
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
自己承認力コンサルタント協会 代表理事の山本まさのです。
「やればできる!」――そう思える力を心理学では「自己効力感(Self-Efficacy)」と呼びます。
この概念は心理学者アルバート・バンデューラによって提唱され、自己効力感が高いほど、人は挑戦に積極的になり、行動を続け、成果を出しやすいとされています。
自己効力感を育てる4つの源のひとつが「言語的説得」です。
人からの励ましや言葉のかけ方次第で、「自分にはできる」と信じられるようになります。
当協会が提唱する「自己承認力Ⓡ」――自分を認め、自分を信じて前に進めるチカラ――を高めるためにも、言葉は欠かせません。
ここでは、すぐに実践できる5つの方法をご紹介します。
言語的説得の実践5選
具体的な行動を褒める
「よく頑張ったね」よりも「発表のときに堂々と話せていたね」と伝える方が効果的です。
具体的な行動を言葉にすることで、相手は「自分は実際にできている」と実感できます。
自己承認力Ⓡの視点では、ただ結果を褒めるのではなく「行動や努力のプロセスを認める」ことが安心感と自信を育てる鍵になります。
可能性を信じて励ます
「きっとできるよ」ではなく「これまでの準備を見ているから、きっと成果が出るよ」と、根拠を示して伝えましょう。
相手は「信じてもらえている」と感じ、安心して挑戦に向かえます。
これは単なる励ましではなく、「あなたの努力を私は見ている」という承認の言葉です。信頼を伝えることで、自己効力感が高まります。
小さな成功体験を強調する
「前回もうまくできたじゃない」「昨日もできたんだから今日も大丈夫」――こうした声かけは、過去の小さな達成を思い出させます。
これにより「またできる」という感覚が育ちます。
当協会で推奨している「できたこと日記」も同じ仕組みです。小さな成功を積み重ねることで、自分への信頼が強まっていきます。
成長のプロセスを評価する
結果だけでなく「挑戦したこと」「努力した過程」を承認しましょう。
「成果が出なくても挑戦した姿勢が素晴らしい」と伝えると、失敗を恐れず挑戦を続けられるようになります。
『自己承認力Ⓡファーストステップ』でも、プロセス承認の重要性を強調しています。これにより「失敗=ダメ」ではなく「挑戦=価値あること」という考え方が根づきます。
相手の言葉をリフレーミングする
「失敗した」という言葉に対して「それは次につながる学びだね」と言い換えて返すことで、相手の視点を前向きに変えられます。
リフレーミングは、落ち込んだ気持ちを新しい解釈に切り替える力です。ネガティブな自己評価を前向きな経験に変えることで、再挑戦の意欲が生まれます。
言語的説得とは何か?
「言語的説得」とは、他者からの言葉や働きかけによって「自分ならできる」と感じさせるプロセスを指します。
例えば――
- 教師が「あなたの努力なら必ず結果につながる」と声をかける
- 上司が「この仕事は君なら任せられる」と伝える
- 親が「昨日もできたから今日もできるよ」と励ます
こうした言葉は、自信を持って行動を起こすきっかけになります。
ただし、根拠のないお世辞や努力を無視した励ましは逆効果です。「根拠ある言葉」と「信頼関係」に基づく声かけが、自己効力感を効果的に高めます。
言語的説得がもたらす効果
言語的説得は、自己効力感を通じて次のような効果を生みます。
- 行動の開始を後押しする:「やってみよう」という第一歩につながる
- 継続を支える:途中で諦めそうなときに粘り強さを高める
- 自分を信じる力を強化する:小さな挑戦から大きな挑戦へとステップアップできる
これは「自分を認め、信じて前に進めるチカラ=自己承認力Ⓡ」の実践そのものです。承認の言葉を受け取ることで「私は大丈夫」と思える心の土台が強まり、前向きな挑戦が可能になります。
教育・ビジネス・家庭での活用事例
- 教育現場:「昨日よりも声が大きくなったね」と成長を具体的に伝える
- ビジネス:上司が「初めての提案でも堂々と話せたよ」とフィードバックする
- 家庭:子どもに「片づけを自分からできたね」と認める
共通するのは「根拠ある承認+未来への期待」です。これが相手の心に響き、自己効力感を高める土台となります。
実践にあたっての注意点
- 過剰なお世辞はNG:「すごい」「完璧」など根拠のない言葉は逆効果
- 努力を見逃さない:小さな行動にも気づく観察力が必要
- 信頼関係が土台:普段からの関係づくりが、言語的説得の効果を左右する
まとめ
言葉には、人の心を沈ませる力もあれば、勇気づける力もあります。
自己効力感を高める「言語的説得」を意識して使うことで、相手はもちろん、自分自身の自己承認力Ⓡも高まります。
- 行動を具体的に褒める
- 努力の根拠を添えて励ます
- 小さな成功を思い出させる
- 成長のプロセスを承認する
- ネガティブをリフレーミングする
これらを日常の会話に取り入れることで、人間関係が和らぎ、挑戦する勇気が育ちます。
ぜひ、今日から一つでも実践してみてください。