こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「最近の若手は何を考えているのかわからない」
「自分が教わったやり方が通用しない……」
「結局、自分がやったほうが早いと思ってしまう」
40代、50代の管理職の方々から、こうした切実な声をよく伺います。
現場の第一線で成果を出し続け、さらにマネジメントや育成の責任まで負う。
上からは数字を詰められ、下にはハラスメントと言われないよう気を使い……。
組織で一番ストレスを抱え、孤独に奮闘しながら、
「自分が人材育成をしなければ」と肩に力が入りすぎていませんか?
実は、リーダーの役割を少し定義し直すだけで、
人材育成はぐっと楽になり、チームは自走し始めます。
では、部下もリーダーも幸せになるための
「育成の5つのポイント」を一緒に見ていきましょう。

1. 「教える人」から「環境を整える人」へ
かつてのリーダーシップは、自分が一番仕事ができ、その背中を見せて「俺についてこい」と引っ張るスタイルが主流でした。しかし、技術革新や価値観の多様化が進んだ今、リーダーがすべての正解を持っている必要はありません。
今、リーダーに求められる最大の役割は、
部下が安心して失敗し、学べる「土台(環境)」を整えることです。
ここを受け止めにくい方もいらっしゃいますが、
これまでのやり方や自己流で人が育ちにくいのであれば、今が切り替えの時期かもしれません。
例えば、部下がミスをしたときに「なぜこんなことをしたんだ!」と責める…
これでは、部下はただ落ち込むだけで、学ぶことができません。
叱る・指摘をする・アドバイスをすることと、「怒る」ことは違います。
「何が原因だったと思う?次からどうしていく?」と一緒に対策を考える。
誰かに迷惑をかけたミスなら、部下と一緒に謝る覚悟を持ち、ミスを挽回する方法を一緒に考える。
部下が「ここでは失敗しても見捨てられない」「挑戦しても大丈夫だ」と思える「心理的安全性」を確保することが大事なのです。
リーダーが「一方的に教える」ことをやめ、一歩引いて「見守る・支援する」という環境を整えるだけで、部下は驚くほど自分の頭で考え始めます。
2. 「仕事を任せる」という最高の教育
「自分でやったほうが早い」 これは、優秀な管理職の方ほど陥りやすい罠です。確かに、あなたが手を動かせば1時間で終わる仕事も、部下に任せれば3時間かかり、さらにクオリティも期待通りではないかもしれません。
しかし、人材育成において「仕事を任せる」ことは、どんな座学の研修よりも価値のある教育です。
仕事を任せるとは、単に作業を振ることではありません。
その仕事の「意味」と「責任」を渡すことです。
「このプロジェクトのこの部分は、あなたの感性に任せたい」
「〇〇さん自身の成長のために、この経験してほしい」というメッセージと共に渡します。
任された部下は、最初は不安を感じるかもしれません。しかし、それを乗り越えてやり遂げたとき、彼らの中に「自分はやれるんだ」という強固な自己承認力が芽生えます。失敗も含めて「任せる」。それが部下を一番早く育てる近道なのです。
あなたもご経験ありませんか。自分にとってハードルが高いと思う仕事ほど、大変さと同時にやりがいがあり、夢中で取り組むので成長が早いのです。
3. 「会話」と「観察」が信頼の架け橋になる
人材育成というと、何か立派な指導法が必要だと思われがちですが、その本質は「日々の会話」にあります。チームの仲間とどのくらい会話をしていますか。
ここで言う会話とは、業務報告だけではありません。
「〇〇さん、あの資料すごく見やすかった」
「さっきの電話対応、大変そうだったね。どうだった?」といった、他愛のないやりとりです。
日頃からよく観察し、小さな変化に気づいて声をかける。
長時間の面談よりも、この日頃の積み重ねが、いざという時の信頼関係の強さになります。
リーダーが喋りすぎず、部下の言葉を受け止める「受け皿」になること。
そのために聴くに徹する意識も必要です。すぐに結論を求めずに、しっかり聴く。その安心感のある会話の時間こそが、部下の内省を促し、自立への一歩となります。

4.背中で語る、という最高の教育
人材育成において、最もインパクトがあるのは、あなたが「どう仕事に向き合っているか」という姿そのものです。
私自身、これまで歴代の上司から多くのことを学んできました。業務のスキルはもちろんですが、一番影響を受けたのは「仕事に対する姿勢」でした。お客様に対する誠実さ、上司へのマナー、酒席での振る舞い……。もし、やる気もなく適当に仕事をこなす上司ばかりだったら、今の私はこれほど仕事にのめり込んでいなかったかもしれません。
目標に向かってひたむきに打ち込み、達成を喜ぶ姿。そして、仲間の成長を自分のことのように祝える姿。
それが理屈抜きに「かっこいい」と感じたからこそ、私はその背中を追いかけたいと思ったのです。
そんなリーダーの「人材育成」は、朝一番の挨拶からすでに始まっています。あなたがどんな表情で出勤し、どんな声で挨拶をするか。部下は驚くほど細かく、上司の姿を見ています。「今日の上司は機嫌が良さそうだ」「少し疲れているな」……。
リーダーひとりの機嫌で、チーム全体の空気は一瞬で変わり、それが仕事の精度や業績の差として現れてくるのです。
「立派なことを言わなければ」と身構える必要はありません。あなたが仕事に誇りを持ち、誠実に向き合う。その「かっこいい背中」を見せること自体が、部下にとっては何よりの教材になりますし、ついていきたい!と感じるのです。
5. 「自律」を促し、リーダー自身も自分を認める
究極の人材育成とは、「自分で自分を育てられるようになる(自律)」ことです。そのためには、リーダーが彼らの可能性を誰よりも信じることが不可欠。「君ならできる」という信頼をベースにした関わりが、部下の自己効力感「自分ならできるという感覚」を育みます。
そして、最後に一番お伝えしたいことが1つ。
それは、リーダーであるあなた自身が「自分を承認する」ことの大切さです。
人を育てることは、思い通りにいかないことの連続です。期待した反応が返ってこなかったり、時には裏切られたような気持ちになることもあるでしょう。エネルギーを注いでも成果が見えにくい仕事だからこそ、心が折れそうになる日もあるはずです。人育ては、ある程度の時間がかかります。
だからこそ、毎日現場で踏ん張っているご自身を、誰よりも先にあなたが認めましょう。
「今日よくあの忙しい中で、部下に声をかけた!自分偉いぞ!」
「トラブルに動じず対応した自分はよくやった!当たり前じゃない!」
リーダーの心のコップが満たされていてこそ、初めて部下へ注ぐ余裕が生まれます。あなたが穏やかで、自分を信じていること。その安定感こそが、チーム全体を包み込む最高の育成環境になるのです。

まとめ:人材育成は、日々の関わり方の積み重ね
いかがでしたでしょうか。
人材育成とは、リーダーが一人で背負い込み、部下を無理に変えようとすることではありません。
- リーダーの役割は、部下が安心して動ける環境を整えること
- チームの視点は、メンバー同士で教え合い、みんなで育てる空気を作ること
- 本人の視点は、自分で自分を育てていく自律心を持つこと
この3つの視点が揃ったとき、人材育成はもっとスムーズに、そして「楽に」進むようになります。
そして何より、人材育成において最も大きな影響を与えるのは、あなたの「仕事に向き合う姿勢」です。
リーダーであるあなたが、自分を認め、誠実に仕事に向き合う。
そのシンプルな積み重ねこそが、部下を育て、結果として強いチームを作っていく一番の近道なのです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)