こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「またあの2人、ピリピリしてるなぁ…」
声を荒げて口論になった、というわけではないけれど、明らかに雰囲気が悪い。

そんなとき、あなたはどう動きますか?

・放っておく?
・気を遣って声をかける?
・2人で話し合う時間を設ける?

多くの上司が、このような場面では戸惑いや不安を抱えます。

今回は、部下同士の人間関係トラブルに直面したときに、上司としてどのように関わればよいのか?
心構えを含めた7つの対応ポイントをお届けします。


1. 揉め事が起きるのは“むしろ自然なこと”

1つ目に紹介するのは、上司としての捉え方です。
「価値観が違う人が集まれば、摩擦が起きる」
これは、組織ではごく当たり前のことです。

職場には、性格も育ちも働き方のスタイルも異なる人が集まります。
年齢も立場も、人生経験もバラバラ。
その中でトラブルが“まったく起きない”ほうが、むしろ不自然です。

揉め事がない職場というのは、
「誰かがずっと我慢している」か、「みんなが気を遣い合っている」可能性が高い。

つまり、揉めないチームづくりは、メンバー全員の“努力の積み重ね”なのです。

だからこそ、揉め事が起きたときには「起こって当たり前」と捉え、「これまで目立ったトラブルがなかった日々に感謝!」なのですよね。
この捉え方が出来れば、上司として冷静に対処ができます。


2. 感情的な爆発か、冷戦状態か?見極めがカギ

トラブルへの対応は、その“状態”によって変わってきます。状況をしっかりと観察することが重要です。

たとえば…

  • 感情的な衝突:大声で言い合いになった/涙を見せた/怒りの言動が表に出ている
  • 冷戦状態:口をきかない/目も合わさない/業務以外の会話ゼロ

この2つでは、対応の仕方もタイミングも異なります。

感情が表に出ている場合は、“ガス抜き”が必要です。
一方、冷戦状態では、関係修復に相当の時間がかかることもあります。

「すぐに話し合いの場を設ける」ことが最善とは限りません。
そして、上司が間に入ることが有効と言えない場合もあるのです。焦らず、まずは“状況を見極める目”を養いましょう。


3. 上司の役割は“仲裁”ではなく“通訳”

揉めている2人の関係がチームの空気や業務に支障をきたす場合、なんとか対処をしなくてはなりません。
しかし、「とにかく謝って」「早く元通りにしなさい」
無理にこういったアプローチをすると、関係修復どころか、かえって逆効果になることもあります。

第一に考えたいのは、“本人たちがどうしたいか”を尊重すること。
「距離を取りたい」「話したいけど気まずい」「誰かに間に入ってほしい」
どんな本音が潜んでいるか、まず聴くことが必要です。

2人の間を取り持つ際には、仲裁をする立場というよりは「通訳」のような役割をすることがおすすめです。
このように、お互いの言葉にならない感情や事情を“代弁”して伝える。
次の4つ目につながる、「本音の言語化」のスキルも磨いていきましょう。


4. 感情のガス抜き→本音の言語化が鍵

部下同士のもめ事が起こる場面は、「クレーム対応と同じ構造」ではないでしょうか。

お客様が怒りを露わにしたとき、私たちはまず、「何があったのか」「お客様はどう感じたのか」「何が悲しかったのか」を全部聴きますよね。部下同士のトラブルでもまったく同じです。

どちらの部下の感情も抑え込まず、「出し切ってもらう」ことで、次のステップに進むことが出来ます。

  • 「悔しかった」
  • 「軽く扱われた気がした」
  • 「自分ばかり損をしていると感じた」

表面上の「嫌い・うざい・話したくない」こうしたものの“奥にある感情”を出してもらい、
「つまり、〇〇さんはこうしてほしかったんですね」と上司が言語化しながら話を聴く。

これは上司の目線だからこそ出来る、大事な部下のサポートです。


5. ゴールは「仲直り」ではなく、「スムーズな関係性」

ここでぜひ押さえておきたいのが、ゴールです。
上司としてやってしまいがちなのが、「仲良くさせよう」「元の関係に戻そう」という言動です。

職場のチームは、あくまでも「仕事関係者」です。友達でも家族でもありません。
少し冷たく聞こえるかもしれませんが、仲良くならなくていいのです。一定の距離を保つ方が仕事が円滑に進みます。

目指すべきゴールは、 「チームで気持ちよく仕事ができる状態」です。

  • 必要なやりとりができる
  • 仕事上の報連相が滞らない
  • お互いに敬意をもって接する

この状態を作ることが出来れば、個人的に仲が良いかどうかは、必ずしも重要ではありません。

ちなみに私は、職場で「友達」を作ろうとしたことがありません。親しくなる上司・同僚・後輩はいますが、あくまでも間にはいつも「仕事」がありました。職場の仲間として、外で遊び、食事をする。与えすぎることも甘えることもしません。
本音が何でも話せる親友・友達は、チームの外で作りましょう。

スムーズに仕事を進めるために重要なのは、「全員が仲良くなること」ではなく、「全員が尊重し合える距離感を持てること」ですよね。

6. トラブルの経験を「強いチーム文化」につなげる

トラブルが起きたときは、チーム文化づくりの大きなチャンスでもあります。
大事なことは、表面的に収めるのではなく、今回の経験からチームがどう成長できるかを考えること。

お客様からのクレーム対応と同じように「収束すればいい」というものではなく、今後にどうつなげていくかが重要です。

具体的にはこんな取り組みができます。

  • 揉め事の原因をチーム内で共有し、再発防止の共通認識を持つ
  • 普段から「意見が違っても安心して伝えられる空気」を意識的に育てていく
  • 上司自身が「対立の場面でもブレずに対処する姿」を見せ、安心の土台をつくる

チームは、揉め事が起きなかったから良い職場なのではなく、何かが起こってもそのたびに関係を前向きに整えていける職場が良い職場です。お互いを承認し合う強くしなやかなチームにしていきましょう。

7. 上司がブレない軸を持つこと

部下同士の揉め事の対応は、正直に言うとかなり面倒と感じることもあります。それぞれの思いがあり、価値観があることですから、すぐに解決というわけにもいきません。
不平不満・愚痴・文句を耳にすることもありますので、上司自身のメンタルにも影響があります。

「また人間関係の問題か…」「自分がうまく対処できないから…」
そんな風に考えてしまうこともあるかもしれません。

上司自身も完璧でなくて当たり前。チームで動く以上、トラブルひとつなく過ごすことは難しいといえます。
だからこそ、自分の軸を持って対応できる「自己承認力」のトレーニングを日々なさることをおすすめします。日々巻き起こることに振り回されないための心の筋トレです。

自己承認力とは、「自分を認め、信じて、前に進めるチカラ」

「自分は上司としてよくやってる!」
「これから絶対によくなるはず!」と、励ましながら進んでいきましょう。

自分を責めるよりも、自分をめいっぱい労うこと。
それが、揺るがないリーダーシップの土台になります。


まとめ:トラブル対応こそ、リーダーとしての真価が問われる場面

いかがでしたでしょうか。部下同士のトラブルは厄介な問題ではありますが、同時にチャンスにも変えることが出来ます。
トラブルが起こった後に、チーム力がさらに強くなった事例を私はいくつも見ています。

大事なことは、その場面にどう向き合い、どう乗り越えるか。
対処をすることであなたのリーダーシップは磨かれます

  • 感情に巻き込まれすぎず、冷静に状況を見極める
  • 部下の本音を引き出し、つなげる「通訳役」になる
  • 「仲良くさせる」ではなく、「仕事がスムーズに進む関係」を目指す

そして何より、上司自身の自己承認力を育て続けること
揺れやすい場面でも自分を信じ、チームを導ける軸を持ちましょう。

明日からまずできる小さな一歩は、
「穏やかな日常が成り立っていること」に目を向け、
部下に「ありがとう」「助かってる」を感謝の気持ちとして伝えること。

あなたのその一言が、チームの安心と信頼を育てていきます。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)