こんにちは!自己承認力コンサルタントの尾形さくらです。
いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
「部下が言うことを聞かない」
「何度言っても動かないし、ミスを繰り返す」
「注意すると、今度はパワハラと言われそうで怖い…」
このようなお悩みを抱えている管理職の方が、今とても増えています。
職場における人間関係のバランスが変化している今、上司の言動はすぐに「ハラスメント」と捉えられてしまうリスクがあります。
さらに最近では、上司に対して無視や嫌味を繰り返す、逆らう、感情的に攻撃するなど、“逆ハラスメント”=部下ハラとも言える行動に悩まれている方も少なくありません。
今回は、「部下が言うことを聞かない…」とお悩みの上司の方に向けて、自分がハラスメントにならないための対策、そして部下からのハラスメントに巻き込まれないための考え方を7つの視点からお届けいたします。

1. 指導の前に「信頼関係」を意識する
「厳しい口調で指導をしても、全く部下が話を聞かない」
このパターンの場合、多くの上司は部下を問題視しますが、本当にそうでしょうか。
その部下にも「この人の話は素直に聞ける」という方がいるはずです。
重要なことは、普段の関係性の中で信頼が蓄積されているかどうかなのです。
普段、大してやりとりをしていない上司から問題が起こったときにだけ「ミスが多いよね」「もっとちゃんとやって」と言われても、その言葉は刺さるどころか、反発や拒絶を生みます。
だからこそ大事なのが、「信頼」を日頃から積み上げておくこと。
- いつも丁寧にお礼を伝える
- 成果ではなくプロセスも承認する
- 雑談などの“関係づくり”の会話も大切にする
日々の信頼がベースにあれば、たとえ厳しい指摘であっても「この人は自分を否定しているわけじゃない」と受け止めてもらえる可能性が高まります。
2. 伝えるのは“人格”ではなく“行動”
イライラや焦りが積もって、「こんなこともできないの?」「普通はやるだろう?」
ついこんな言葉が出ていませんか。
こういった言葉は、たとえ無意識でも人格否定として受け取られてしまう可能性が高いです。
指摘する際は、感情ではなく【事実+改善アドバイス】にフォーカスしましょう。
✅ NG例:「書類出してって言ったよね?やる気ないなら帰って」
✅ OK例:「〇〇さん、この書類提出は本日が締切りです。全員が締切りを守る前提で、他の業務も進めています。何時頃に提出できそうですか?」
このように、主観ではなく客観的な事実と期待を伝えることで、相手に伝わりやすくなりますし、ハラスメントと受け取られづらくなります。
3. 感情的な反応ではなく「整った上司」であること
管理職の大事な仕事の一つに、「感情の整理」もあると私は考えています。
部下育成だけでなく、プロジェクト運営・リスク管理・トラブル対応・クレーム対応…感情が大きく動く業務が多いからです。
ちょっとした出来事に対して感情が揺れ動き、
「またやってないの!?」「いい加減にして!」
そんな風に思わず声を荒げていては、部下からの信頼は得にくいものです。
それらの言葉が“トリガー”となって「パワハラ」と判断されてしまう時代。
だからこそ、上司自身の心を整える力が欠かせません。
このとき有効なのが、上司自身の自己承認力トレーニングです。
自分のご機嫌は自分でとる!
たとえば…
- 「今日もよく頑張っているね」と自分に声をかける
- 「怒って当然。でも冷静に伝えたい」と自分の感情に許可を出す
- 「自分のペースで伝えればいい」と焦らない
部下を指導するためには、まず自分の土台が安定していること。
感情に飲まれず、自分を信じて言葉を選べるようになると、伝え方が大きく変わります。

4. 一度、相手の言い分を“受け止める”姿勢を持つ
伝えたことに対して部下が反発してくるとき。
そのままぶつかって、口論になったり、言い負かしていませんか。部下の立場からすると、「押さえつけられた」と感じさせてしまいます。
そんなときは、一旦「なるほど、そう思っているんだね」と受け止める姿勢を見せましょう。
受け止める=肯定する、ではありません。
「相手がそう感じている」ことを受け止め、理解しようと努めましょう。それだけで、部下の防衛心は大きく下がります。
そして、その後に「では、どう進めればいいか、一緒に考えましょう」と提案すれば、関係性を損ねずに行動を促すことができます。
5. “軽く見られない上司”になる日々の在り方
「怒られないだろう」「この人には何を言ってもダメ」
そんな風に思われてしまうと、部下はどんどん指示を軽視するようになります。
「怖くなくていい」でも「軽く見られてはいけない」
そのためには、誠実さ・一貫性・冷静さを普段から積み重ねておくことが大切です。
- やると言ったことはやる
- 感情に左右されない伝え方を貫く
- 全員に対して態度を変えない
こういった日々の在り方が、「信頼」と「適度な緊張感」を生むのです。
私が20代で役職をいただいた頃に一緒に働いていた方は、ほぼ年上でした。親子ほど年の離れた従業員さんもいましたが、皆さん私を尊重して適切な距離をとってくださっていたと感じます。
なぜそんな環境を作れたかというと、やはり先ほど挙げた3つを守っていたからです。もちろん、相手によっては言いづらいこともありましたが、「年上だから指導しない」という選択はしませんでした。
嫌われないように…と振る舞っていると、やはり頼りなさが出てしまうのです。
上司として「チームを良くする」という覚悟があるかが重要だと思います。
6. 逆ハラに負けない“記録と相談”の習慣を持つ
「え?それパワハラじゃないですか」「ちょっと録音させてください」
こんな言葉を部下から突然言われたら…どのように対応しますか?
指導がハラスメントと捉えられてしまうことを恐れる一方で、部下側が上司に対して圧力をかけてくる「逆ハラスメント」が増えているのも事実です。
自分自身のハラスメント知識を増やす、指導方法を工夫する、感情の整理をする。
時代に合わせてこうした対応をとっておくのも必要ですし、以下のような記録を日々残しておくこともおすすめです。
- 指導した日時・内容・場所
- その時の部下の言動
- 同席者がいた場合の記録
圧が強い部下など、もし少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まず社内の人事や信頼できる第三者に相談することも、自分を守る大切な手段です。
なお、部下からのハラスメントに悩んでいる方は、以下のコラムもぜひご覧ください。
具体的な対処法を5つに分けてご紹介しています。
7. 自己承認力を高めて、伝え方が変わる上司になる
最終的に、部下との関係性や伝え方を大きく変えるカギは、“上司自身の軸の強さ”にあります。
- 「うまく伝えられなかったな」と思っても、自分を責めない
- 「部下にどう思われたか」ではなく「自分の軸に沿って伝えたか」で振り返る
- 日々の行動を自分で認め、肯定する習慣をつくる
日々の自分の頑張りを認めながら、「少しでもマシにしていくには?」と前に歩みを進めていきます。
自己承認力を高めていくことで、心に余裕が生まれます。
その余裕が、結果的に部下の動きやチームの空気を変える力につながっていくのです。

まとめ:「言うことを聞かせる」から「動ける関係をつくる」へ
いかがでしたでしょうか。
「部下が言うことを聞かないんです」
私はこんなご相談を受けたときに、お尋ねすることがあります。
「部下なんだから俺の言うことを聞け!と思っていらっしゃるんですか」
すると、うーん…とお考えになる方が多いです。
日々組織の中にいると「自分が上・部下が下」という意識が強くなり、
思い通りに部下を動かそう・コントロールしようという気持ちが大きくなっていきます。
少しきつい表現になりますが、あえてお伝えすると…
無意識のうちに「部下を見下している状態」になってしまっていることもあります。
怖いのは、それに自分で気づきにくいということ。
実はこの状態は、精神的にもあまり健やかとは言えません。
まずは、この思い込みから抜け出し、心を整える必要があるのではないでしょうか。
上司を軽く見て、部下ハラをする方も同様です。
心が整えば、言葉や行動を冷静に選ぶことができます。ハラスメントにはつながらないのです。
まずは、冷静に「どう関係性を整えるか」「自分をどう整えるか」を考えてみてはいかがでしょうか。
私自身、過去にパワハラと言われても仕方がない振る舞いをしたことがあります。
思い通りにならない部下を私の感情で部下を辞めさせてしまったこともあります。
思い返すと、やはり当時の自分は精神的に追い込まれていました。SOS状態だったのです。
あなた自身が倒れてしまう前に、ぜひご自身と向き合っていただけたらと思います。
今回ご紹介した7つの対策。無理のない範囲で、1つずつでも実践してみてください。
あなたの伝え方とあり方が重要です。部下の動きも、チームもきっと変わっていきます。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
また次回のコラムでお会いしましょう(^^)