが高い」と感じるのはなぜ?あなた自身の感覚を分析しよう
さて、あなたはなぜ特定の部下に対して「この部下はプライドが高い」と感じているのでしょうか。
自分自身と向き合い、自己分析をすることは、部下育成の基本です。部下に対してアプローチをする前に、まずは「上司である自分を知ること」からスタートしましょう。
「プライドが高い=扱いづらい?」そう感じる背景は?
例えば、以下のような部下の態度に「プライドが高い」と感じることはありませんか?
✔ 指示を出したのに「でも〇〇の方がいいと思います」とすぐに反論された
✔ ミスを指摘すると、納得いかない様子で言い訳をした
✔ 仕事の進め方を相談しても、「今までこうやってきたんで」と柔軟に変えようとしない
こうした状況では、上司として「素直に受け入れてくれたらいいのに」と思いますよね。しかし、ここで一度考えてみましょう。私たちは無意識のうちに「部下はこうあるべき」「指導にはこう対応すべき」といった「価値観・思い込み」を持っています。たとえば…
✅ 「部下は上司の指示にはすぐ従うべき」
→ 本当にそうでしょうか。上司という立場は、YESマンの部下ばかりが周りにいると視野が狭くなり、自分を振り返ることが出来なくなります。
✅ 「部下は指導されたら、素直に改善すべき」
→ その前に、あなたの「伝え方」は相手を尊重するものでしょうか。素直に聞いてもらえるような話し方の工夫をしていますか。
✅ 「勝手な行動はせず、チームワークを大切にすべき」
→ 自分で考えて、動ける部下を育てているのではありませんか。あなたにとって何が「部下の勝手な行動」なのか、理想的な状態は何なのか、共有していますか。
「プライドが高い」と感じるのは、ただ単に部下の問題だけではなく「上司と部下の価値観とのズレ」 によるものかもしれません。この「ズレ」に気づくことが、関係を改善する第一歩になります。

プライドが高い部下に対するタイプ別指導法
プライドが高い部下、そのプライドが健全なものか、歪んでいるかによって接し方が変わります。ここで、2つのタイプの特徴と具体的な関わり方を解説します。
① 健全なプライド
特徴
✔ 自分の考えをしっかり持っている
✔ 他者と対等に議論したい
✔ 「納得感」がないと動かない
このタイプの部下は、「上司の言うことをただ聞く」よりも、「自分の意見も伝えたい」という気持ちが強い ため、指示にすんなり従わないことがあります。しかし、それは決して悪いことではありません。むしろ、 主体性がある証拠 でもあります。
【このタイプの部下へのアプローチ】
✔ 「意見を聴かせて」と最後まで部下の話を聴く(頭ごなしに否定しない)
✔ 「その考え方もあるよね」と、相手の意見を認めながら自分の意見を伝える
✔ 「指示だからやって」ではなく、「どう進めるのがチームにとってベストか考えよう」と伝える
🔹 ポイントは「対話」を増やすこと!
納得しないと動かないタイプなので、一方的に指示を出すよりも、意見を聞いてすり合わせる姿勢が重要 です。上司部下というよりも「チームの仲間」として、何がベストかを一緒に話し合うことをおすすめします。
② 歪んだプライド
特徴
✔ 指摘されることを極端に嫌う
✔ 上司からの評価をとても気にする
✔ 「できる人」と思われたいが、ミスを指摘されると不機嫌になる
このタイプの部下は、「プライドが高い」というよりも「傷つくのが怖い」のかもしれません。過去の経験から、「失敗したら評価が下がる」「ミス=ダメな人間」と感じてしまい、自己防衛的になるのです。
【このタイプの部下へのアプローチ】
✔ 日頃から承認のコミュニケーションを意識する
✔ 「ダメ出し」ではなく「もっとよくするには…」と改善点を伝える
✔ 面と向かっての指摘よりも、1対1で落ち着いた雰囲気で話す
🔹 ポイントは「安心感」を持ってもらうこと
防衛タイプの部下は、「指摘される=否定される」と思いやすいので、普段の信頼関係が重要です。「助かっている」「信頼している」「頼らせてほしい」など、承認の表現を普段から行っていますか。
私自身こんな経験談があります。職人気質のベテラン社員さんに「これよくないですよ」とダメ出しの指導をしてしまったら、すっかりへそを曲げてしまいました。考えてみれば、何十年も社歴があるのに役職があるとはいえ、20代の若手から指摘されたら嫌な気持ちになりますよね。そこから私は試行錯誤の末に、ベテラン社員さんが当たり前にやっていることに焦点を当てて接することにしました。「いつも丁寧な仕事ですね」「細部にも手を抜かないのがわかります」「仕上がりがきれいですね、尊敬します」そんな承認のコミュニケーションを続けて信頼関係を築いていきました。数か月後、「〇〇さん、ーーのやり方を変えませんか。こうする方が良いかもしれません」という相談を素直に聞いてくれるようになりました。プライドの高いベテランさんは、チームを良くするための力強い味方です。

実践編:「プライドが高い部下」を活かす指導法
では、具体的にどのように指導すれば、 部下のプライドを活かしながら成長を促せるのか? を見ていきましょう。
①「このやり方はダメ」ではなく「〇〇をするとさらによくなる」
✔ 「ここがダメだった」ではなく、
✔ 「この部分が良いですね。さらに〇〇を加えるともっと良くなると思うのですが、どうですか?」
と伝えることで、部下も受け入れやすくなります。
② 成功体験を積んでもらい、自信を深める
✔ 「この仕事、〇〇さんにお願いしたい」と適切なチャレンジの機会を与える
✔ チャレンジに対する姿勢や結果を承認する
日々の達成感や成功体験が次にチャレンジをするための自信につながります。
③ 日常的なコミュニケーションを増やす
✔ 普段から「ありがとう」「助かるよ」と声をかける
✔ 「最近どう?」「何か困ってることある?」と気軽に話しかける
全く関係が築けていない相手からいきなり指示・注意・指導を受けても、素直に聞くことが出来る方は少ないものです。普段のやりとりがカギとなります。
上司自身の「自己承認力」を高めていますか。
最後に、上司自身の自己承認力を高めることの重要性について触れていきます。自分自身が健全なプライドを持ちながら、日々の仕事に取り組んでいるだろうか?と振り返ってみることをおすすめします。
「部下がプライド高くてやりづらい」と感じるときには、こういった点を確認なさってみてください。
✔ 「部下に意見を言われる=自分の権威が下がる」と思っていないか?
→ 実は、部下の意見を取り入れられる上司のほうが信頼されるものです。
✔ 「部下を管理しなくては」と思いすぎていないか?
→ 部下の主体性を尊重することで、より良いチームが生まれるかもしれません。
まとめ:「プライドが高い部下」を強みとして活かそう!
いかがでしたでしょうか。今回は「プライドが高い部下」を活かす指導法について、ご紹介してきました。
🔹 まず「プライドが高い」と感じたら、自分の捉え方をチェックする
🔹 部下のタイプを見極め、適切なアプローチをする
🔹 部下のプライドを否定せず、活かす指導を心がける
チーム全員がプライドを持って自分の仕事をする、というのは理想的です。
上司として「プライドが高い=成長のポテンシャルがある」と捉えたとき、指導の仕方も変わります。
やりがいのない仕事や惰性でやっている仕事には、プライドは持ちにくいものです。
意見がぶつかったときは、学びのとき。
モヤモヤしたときにこそ、冷静に分析をして「チームをよくするには?」を考えたいものですね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)