こんにちは!
自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。

「人材育成って、やりがいはあると思うけれど、正直大変」
「結果が見えにくくて、評価されにくい」
「業績や数字に追われると、どうしても後回しになってしまう」

管理職の方とお話をしていると、
こうした本音を、本当によく耳にします。

人材育成の「やりがい」とはどこにあるのでしょうか。
まず先に「やりがい」という言葉そのものを、少し丁寧に掘り下げてみましょう。


「やりがい」とは、何でしょうか?

やりがい、という言葉は、とても曖昧に使われがちです。

・達成感があること
・感謝されること
・成果が見えること
・自分の存在価値を感じられること

人によって、その定義はさまざまです。

一方、国語辞書では「やりがい」を
「物事を行う価値。張り合いや満足感を得られること」
と説明しています。

つまり本来のやりがいとは、
「すぐに報われるかどうか」ではなく、
その行為そのものに意味や価値を見出せているかどうか

という感覚なのです。

ただ、現場で多くの管理職の方を見てきて、
一つはっきりしていることがあります。

それは、
「やりがい=すぐに報われるもの」だと思っているほど、
仕事は苦しくなっていく

ということです。

人材育成は、まさにその代表例ではないでしょうか。


人材育成は、なぜ後回しにされやすいのか

私はこれまで、アルバイト、社員、現場の責任者、企業の教育担当を経て、
現在は研修講師として人材育成に携わっています。

立場は変わっても、一貫して感じてきたことがあります。

それは、人材育成は、どうしても後回しにされやすいという現実です。

理由は、とてもシンプルです。

人材育成、特に
・人間性
・精神面
・人との関係性

こうした部分へのアプローチは、最も根幹の部分であるのですが
すぐに数値として現れにくいからです。


数字に見える育成、見えにくい育成

「数字に見える育成」というのは
例えば、パソコンスキルや業務スキル。

・作業スピードが上がる
・ミスが減る
・処理時間が短縮される

これらは業務効率として数字に表れやすく、
「やった分の成果」が比較的わかりやすいですよね。

一方で、「人間性・精神性を育成」していくと
こういった変化が起こります。

・挨拶が自然にできるようになった
・表情が柔らかくなった
・職場のトラブルが減った
・電話対応が安定した
・周囲をフォローする行動が増えた
・お客様からの評判がよくなった
・チームの空気が変わった

これらは、確実に現場の質を高めて、業績や売上に関連しています。
しかし、
「それが売上にどう影響したのか?」
「数字でどれくらい改善したのか?」
この説明が難しいです。

だからこそ、人間性・精神面の育成は
「コスト」と見なされやすく、削られやすいのです。


頑張っても、評価されにくい人材育成

私自身、教育担当だった頃、何度も感じました。
社員の挨拶が活性化し、電話対応が良くなり、
クレームが減り、現場の雰囲気が明らかに良くなっても、

「それが業績にどう関係しているのか」
「教育として、どんな成果が出たのか」
を、言葉で説明するのは簡単ではありませんでした。

たとえ、人間性や精神面の成長が業績につながっても
それは本人の頑張りがあってこそ。成長した本人が評価されるべきです。

人材育成を行う方が評価されるのは、数字がでた後のことです。

人材育成を続ける意味と価値

では、人材育成の「やりがい」はどこにあるのでしょうか。
現場で見えてきた答えを、3つに分けてお伝えします。

① 人の成長に「気づける自分」になること

これは、部下の話ではなく、管理職自身の視点が変わるという話です。
人材育成に関わっていると、ほんの小さな変化に気づけるようになります。

・以前より笑顔が増えた
・報連相のタイミングが早くなった
・ミスの後の対応が変わった

これらは、数字には出ません。
人をきちんと見ていないと、絶対に気づけない成長です。

そして、この「気づける力」そのものが、
管理職自身の成長でもあります。

人の成長を感じ取れるようになること。
これは、人材育成に向き合った人だけが得られる、確かなやりがいです。

② 自分自身が、確実に成長していること

これはスキルアップではなく、
人としての器が広がるという話です。

人材育成は、部下やチームのためだけのものではありません。
実は一番学びが大きいのは、育てる側です。

人に何かを伝えるためには、
自分が十分に理解して、工夫しなくてはいけません。

・どう言えば伝わるのか
・どんな言葉なら受け取ってもらえるのか
・どんな関わり方が適切なのか

アウトプットの機会が増えれば、必ずインプットも増えます。
人を育てることは、同時に自分を育てることでもあるのです。

③ 最終的に、数字として必ず表れる

これは理想論ではなく、経営や数字の話です。
人材育成は、最終的に必ず数字に表れます。

・チームの連携が良くなり、業務効率が上がる
・無駄なミスや手戻りが減る
・離職が減り、採用コストが下がる
・顧客対応の質が上がり、信頼が積み重なる
・働く人の向上は、組織のブランド力を上げ、売上が上がる

一つひとつは小さく見えても、積み重なれば、大きな差になります。

ある飲食店での出来事

友人から、こんな話を聞きました。飲食店で女性グループで会食をしていた時のこと。
飲み放題の終了時間に最後のドリンクを注文しました。

その直後、1名分だけ注文していなかったことに気づき、
追加でお願いしたそうです。

すると店員さんから、真顔で一言。
「もう飲み放題のオーダーは終わっているので」

「1名分だけ頼んでいなかったんです」と伝えても、
返ってきたのは同じ言葉でした。

楽しかった場の空気は、一瞬で冷えたそうです。
料理も悪くなかった。お店の雰囲気も悪くなかった。

それでも、その場にいた全員の結論は同じでした。
「もう、この店は使わない」

この出来事は、ルールやオペレーションは守られていても、
人間性や精神面の育成が不足していると、
どうなるかを象徴しているように感じます。

もしここで、
「かしこまりました。すぐにお持ちしますね」
と、笑顔で対応していたらどうでしょうか。

その後も気持ちよく過ごせたかもしれませんし、
「また来よう」と思われた可能性もあります。

たった一言、たった数秒の対応が、
売上やリピーター、ファンづくりにつながっていく。

これが、人材育成が最終的に数字へ表れる瞬間なのだと思います。


人材育成のやりがいは、目立たないけれど、人生につながっている

いかがでしたでしょうか。人材育成のやりがいは、決して派手なものではありません。
すぐに成果が見えるわけでもなく、
頑張ったからといって、必ず評価されるものでもありません。

それでも、確かに、やりがいはあります。

人間性や精神面を育てるということは、
仕事のやり方を教えること以上に、
その人の考え方や、振る舞いに関わることだからです。

考え方が変われば、行動が変わります。
行動が変われば、周囲との関係が変わります。
そして、その積み重ねは、やがて人生そのものに影響していきます。

私自身も、そうでした。
物事の捉え方が変わり、人との向き合い方が変わったことで、
仕事の仕方も、人間関係も、人生の流れそのものが、大きく変わっていきました。

人材育成とは、目の前の業務を回すためだけのものではありません。
誰かの人生に、確実に影響を与えていく仕事です。

目立たなくても、すぐに評価されなくても、
あなたの関わりは、相手の中に残ります。

だからこそ、人材育成には、確かで
揺るがないやりがいがあるのだと、私は考えています。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また次回のコラムでお会いしましょう。